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【コモンシナリオ】冬のさがしもの【戦闘不明】

冬のさがしもの


マスター:しおの




 
■こわくてさみしくて
 もうすぐ、夜になる。
 でも、どこを歩いてきたのか判らない。
 足が痛いし、お腹空いたし。
「おねえちゃん……ソール……」
 声に出してみると、怖くて寂しくて涙が出てくる。
 手にした花が、力なく頭を垂れた。


 時、同じくして、何人かの召喚者が朝比奈 愛依(あさひな あい)に声を掛けられた。


■日が落ちる前に
「子どもの捜索をお願いしたい」
 愛依の第一声はそうしたものだった。
 呼び止められた召喚者同士が顔を見合わせると、愛依の傍にいた少年が「わしから説明しようかの」と前に進み出る。
 ソール、という、未来の大魔導師だそうで、高齢の師に育てられたことから、こういう口調らしい。
 その小さな身体で違和感凄いが、今するような話題ではないようなので、全員口を噤んだ。
「マリという、わしより二歳程幼く見える娘じゃ。実は、朝、姉のサナと喧嘩をしてしまってな。サナとの仲直りにと、花を摘みに森へ行ってしまったようなのじゃ」
 ソールの話によると、マリと姉のサナは五歳違いの姉妹だそうだ。
 朝、朝食のことで喧嘩をしてしまったらしい。
 母親が作ったブルーベリーのジャムが食べたいとマリが駄々をこね、姉とは言えまだ十歳のサナも両親を失い、子どもだけの生活というのに堪えていたのもだったのだろう、怒鳴ってしまったそうだ。
 ソールはたまたま遊びに訪れたそうで、二人から事情を聞き、ひとまず姉のサナを夜桜 切菜(よざくら せつな)へ預けたとか。
「師匠が言うには、喧嘩した時は、レイキャクキカンが必要だとのことじゃったからの」
 経験ではない知識を実践したソールは、切菜からマリの面倒を見るように言われ、今日の所はまんげつ堂近くで過ごしていたそうだ。
 そろそろ落ち着いたかという頃合いで切菜の部屋を訪れたが、サナは外にも聞こえる声で泣いていて、マリは自分がワガママを言って姉を泣かせたことに大変ショックを受けたという。
 もう少し時間が必要だろうとすぐにその場を離れたが、マリは落ち込んでしまい、気を遣ったソールがお菓子を勧めようとした時、マリは「あのおはなならおねえちゃんわらってくれる」と言い出し、突然走り出してしまった。
 速くて追いつけなかったそうで、すぐに愛依の元へ走り、愛依と共にマリがどこへ行きそうかを考えて探し回ったがどこにもいない。
 最早思い当たる場所もなく、ようやく落ち着いたサナへ事情を話すこととなった。
 本来なサナへ話すのは危険であるが、サナであれば何か知っているかも知れない。万が一が起こったら、マリは永遠に帰ってこないし、仲直りもできないままとなる。
 そうならない為にサナへマリの行方が判らない状況であると話したのだそうだ。
 サナは顔を真っ青にさせたが、マリが行きそうな場所を一つ言った。
「森林公園」
 ソールが、その場所の名を告げる。
「サナが言うには、マリは森林公園に行ったかも知れないそうじゃ。
パンデミック前に家族で遊びに行き、冬に咲く花の時期になったらまた来ようと家族で話していたゆえ、そこに行ったかもしれぬ、と」
「森林公園の入口、管理事務所に設置されてある防犯カメラがマリの姿を僅かに映していた。マリは森林公園内にいるだろう」
 ソールの言葉を引き継ぐように愛依が説明した。
 曰く、自分もこの星の全てを掌握している訳ではないが、まだ稼動している防犯カメラの映像程度であればネットワークを介して自分のスマートフォンでも見られる、とかで。
 森林公園は、まんげつ堂からマリ位の子どもの足では四半日はかかる距離にあるらしい。
 公園内も広く、森が広がるだけでなく、小高い丘もあり、まず、愛依や切菜位の年齢の者であっても徒歩で、それも独りで備えもなしに行くような場所ではないそうだが、特にマリ位の年齢の子どもは時として実の親でさえも予測できない行動を取ることもある。
 今回もそうしたものだろうが、大人が死に絶え召喚者の知識と力を求めている程の非常事態においては、何が起こってもおかしくはない。すぐに探しに行き、保護しなければならない。
「もうじき夕刻を迎える。森林公園の規模を考えれば、ゴブリン程度がいてもおかしくはない。パンデミックの混乱でモンスターの動きもパンデミック以前とは異なる場合もある」
「引越しなどをしてそこを住まいにしていたとしてもおかしくはないの。ならば、熊や狼といった、肉を食う獣の類はおるのかの?」
 ソールが愛依を見上げると、その質問を予想していたらしい愛依は間を置かず、返した。
「……判らない。前は聞いたことなどなかったが、パンデミック以後この星は大きく変わってしまった」
「ま、外部の助けを必要とする位じゃからの」
 ソールはそう言い、召喚者達へ視線を向ける。
 差し出されたのは、森林公園のガイドマップだ。
 森林公園の内部を説明するものだが、マップで公園内部が判ってもマリの居場所が判明している訳ではない。冬に咲く花の場所付近に赤丸がされているが、その場所にマリがいるとは限らない。マリが道を間違えるなどしていたら、その場所とは全く違う場所を彷徨っている可能性もある。
 湖もあるが、湖までは森林公園の入口から車で移動する距離にある為、余程後手に回らない限り湖へ行ってしまうことはないだろう。
 氷に閉ざされているからと言っても、何かの拍子に割れて、湖に落ちた場合、その運命は子どもにすら予想できるもの。
 ゴブリンのようなモンスターであったり、モンスターではないが人に害を為す獣に遭遇する可能性もあり、見つける時間が早ければ早いほどいい。
「緊急である為、行ってもらうのはこの人数になる」
「でも、広い場所なんじゃ……?」
「私もすぐに他の召喚者を集め、後を追う。先行して欲しい」
 緒方 唯我が真っ先に不安の声を上げるが、愛依が頭を下げる。
 その唯我へソールが指をつきつけた。
「ヘイハシンソクヲタットブ!」
 意味理解してないだろう。
 皆そう思ったが、先行した方がいいのは事実だ。
 支度を整えて、マリを探しに行こう。


――――――――――――――――――――――――――――――――

■このシナリオについて

大きな目標として、マリを探しに行きます。

マリは姉のサナと喧嘩してしまっている状態です。
森林公園に目的があってやってきているのはサナの証言を考えれば間違いないでしょう。
時間帯や場所、喧嘩をしている状態……まんげつ堂の廊下ですれ違うのとは全く違います。

このことを踏まえて行動しないと、後味の良くない結末になってしまい、成否をつけるならば大失敗という結末を迎える場合もあります。
アクションによって変化しますので、どのような結末を迎えるかは皆さんのアクション次第です。


■NPCについて

ソール
マリとは友達。
道案内役及び愛依との連絡役、マリに警戒させない前提役として同行します。
アクションで触れられない限り、描写は最低限となります。
ただし、ソールが同行していない、または、彼の身に何かあった場合はマリが皆さんに対して心を開く可能性は低いと思ってください。

未来の大魔導師を自称する彼は明かりを照らす魔法は行えるそうで、光源について心配する必要はありません。
その他天気のことにはちょっと詳しいとか。

※注意!
ソールの記事にある、ソールの正体は『PL情報』となり、愛依以外は誰も知らない情報となります。
また、基本的に同行するのみである為、その能力を振るうことはほぼありません。
その正体に関連する情報も現時点ではどこにもなく考察しても答えに辿り着くことはできません為、彼の正体に関連するアクションを仕掛けても不採用となります。


愛依
状況によっては他の召喚者を連れて合流しますが、多くの場合はマリを保護した後森林公園の入口で合流となるでしょう。
愛依が登場することを見越してアクションを仕掛けると、肩透かしになる可能性も高いので、お勧めしません。

切菜
サナについています。
愛依と異なり、どのような状況でもサナと共に森林公園入口にある管理事務所で皆さんを待ちます。

唯我
アクションがあれば登場しますが、なければ必要に応じた登場以外の登場はありません。

サナ・マリ
十歳と五歳の姉妹。
しっかり者の姉と甘えん坊な妹。
サナは切菜と共に入口の管理事務所で皆さんの帰りを待ち、マリは公園内のどこかにいます。
しっかりしているとは言ってもまだ十歳の少女で、甘ったれるなと言っても五歳の少女です。
そして、どちらも、大人の庇護が本来であるなら必要な年齢で、子どもの頃から大人となることを課されていた訳ではなく、突然の喪失によって、大人にならなければならなかった子の一人です。
そのことを踏まえた上での対応されることをお勧めします。


■森林公園について

広大な敷地面積を誇る森林公園。
まんげつ堂からは、マリのような子どもの足では四半日かかります。

公園入口に管理事務所があり、ここには暖房設備と防犯カメラが設置されていますが、公園内には防犯カメラの類はありません。
愛依より防犯カメラの映像は提供されており、入口を入っていくマリの姿が二時頃確認されていますが、それ以降の足取りは不明です。公園から出ていないことだけは確かです。
PCは五分以内に愛依が声をかけて頼まれた形で、説明をされて二時半前には出発しています。

公園内には四季それぞれの花の名所にアスレチックランド、遊歩道、ピクニックエリア、と目的別にあり、サイクリングロード以外も自動車での移動も可能なように作られていたようです。
湖は自動車で移動しないと行けない為、歩いてここへやってきたマリがすぐにそこへ到達することはありません。

パンデミック以後、子ども達にも生きることに必死で余裕がなく、誰も立ち寄っていません。
この為、何かの痕跡そのものは残りやすいようです。

愛依も状況不明の為、ゴブリン等モンスターの類であったり、パンデミック以前には出没していなかった(事前に猟師によって仕留められていた)獣出没の危険性も考えており、召喚者の状況が落ち着き次第、調査をと考えていたようです。


『PL情報』
猟師によって仕留められなくなった凶暴な熊、狼がいます。
それらを食糧とするゴブリンの群れがおりますが、冬だけあり獲物の遭遇機会が減っている為、彼らは非常に腹を空かせています。両者共に公園内を徘徊している状態で、PCより先にマリを見つけてしまえば食糧とするでしょう。
具体的に申し上げますと、一時間以内に発見できない場合、先に発見されます。


■PCが森林公園に到着する時間帯・天気・気温について

夕方四時回った頃
(マリが管理事務所の防犯カメラに映った時間よりおよそ二時間後に到着)

特に何もなければリアクションの開始は森林公園の入口にいます。
また、この日の日の入りは夕方五時頃が見込まれています。
天気は晴れですが、だいぶ冷え込んでいます。
積雪は、30cmほど。


■防寒について

保護対象のマリ含めた全員防寒具を着用しており、完全に日が落ちた外に半日飲まず食わずで放置されない限りは凍死しないものとします。
凍死はしなくとも体調を崩す可能性はありますので、大丈夫だと過信しないようにお願いします。


■その他について

愛依より冬に咲く花の名所が知るされた森林公園のガイドマップ、毛布、オペラグラス、非常食、飲み物が時間勝負の中必要であると判断され、全員に提供されています。
それ以外で準備したい場合、『現実の一般企業で事務室に備品として置いてある事務用品及び救急箱』の範囲であればすぐに用意ができるものとして、準備可能とします。
それ以外であっても、準備できる場合もありますが、上記よりも採用率は下がります。
また、愛依からの提供品以外の準備品については全て判定対象となります。

「■こわくてさみしくて」については、アクション時点では皆さんが知ることはできないもの、『PL情報』となりますので、ご注意ください。

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<マスターコメント>
はじめまして。しおのと申します。
色々手探りの未熟者、新人ですが、よろしくお願いします。

シナリオがどのような結末になるかは皆さんのアクション次第です。
成否はなくとも全ての行動が成功するとは限らず、また、いい感じに嵌って良い方向に向かうということはありません。
所謂後味悪い結末を迎えたとしても、それは皆さんのアクションがなしえた結末として描写します。

ガイドをしっかりご確認いただいた上で、皆さんにとって良い結末を迎えられますように。


<リアクション>

■陽が落ちるよりも早く
 空を見上げれば、もうじき夕刻。
 あと一時間もしない内に陽が落ちるだろう。
「あっという間に消えていったね。流石とも言うべきかな?」
 リンヴォイ・レンフィールドが視線を前にやる。
 先行したホーリー・ホワイトとヴォルクの姿は既にない。
 刀神 大和が保護対象のマリが花の名所まで到着している可能性もあり、その帰り道に疲労で動けなくなっているのではと言ったからだ。
 積雪量はマリにとって十分な量だろうが、ガイドに記されてる各エリアの案内が埋もれる程ではない。字は読めなくとも案内には絵がある。絵の方向に向かって歩けば距離はともかく辿り着ける。
 道を間違える可能性もあるが、義手に仕込まれたワイヤーで木々を移動できるホーリーと優れた嗅覚を持つ犬のヴォルクが花の名所まで先行し、後続が慎重に足跡を追うことになっていた。
「到着次第ホーリーにはすまほで連絡する手筈になっておる。すまほが使えぬ状況なら梟の鳴き真似をするとも聞いておる。じゃが、見つかった場合、状況的にマリがヴォルクに怯えるじゃろうしの、わしが話した方がいいじゃろ」
「(スマホの発音が変だな)五歳児にこの状況で見知らぬ顔やでかい犬に怯えるなって言うのが難しいだろ」
 リンヴォイの背にいるソールへ大和は応じ、後続となる召喚者の移動の準備をしているセラス・アキュアを見た。
(移動しやすくするって話だが)
 ここまでの間にマリの足跡を後続が慎重に辿っていくとなったが、あまりのんびりもしていられない。
 リンヴォイが、出発前に朝比奈 愛依を通して姉のサナに妹の靴の大きさを聞き、彼女から自分より少し小さいくらいと靴を借りている。足跡を追える材料があるだけに、まだ出発しなくていいのかとも思う。
「時間勝負だからこそ準備しないと駄目なんだろうけど、もどかしいね」
 アヅキ・バルが息を吐くと、真っ白い塊が日の入りを待つ空へと消えていく。
「ヘイハシンソクヲタットブのはもちろんじゃが、準備は大事じゃろ」
「そういえば、兵は神速を尊ぶなんて知っていたね。私の世界でも昔いたある国の有名な軍師が言っていた言葉なの。その軍師も数百年前の兵法書の言葉をより昇華させて己の主に言ったみたいだけど」
「ふむ。どこにでもある言葉なのかもしれんのぅ。まぁ、わしはなんかよさげな言葉ならそれで良いのじゃが」
 やはり受け売りに過ぎず理解はしていないらしいソールはそう笑う。
 と、その時、セラスがこちらを振り返った。
「整いました。これなら十分でしょう」
 マリの足跡の隣、30cmあった雪がだいぶ姿を消し、しかもなだらかになっている。
 その前方には、リンヴォイが成人男性が両腕に抱える程度の大きさの青いぶよぶよしたボールがあり、その中には雪の塊が泳いでいる。
「水の精霊を召喚し、水球を作りました。転がしていけば水球に雪を取り込み、融かしていくので、移動は楽になると思います。並行して幾つか作り、水球がコントロールするのに難しい大きさなったら脇に打ち捨てればいいだけですから」
 試しにリンヴォイが触ってみると、ひんやりした粘度ある水が手袋を濡らす。
 体温低下を防ぐ為、水の精霊の顔を得たセラスが水球を先頭を歩いて転がすという。
「これなら、浮遊しなくてもよさそうかなぁ~」
 ミーティア・アルビレオが均された道を見て、小さく呟いた。
「とにかく、急ごう。マリさんが心配だ」
「寒さも考えたら陽が落ちたらヤバイしな」
「私達も十分気をつけないとぉ~」
 リンヴォイへ大和とミーティアも同意し、マリの保護の前提とも言えるソールを見た。。
 小さな子どもにも協力してもらっているのだ、迅速に保護しなければ。
「防寒具があっても寒いしね。沢山歩いてお腹だって空いているだろうし。……そう考えると、私達が着込んでいる間に用意してもらった飲み物や非常食は助かるね」
 アヅキは、短時間で整えてもらった準備の中に温かい飲み物があることに心底安堵した。
 事務室にある備品で邪魔にならないようなものであればこれ以外にも持ち出していいと言われ、大和とホーリーが防災バッグから懐中電灯を持ち出していたが、アヅキには保温性が高い水筒の中に温かい飲み物があるという一点のみで十分だった。これなら申し出る必要がない。
「光の精霊にフォローをお願いしたので足元は問題ないと思いますが、気をつけてください」
 先頭に立ったセラスに続き、召喚者達が歩き出す。
 大和の言う通り、冬に咲く花の名所に直行し、花を手に入れた安堵から動けなくなっているのか、それとも途中で道に迷ったか。
 ……ともかく、手遅れにならないといいのだが……。


■誰よりも早く
 ヴォルクは視線のみで真横を確認した。
 木の枝とワイヤーを使い、振り子の要領で飛んで移動するホーリーは遅れることなくついてきており、走力調整の必要はない。
 正直に言えば、不本意ではあった。
 が、愛依からは出発前ほんの一瞬の隙に単独行動を控えるよう頼まれている。
 マリには狼とシベリアンハスキーの区別が難しいこと。普通の犬と認識するにはサイズが大きく、場所も状況も悪い。誤解を解く説明もできない。(本当はできるが、犬の利点を生かす為にしない)
 サナやソールの私物を借り、持参する、というのも、『おねえちゃんとけんかしたからばちがあたった』、つまりヴォルクがサナとソールを襲ったという誤解を与えてしまう可能性も高い。
 同じく先行を申し出たホーリーに心を開く可能性もソールなしでは高くない、とまで言われてはヴォルクも最終的に誤解が解けたとしてもマリへの悪影響を考えざるを得ない。
 嗅覚に優れること、人にはないものがあること──それらは間違いなくメリットである。
 だから、ヴォルクも翻訳機を貸与してくれた愛依以外には教えていないが、教えない分デメリットも存在している。
 今回は状況的にそのデメリットが出やすかった。ただ、それだけの話だ。


 一方、ホーリーはヴォルクの視線を感じつつも移動に遅れないよう注意を払っていた。
 ワイヤーで自身の身を投げ出し、後を追ってきたワイヤーを一時格納、雪の上に降り立つよりも早く再度解き放ったワイヤーをヴォルクよりも前の木の枝に放つ。
 枝に絡まったワイヤーによってホーリーは引っ張られる形で枝に吸い込まれ、ホーリー自身の体重と枝のしなりで速度を増し更に前方へ飛んでいく。
(今ん所は順調だな。いるといいんだが)
 愛依が用意してくれたガイドにはサナに聞こうと思っていた情報が判りやすく記されていて、森林公園到着までの間にそれらは頭の中に入れている。
(今の所異常なし、か)
 ゴブリン、熊、狼の可能性が高いらしいが、他が出ないとも限らない。それでも、元の世界にいた人型の自立機械よりはマシだろ。
(マリからしたら、オレ達もソールなしでは警戒されんだろうし、泣かれたらバレやすいだろうな)
 出発前、大和が大人達が遺したタバコが遺されていないか探してみたようだが、子ども達に馴染みがない大人の嗜好品は備品とされる事務用品以外なかった。見つからないならその方がいい。
(根性見せてここまで独りで来た奴、堂々と仲直りさせてやらねぇとな)
 目的地まであと少し、ホーリーはスマートフォンの準備も考えつつ、ヴォルクと道を急ぐ。


■静寂に響き渡るは
 空の色が既に変わり始めている。
 陽が完全に暮れている訳ではなく、まだ余裕があるものの、過信はしない方がいいだろう。
 セラスが水球で雪道をかなり改善させてくれている為に移動は通常よりも速く、体力の消耗もだいぶ抑えられている。この点において、特にミーティアが助けられていた。
「ずっと浮遊しているのは疲れちゃいますからねぇ~」
「そういうものなんですか?」
「能力を使って浮かせているものですからねぇ~」
 緒方 唯我が問うと、ミーティアは常に浮遊しているような種族と異なり己の能力を使っている為消耗すると教えてくれた。
 また、この周囲の雪を全て浮かせて動かせるような強力さはないらしい。ミーティアが言うには、自分以外の存在への干渉となる為、人が両腕を使って何かをするように難易度はあるそうで、日常生活の範囲を超えるようなものはその日のコンディションに左右されることもあるとか。
「コンディション……腕も体調によっては重いものを持てなかったり、速球を投げたりできないものね」
「私にとっては、この能力が腕だから、そういう感覚、かなぁ~」
 アヅキがそういうものかと納得すると、そういうものだとミーティアがのんびり認めた。
 セラスが新しい水球に交換したが、交換に多少時間が取られたとしても普通に歩くよりも消耗も速度も格段に違う。
 一番実感しているのは、ソールを背負うリンヴォイだろう。
「……笑える状況でもなくなって来たからね」
 先程まで和やかな表情でミーティアの能力の話を聞いていたリンヴォイの声がやや低くなった気がする。
 リンヴォイの視線の先、大和が懐中電灯の光を向けると、その明かりをすぐに消し、セラスへも顔を向けた。
「光量をもっと絞れるか? 朝比奈の予想が当たっている。それも最悪の形で」
「……! 解りました。……雪が遮蔽物になるよう、私の足元近くまで下りてもらえますか?」
 大和の言葉でマリとは別の足跡が複数種、多数あると察したセラスがすぐさま光の精霊に声をかけ、光の精霊が舞い降りる。
 光量も絞ってもらった為光源が原因で見つかることはないだろう。
「寒さも厳しくなってきましたし、早く保護しないと……」
「今頃震えてるかも。サナちゃんだって心配でしょうし、何かあったら2人とも可哀想」
 セラスの言う通り、出発した時刻に比べて寒さが厳しくなっている。
 アヅキもこんな場所に独りでいるマリと、自分が怒ったからだと泣きそうになっているサナ両方の心情を思えば、一刻も早い保護をと思う。
(自業自得と切り捨てるには子ども過ぎる)
 基本己の欲望に素直かつ全力の大和も大人であれば自業自得と切り捨てる。
 けれど、まだ五歳。本来は大人、親権者のフォローが必要な年齢だ。ここにはもう誰も親権者となれる大人がいない。教わることもできない。だから、フォローする。それだけのこと。
「ソールさん、暗くてガイドが見えにくかったら無理しないでいいからね」
「すまんのぅ」
 大和の耳にはリンヴォイとソールのやり取りが聞こえてくる。
 リンヴォイの提案で彼が背負うソールがセラスの移動補助、ガイドを常に見て進行方向に間違いがないか確認しているのだ。。
「あ、でも、そろそろ、先行組は到着───」
 ミーティアが言い掛けた瞬間、ソールのスマートフォンが鳴った。
 ソールが表示はホーリーのものと告げてから応答ボタンを押す。
 直後、ソールも少し引き離すレベルの大音量で幼い女の子の泣き声が響き渡った。
「だろうな」
「安心、ではないですね」
「こんな寒い場所なら仕方ないよ」
 大和が表情変えずに呟くと、セラスが水の精霊に声を掛けて急ぐよう伝える。
 アヅキも召喚者だからという言葉が通る場所や状況ではないと苦笑した。
「いたようじゃが、やはりわしを直接見た方が良さそうじゃの。───マリや、わしじゃ。しばし、そのおねえさんといぬめと待っておれ」
 泣き声が少しは小さくなった。
 その後、ソールがホーリーへ急行の旨を告げている間も召喚者達は移動速度を上げている。
「ソールさん、しっかり掴まっていてね」
 リンヴォイは背の上の小さな子どもに声をかけ、前を見据える。
 大丈夫、今君の友達を連れて行くからね。


 速度を上げた先、声を上げて捜索するまでもなく先程の泣き声が近づいてくる。
 後続に気づいたヴォルクが誘導するように近づき、マリが逃げないよう抱えているホーリーの腕の中でサナを幼くしたような女の子が大音量で泣いていた。
「ほら、友達来たぜ」
「マリや、おぬしは笑った方が良いと言った筈だったがのぅ」
 ホーリーから引き継いだ形のソールが声を掛け、マリはやっと泣き止んだ。


■迫り来る
 ホーリーに下ろされたマリは、大和の上着を羽織り、非常食を頬張っている。
「まだあるから沢山食べてねぇ~」
 ミーティアは足りなければ自分の分も渡すつもりでマリを見ている。
 安心できる状況ではないが、まずは無事で良かった。
「喉に詰まるぞ」
 大和が水筒の蓋に温かいほうじ茶を注ぎ淹れる。
 短時間で準備できる中で身体を温める効果が高いものだから選ばれたもの、苦いお茶でもないから飲めないということもないだろう。
「ありがとう」
 マリが受け取りながら笑う。
 先程まで大泣きしていたとは思えないが、友達であるソールの登場で泣き止み、ミーティアが己のハンカチを浮遊させて彼女の頬を拭いて、やっと落ち着いた。
「落ち着いた? 立てるかな。サナちゃんも待ってるから帰ろう?」
「まぁ、待て」
 アヅキを制止する形でホーリーが声を挙げた。
 ホーリーはマリに視線を合わせるように膝をつくと、子どもには見慣れない義手で怖がらせてしまったかもしれないことも考え、左手でマリの頭を撫でた。
「花が萎れてるだろ。サナには元気な花を渡さないと」
「ですが……」
「折角ここまで冒険したんだ、この冒険で得た宝物を堂々と手渡して、仲直りしろよ」
 セラスも速やかな離脱が望ましいと声を挙げるが、ホーリーはマリの意向を優先した。
 大和が予想した通り、マリは目的の花を手に入れていた後、姉に花を渡せるという喜びの後空がもう明るくないことに気づき、一気に疲れを自覚して動けなくなってしまっていた。それまでは絶対に花を手に入れるというある種の興奮で自覚していなかった分、相当なものだったろう。
 動けない時間も長かったらしく、花は既に頭を垂れており、元気がない。
 元気のない花を泣きながら差し出す──冒険の終わりとしては良いものではない。
 姉を笑わせる為、ただそれだけの、大人にしてみれば意地でここまで来た子どもの意地を優先させずして何を優先させる。根性見せたこの子どもの身が危険かもしれないなら、自分達が守ればいいことだ。
「いいの?」
「当たり前だろ」
「……寒い中頑張ってるな。偉いぞ。サナも心配しながら待っているから早く摘んで早く帰ろう」
 ホーリーに重ねるように大和が声を掛ける。
 早く帰った方がいいと大和も思っているが、ここでホーリーと押し問答をするより、目の鼻の先にある花の場所へ行って花を摘ませて帰った方が早い。マリの心情にも沿う。ホーリーの言うように自分達が合流したのだからフォローは行える。
 と、それまで周囲を警戒していたリンヴォイが来た方向に向かって剣を抜いた。
 マリが大泣きしてしまったことから距離を取っていたヴォルクも警戒するように牙を剥く。
「来るよ。奥……花のある場所の方にマリさん達を」
 リンヴォイが問われるまでもなく、警告を発した。
 木々の合間から不気味に光る眼が複数見え、マリがびくりと身を震わせ、ソールにしがみつく。
「タイミング、良すぎだよ……」
「……いえ、妥当でしょう」
 唯我へセラスが合流時に打ち捨てた水球へ視線を転じつつ、呟いた。
 セラスが召喚した水の精霊が作り上げた水球で雪道を大幅に改善した分、その痕跡は自分達以外の存在にも明確だ。
 マリの痕跡が残っていたように、その存在を見つけることが出来た。逆も当然ある。
 そして、こちらが歩きやすかったなら、当然彼らも歩きやすいということ。
 元の世界でも精霊の力を借りて災害や魔物の襲撃に対処をしていたセラスは、彼らを侮らない。当然であると結論付ける。
「私の責任です」
「でも、最短でマリさんに会えたのはセラスさんのお陰。責任の話じゃないよ。私達が彼らの後手に回ることも十分ありえたんだし、そうでなくともこんな寒い中マリちゃんは疲れて動けなかったんだから」
「そうだよぉ~? 先に見つけられたんだから、気にしちゃ駄目~」
 リンヴォイとミーティアがセラスにそう言っている間に大和がマリの頭を撫でてから抱き上げる。
「花の場所の方向は安全なんだな?」
「大丈夫」
 そちらが安全ならマリの避難も兼ねて先に行った方がいい。
 全員が全員戦闘する必要ないのだから、敢えて自分もと考える必要もない。
 と、リンヴォイがサーコートを大和へ差し出した。
「これ、念の為マリちゃんに」
「……いいのか?」
「僕は大丈夫。どうにかできるよ」
 それは、彼女に戦闘を見せない配慮で差し出されたもの。
 けれど、前衛で戦うリンヴォイの防御がその分薄くなる。
 リンヴォイの、マリを絶対に守ってという返しで、大和はそれならいいとサーコートを受け取った。
「じゃ、言葉に甘えて」
 大和は歩きながらマリへ渡し、更に被るよう伝えると、マリがごそごそと被る。
 ちょうど耳が隠れる形になり、距離を取ればある程度音も聞き取りにくくなるだろう。
 と、後ろから、唯我が追いかけてきた。
「これこれ、わしを忘れるな」
「……だって」
 苦笑する唯我の背にはソールがいる。
 マリの精神安定の意味でもまだ子どもという意味でも一緒の方がいいと判断した大和は唯我が追いつくまで待ち、再び歩き始める。
 背では、マリがソールに声をかけられていた。
「マリや、怖かろう。どうじゃ、歌でも歌わんか?」
 歌なんぞ歌ったら目立つんじゃと召喚者達は思ったが、最終的に小声ならいいと彼らに歌を許可した。


 一方、残った召喚者達は狼の群れに半包囲されていた。
 複数の群れのものか、それとも大きな群れなのか判別つかないが、少なくない数だ。
 木々を遮蔽物にして接近してきたが、まだ指示を出しているボスがどの狼なのか判らない。
 ボスが分かればボスを倒すことで掌握できる、とヴォルクは見るが、数の多さと立地から瞬時というのは難しい。
「私の不始末でもありますから、全力でフォローします」
「お願いするね」
 リンヴォイの剣を中心に風が渦巻いているように見える。いや、剣だけの話ではない。彼の全身だ。
 元の世界では騎士見習いであったリンヴォイにはまだ高度すぎる風の魔法は扱えないが、風の精霊の加護を呼びこみ、僅かな助力を得ることならできる。彼は戦いであるならその能力を使うことに躊躇いはなかった。
「使わないならその方が良かったんだけど」
「本当だよねぇ~」
 アヅキがバールを思わせる打撃武器を取り出すその後ろにはミーティアがいる。
 ミーティアは武器である大振りのナイフを宙に浮かばせる他、自身も雪から僅かに浮遊していた。今まではセラスのお陰でその身を浮遊させる必要なかったが、今は必要だ。
「とは言え、数が多いだろ。ボス仕留めた方がいいぜ」
 ホーリーも周囲を見回し、ボスを探している。
 狼の眼に友好的なものはひとつもない。
 ヴォルクはどうにか彼らを自分の仲間にできないかと考えていたが、現段階彼らが聞く意思を持っておらず、半包囲の狼達が遅いかかってきた。


■敵と敵と敵と
 冬に咲くとされている花の場所は、開けていた。
 ガイドマップによると、この国のこの地域の冬に咲くよう品種改良された花だそうで、優希花という花らしい。
 マリが一目散に走ったであろう痕跡の先に雪から顔を出すように温かみのある白色の、八重に咲く花が見えた。
「同じ白でも優しい白だね」
「おかあさんがね、あったかいしろいおはながさくのよってわらってたの。だから、おねえちゃんにあげたいの。おかあさんのいったとおり、きれいなおはなだよって。そうしたら、おねえちゃん、わらってくれるかなって」
 花を摘むのを手伝う唯我が懸命に話すマリの話に耳を傾けている。
 マリの顔は見えないが、唯我の表情を見る限り、マリは泣きそうで泣かない顔をしているのだろう。
(しかし、ユキカ、とは……雪と優しい希望をかけた、か)
 大和は心の中で呟きつつ、ガイドを広げて帰りに使う別のルートを確認している。
 最短は、やはりマリが通ってきた道だが、あの道はもう使えない。使わない方がいい。
 かと言って遠回りし過ぎればそれはそれで危険だ。
(朝比奈は管理事務所に到着したって連絡はさっき入ったが……)
 大和は、花を摘む2人の傍で鼻歌を歌っているソールを見た。


(集団の強みを理解しているね)
 リンヴォイは、舌を打つ思いで剣を水平に凪いだ。
 直後突風が周囲に放たれ狼達の行動を阻害するが、完全な足止めにはならない。
 集団の強みを生かす狼達は集団としての損害を最小限に押さえ、向かってきている。
 と、ミーティアが動かすナイフを嫌がる狼が数頭木々の合間に飛び込んだ。
「!」
「大丈夫、落ち着いて」
 すぐさまアヅキがミーティアのフォローに入る。
 今、ミーティアは大振りのナイフ二本、味方の妨害をせず狼達の対処もさせないよう、日常生活では必要ない速度と緻密さで動かすというより、『操作』しているが、集中力が必要な行為で他の行為はできない。接近などされたら終わりだ。
 ミーティアから特に説明されていないが、アヅキはミーティアの集中が一瞬乱れたのを見逃さなかった。
 物事を悪い方向に考えないアヅキだからこそ、ミーティアへすぐ声をかけられる。
「ここはちゃんと守るから、任せて」
 狼の数が多いけど、一人で戦っている訳ではない。
 やってみれば、絶対に何とかなる。
 両親から受け継ぐ考えこそ、集中に専念しなければならないミーティアの精神的なフォローとなった。
「悪いけど、この先は通さないよ」
「こちらもお断りしますね」
 アヅキがそれだけ言って迫り来る狼に向かう。
 その後背を衝かれないようにセラスが立ち、別方向からの襲撃に備える。
(雪に足を取られては危険です。まずは私達の隙をどうにかしないと)
 ヴォルク以外は全員その危険性があると、セラスは周辺の均しも水の精霊に頼んだ。
 前方はリンヴォイとホーリーが即興の連係で狼に対処し始め、二人の隙を縫うように雪上を駆けるヴォルクはボスを探しているようにも見えるが、それらしい狼はいない。
「挟撃した方がいいかも。ホーリーさん、後ろ、任せるよ」
「誰に向かって言ってんだ、そっちこそヘマすんなよ」
 リンヴォイへ自信たっぷりに言ったホーリーは狼の前方の木の枝にワイヤーを絡ませ、収納させる力を使って素早く移動、彼らの背後を取る形で降り立つ。
 跳躍した狼の腹部に潜り込むように走ると、今度はこちらが跳躍、腹部を強かに殴り上げた。
「狙ってんのは、見えてんだよ!」
 着地と同時にその瞬間を狙ってきた狼を牽制するように懐中電灯を顔面狙いで投げ、間合いを取らせる。
 直後、金属とは異なる水晶の煌きが雪上すれすれで迫っており、狼を掠め切り、流れ落ちる血が雪に吸い込まれていく。けれど、狼の群れを怯ませるほどではない。
「まだまだ終わらないよ?」
 リンヴォイがわざと大振りに攻撃し、狼を退かせると、リンヴォイの脇をすり抜けるように疾走するヴォルクが奥へ駆け込んでいく。
「ヴォルクさんがボスを見つけてくれれば俺も急行するから、そうなったらお願い」
 乱戦状態では余力を残して対処ではないらしく、リンヴォイの言葉が微妙に変わっている。
 それだけの状況というのはこの場にいる誰もが理解していることだ。
 直後、ヴォルクとは異なる野太い雄叫びが轟いた。
 すると、狼達が動きを止める。
「狼の動きが、止まった?」
「雄叫びを聞いている、ようですね」
 アヅキがどの狼も一様に戦うのを止めたと戸惑い、セラスも彼らの耳の動きでそう気づくが、雄叫びが何を意味するものかまでは解らない。
「……? 帰っていきます、ねぇ~?」
 ミーティアが自らに目もくれず、手負いを守るように木々の奥へ消えていった狼達を見やる。
 状況確認した方がいいとホーリーとリンヴォイがヴォルクの後を追って駆けていく。
「なんだ、アイツ」
「雄叫びをした、狼、だろうね」
 ヴォルクからやや離れた場所に他の狼より巨躯の狼が見える。
 周囲には護衛役の狼もおり、間違いなく、ボスだ。
 向かい合っていたヴォルクも狼が退いた思惑が見えないが、逆に好機と思考を切り替えたその瞬間、巨躯の狼は護衛役と共に森の奥へと消えていった。
「解らないけど、すぐに戻ろう。残っている三人が危ない」
 リンヴォイが言った時にはホーリーが木の枝にワイヤーを放っていた。
 狼達が退いた理由があるならば、一つしかない。
 彼らにとってデメリットが大きい判断を下したからだ。
 召喚者達と戦うからだけではない。他の種もこの場に気づくだろうということ、つまり、召喚者達を含めた全ての敵を相手取れば被害が大きくなる。あのボスは群れの損害を考え、彼らに離脱を指示したのだろう。
「まだだ!」
 周囲の異常に気づいた気づいたホーリーが声を上げた。
 そのことで、異常が明確に姿を現す。
「これが本当の三つ巴、かな」
 茂みから飛び出してきたゴブリンの群れがリンヴォイとヴォルクを取り囲む。
 更にゴブリンの向こうには熊が見え、敵意をむき出しにしていた。
「でも合流しないとね。ヴォルクさん、少し下がって」
 リンヴォイは大上段から剣を振り下ろした。
 直後、かまいたちがゴブリン達の隊列を割るように雪上を這って駆け抜ける。威力や速度は名のある騎士のようなものではないが、ゴブリン達には十分通じる。
 彼らが思わず左右に分かれて避けたことで道ができ、ヴォルクは迷わずその道を疾走、リンヴォイも後を追う。
(今の俺じゃ連発もできないけど)
 風の加護を最大限に使って起こしたかまいたちは何度も使えない。まだまだ修行を重ねる必要がある。ここにいる子ども達に比べれば自分は大人だが、大人だって完璧じゃない。子どもが思うほど、大人も大人ではない。
(子どもも大人が思うほど子どもじゃないでしょ? 同じなんだよ)
 でも、子どもの前で弱音は吐かない。大人だから。
 ゴブリン達も獲物を逃すつもりはなく、リンヴォイとヴォルクを追ってくる。
 既に始まっている戦闘では、ミーティアのナイフに敵意を全面に出した熊が二本足で立ち上がり、想像以上の巨体で圧倒していた。
「ヴォルクさん、ここは俺に任せて」
 瞬時に決断したリンヴォイは足止めに目的を切り替え、ゴブリンに向き合った。
 理解したかのようにヴォルクは皆の元へ疾走していく。
(倒すことを考える必要はない)
 リンヴォイが算段を整えた直後、後方からセラスが合流した。
「フォローは任せてください」
「心強いよ」
 リンヴォイは剣を構え、ゴブリン達を見据えた。


■響き渡る戦いの音
 ナイフを警戒した熊がミーティア目掛けて疾走してくる。
 間合いに入ったアヅキが牽制するように武器を振るうが、熊は気にせず向かってきた。
「流石にパワータイプ相手だと喰らってくれない限り怖がらないか……」
 そもそも熊は冬眠するものだ。何故起きている。
 アヅキは疑問に思うまでもないか、と溜め息を漏らした。
 パンデミック以後何かと変わってしまったというのは愛依からも出ている。腹を空かせたゴブリンが徘徊しているのにのんびり冬眠している場合などではない。
「ゴブリンにしても、お腹が空いているのかも~」
 リンヴォイとセラスが足止めしているゴブリン達が実際空腹かどうかはミーティアにも判らない。
 が、この森林公園をねぐらとした場合、何を食べて生きているのか考えると、突拍子もない考えでもない。
「そんなのどうでもいいだろ」
 疾走する熊の横からパンチを叩き込み、横に吹き飛ばしたホーリーがこちらへ振り向く。
 これだけの大物になれば、持参して来ている愛銃の出番だが───
(確実に息の根を止めなかったらどんな敵も危険だ。仕留められる時に仕留める)
 理想は頭部へ接近して撃つことだが、立ち上がられるときつい。近づくまでにどうするか。
 ふと、ホーリーはそのことに気づいた。
「おい、ちょいと組まね? って解るか? あいつをどうにか仰向けにしてくれ」
 声を掛けた先はヴォルクだ。
 オッドアイの犬は理解しているのかしていないのか、ホーリーを見る。
「転ばせるのはオレがどうにかやる。仰向けにできるとしたら、小回りが利く手前だけだ」
「わふ」
 ヴォルクは犬の振りをして応じたが、ホーリーに何かの思惑があるのは察した。
「転ばせるお手伝いをしましょうかぁ~」
「手伝うよ」
「当たり前だろ」
 ミーティアとアヅキにホーリーが笑った直後、立ち上がって体勢を整えた熊が唸り声を上げた。
(ホーリーが狙うとしたら立ち上がる瞬間。重心の移動を行う瞬間)
 アラクニア人として父譲りの蜘蛛型の姿も持つアヅキは、人型と蜘蛛型ではそれが当たり前のものとして身についてるから即座に理解できた。
(やるしかないなら、やる。なんとかなる!)
 ここで誰かが怪我をしたら、マリは自分が無事でも部屋に閉じこもってしまう気がする。
 だから、何とかしたよと笑って帰れば、マリの仲直りも上手くいく気がするのだ。
(ナイフの操作に専念しましょうかぁ~)
 ミーティアも同じように理解し、ひとまずナイフを自らの近くまで戻すと、自身への浮遊能力を解除し、ナイフへ精神を集中させていく。
 だいぶ消耗してきている状態、疲労から集中力の低下も自覚してきている。けれど、操作ミスはできない。
 腕に代わりに使っているこの能力だって、万能じゃない。
 浮遊すれば全て問題がなくなる、なんて、両腕を失っているミーティアからすれば御伽噺だ。
 だから、助けてもらえる時は助けてもらうし、それでいいと思う。そこは大人も同じ。
「では、頑張ろ~」
 ミーティアがホーリーの頭上ほどの高さまで浮遊するナイフの高度を上げると、熊の顔面を狙うように二本を左右に分けて挟撃を狙う。
 前進を防ぐようにアヅキが正面に立ち武器を振り抜くと、熊は二本足で立ち上がろうとし──
「待ってたぜ?」
 アヅキの後方、姿勢を低くして構えていたホーリーの義手からワイヤーが伸び、立ち上がりかけていた熊の腹部に叩き込まれ、ホーリーの義手に戻っていった。
 予想外の攻撃に熊が悶絶している間にヴォルクが跳躍、その顔面に喰らいつく。
 相手が狼やゴブリンであれば薙ぎ倒し、押さえ込んだ上で頚椎を狙うが、自分よりも遙かに巨躯を相手にしているのだ、まずは抵抗を殺がなければ仰向けにもできない。
 熊もヴォルクを力技で引き剥がそうとするが、ヴォルクも転倒した熊を考えてポジションを取る。
 ミーティアのナイフが熊の逃げ場を奪うように雪上へ刺さり、アヅキが暴れる後ろ足を強かに打ちつけて意識を分散させ、ヴォルクを振り払おうとした熊は再度アヅキから強打を喰らいアヅキを蹴り上げようとしたのを見逃さず、ヴォルクが全体重で体当たりした。
 無理に重心を移動させようとしていた熊は更にバランスを崩したものの、ミーティアのナイフの援護とアヅキの強打の追撃を回避し何とか立ち上がろうとする。
 けれど、ヴォルクは逃す気もなく、熊が仰向けになるよう顔の上を跳躍した。
 ヴォルクを捉えるべく仰向けから起き上がろうとした熊は、それを見た。
 額に突きつけられた黒光りする忌まわしい鉄の武器と認識したのと、その隙を狙っていたホーリーが声を発したのは同時だった。
「終わりだ」
 愛銃の一つ、ヘルハウンドが至近距離で撃たれ、眉間を穿たれた熊は即死した。
 もう一つの愛銃、パンドラならここまで距離を近づかなくても問題ないが、無理やり反動を押さえ込む程威力があり、発射後の隙も大きい。これで終わりではない為隙がより小さい方を選んだから、他の召喚者と手を組んだ。
 残るはリンヴォイとセラスが足止めしているゴブリンだけだ。


(俺のすべきことは、誰も抜かせないこと)
 リンヴォイはそのことを強く意識して剣を握る力を強めた。
 セラスがリンヴォイの立ち位置を見、リンヴォイには影響が出ないよう光の精霊に眩しく感じるレベルの光を発してもらっている。
(より多くを妨害するしましょう)
 接近して相手の至近で瞬間的な閃光を目に灼きつければ一時的でも視覚を奪うことができ、それが最良だろうが、数が多すぎる。
 水の精霊に助力して貰い、鞭の援護も考えたが、リンヴォイの動きを妨害してしまう可能性もあり、選択肢から外した。
「風の精霊よ、俺に加護を!」
 リンヴォイがゴブリン達の真っ只中まで走り、自身を中心として突風を吹き荒らし更に足止めを行う。
 と、光の向こうからアヅキの声が響いた。
「お待たせ」
 光を裂くように駆けてきたヴォルクが風を裂いてゴブリンの一体の頭部に喰らいつき、薙ぎ倒す。
 ヴォルクを何とか狙おうとするゴブリンを背後からアヅキが攻撃し、その側面から襲いかかるゴブリンにはミーティアのナイフが降り注いだ。
 更にリンヴォイの背後にワイヤーから投げ出されるように跳躍したホーリーが降り立つ。
「よそ見している場合じゃないよね?」
 ゴブリンが浮き足立った瞬間をリンヴォイが見逃す筈もなく、前方のゴブリンへ向かって足を一歩踏み出し、全体重を乗せて叩きつけるように剣を振り下ろした。
 悲鳴を上げる間もなく事切れたゴブリンを見れば、もう十分だったのだろう。
 ゴブリンはヴォルクに薙ぎ倒されたゴブリンを救出すると、ほうほうの体で逃げていき、彼らの悲鳴が遠くなるにつれ、周囲は静けさを取り戻していく。
「ひとまず、脅威はないね」
 リンヴォイが周囲を見回すが、静かになった周囲からは殺気のような類も感じられない。
 ホーリーがソールへ連絡し、現在位置を確認する中、セラスが全員の怪我の程度を確認した。
「あっちは迂回して管理事務所を目指してるらしい」
「熊の死体、見せるのはよくないもんね。仕方ないことだったけど、刺激が強いと思うし」
 ホーリーがそう伝えると、アヅキも遠回りでもマリにはそれがいいと頷く。
「追いかければ間に合うと思います」
「私達が一緒の方が帰りにまだ会って安心だよねぇ~」
 セラスが水の精霊に再度作ってもらった水球を指し示す。
 彼らはセラスが均してくれたような雪道を歩いておらず、均しながら歩けるこちらとは移動速度が違う。急げば間に合う。
「それじゃあ、僕達も行こう」
 口調がいつも通りに戻ったリンヴォイが皆を促す。
 歩き出そうとしたヴォルクは後方、狼達が去った方を見た。
 自分が望んだからと言って相手が望むとは限らない。彼らは自分達を討つ武器を持つ人と共に在ったヴォルクの話を聞く気配さえなかった。
 だが、それで全てを諦観しろというのもまた違うこと。
 ひとつとして同じものはない物語の結末を決めるには早い。
 今回は、できなかった。そう考えることにする。
 ヴォルクは、もう振り返らず皆の後を追っていく。


■探し物は?
「おねえちゃん!」
「マリ、よかった、ひとりになっちゃうかと思った」
 姉妹が管理事務所の前で抱き合っている。
 ほっとした様子の夜桜 切菜(よざくら せつな)が愛依と共にやってきた召喚者達と言葉を交わし、帰る算段に入っているが、サナはマリから花を貰って泣きだし、サナが泣くからマリも泣き出していた。
「これで一件落着ですね。帰ったら、またお腹も空いているでしょうし、温かい食事と飲み物を皆でいただきたいです」
「それは名案。私達も随分お腹空いちゃったし」
 見守るセラスへアヅキが賛成と顔を向けてくる。
「マリやったじゃん。凄いな、サナ笑ってるぞ」
 ホーリーが笑ってマリの頭を撫でてやると、サナは涙を流しながらも笑っていて、マリも自然と笑っていた。
 その二人と視線を合わせるように、リンヴォイが膝をつく。
「マリさんも一人で頑張ったけど、サナさんも頑張ってここで待ったよね。二人とも偉いね。でも、僕達も凄く心配だったから、今度からは一緒に誘ってくれると嬉しいな。僕達はお父さんとお母さんにはなれないかもしれないけど、大人だから、一生懸命君達を守りたい。お願いしていいかな?」
「そーだぞ。一人だけずるいだろ」
 子どもなりの矜持を尊重したリンヴォイの物言いにホーリーが言葉を重ねると、マリがこくりと頷き、サナが改めて頭を下げる。
「他の子にもお願いしてもらっていいかなぁ~?」
「うん!」
 ミーティアの願いを断る姉妹ではなく、素直に言葉を揃えてくれた。
 大和はその光景を見ながら、愛依がソールと話し終え、彼が唯我と愛依から離れるのを待って声をかける。
「朝比奈、今回の件はこれでいいだろ。依頼終了、でいいよな?」
「ああ。依頼終了で問題ない。今回は助かった。私からも感謝する」
 言葉遣いこそ堅苦しいが、マリが無事に保護された安堵している表情は隠し切れない。
 指導者と言っても、愛依だって自分と大差ない少女に過ぎないのだ。
「ま、今度俺の方で何かあったら頼む。ギブ&テイク……基本だろ?」
 愛依は、この前彼が執務室に来たことを思い出した。
「大和……」
 愛依が答えようとした直後、二人の姉妹の声で会話が中断された。
 見ると、助けてくれたんだからとサナに言われ、マリがおっかなびっくりヴォルクに近づこうとしている。
 見守っていると、こわごわ頭を撫でた。
「わんちゃん、ありがとう。ないちゃってごめんね」
 ヴォルクは気にしなくていいとばかりにすり寄る。
 こちらも一件落着といった所で、帰り支度が整った。


「ソールさんもよく頑張ったよね」
「友達の危機じゃからの」
「友達思いですね」
 リンヴォイに背負われながら得意げなソールにセラスが微笑む。
 ソールにも危険が伴う場所だったが、ソールがいなかったらマリはずっと泣いていただろう。
 物怖じしないのも未来の大魔導師である所以なのかもしれないが。
「サナちゃんには弟、マリちゃんにはお兄ちゃんなのかと思った」
「ソールじーじはともだちだよ!」
「じーじ……」
「ソールのはなし方がおじいちゃんに似てたの」
 アヅキがマリの呼び方に何とも言えない顔をしていると、サナがフォローを入れてくれた。
「言葉って大事だからぁ……」
 その言葉遣いが似合う姿になるまであとどれ位かかるのか。
 ……その辺りはあまり考えない方が良さそう。
 ミーティアはその辺は口に出さず、のんびりのんびり皆の会話に耳を傾ける。


「最終的に熊とゴブリンも出たから、本格的な調査は必要だろう」
 愛依と切菜の会話を大和は隣で歩きながら聞いていた。
「熊はホーリーさんが銃で仕留めてくれたけど、狼とゴブリンは健在だものね。でも、雪が融けるのを待った方がいいと思うわ」
(銃で、仕留めた?)
 大和は、眉を寄せた。
 あれだけ静寂に満ちている場所で銃を撃てば距離的にも離れてない場所まで銃声が響く。
 だが、そんな音は『聞こえなかった』
「銃で、仕留めたのか?」
「ああ。銃声が新手を呼ぶこともマリやソールがビビんのも考えなかったわけじゃないが、仕留めきれない方がマズイからな」
「結構大変だったけど、何とかなったよ」
 ホーリーに聞いてみると、ホーリーは銃声聞こえていただろうとばかりに鼻に皺を寄せた。
 アヅキが笑いながらその時のことを教えてくれるが、大和は先程までホーリーが銃を撃ったことを『知らなかった』
(未来の大魔導師……まさかソールが?)
 何かしているようには見えなかったが、自身を未来の大魔導師と紹介してきたソールが何かした可能性が高い。
 けれど、何かしたと断定できないことを子どもができるのか?
 大和は年寄りくさい言葉遣いをする小さな子どもの後姿を見た。
 けれど、任務は終わりだと大和は視線を姉妹へ移すと、二人の姉妹は仲良く背負われ、笑い合っている。優希花と言われる花も元気がなくならないようにした状態で持ってもらっており、家に帰ったら押し花として姉妹の仲を繋ぐものになるとか。
 疑問が生じたものもあるが、この森林公園でのさがしものは終わり、それでいい。


 さがしものは、もう、ありませんね?
 なら、皆で家に帰りましょう。

――――――――――――――――――――――――――――――――

<あとがきマスターコメント>

しおのです。
この度はご参加ありがとうございます。

まずは判定について。
皆さんのアクションの結果、マリは無事に保護され、仲直りのお花もサナへ渡すことができました。
最短最速でマリさんの元へ行けたのは大和さんの考察が当たっていたこととセラスさんの尽力が大きいですが、ガイドに痕跡が見つけやすい状態とあった通り、効率が大変良かったが為に向こうも皆さんの痕跡を見つけ、更に効率よく向かってきたことで、全種多数登場したとなっています。
この為、狼は撤退、ゴブリンは追い払うという結果になりました。

ガイドにて愛依から貸与されるものの中にある品や情報、『備品として存在する事務用品』に該当しない+事務室にも存在しない品、行動の結果他のPCの行動に悪影響が出てしまう行為、状況的に厳しい行為については判定として不採用とさせていただいています。
また、確定ロールと判断できる行為についても同様の判定を行っています。

リアクション公開後に改めてマスターページを更新いたしますが、ロスオル管理チームのマスターページも合わせて確認いただき、次に参加するシナリオのアクションに役立てていただければと思います。

初めてのロスオルのシナリオですので、少しでも皆さんに楽しんでいただければと自分にできることはやりました。
小説よりもいただいたアクションに対して、判定した私の返答の色合いが強い部分もあるかと思いますが、私なりに努力しましたので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

のんびりペースでのリリースとなりますが、また、ご縁があれば幸いです。

※管理チームより追記:管理チームNPC関係は、一部監修が入っております。

――――――――――――――――――――――――――――――――


<定員> 10人
<参加締め切り> 2月24日23時
<アクション締め切り> 2月28日23時
<リアクション公開予定日> 3月9日
<リアクション公開日> 3月6日

<参加者>
ヴォルク
刀神 大和
リンヴォイ・レンフィールド
アヅキ・バル
ミーティア・アルビレオ
ホーリー・ホワイト
セラス・アキュア
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  1. 2018/03/06(火) 17:30:00|
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