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【キャンペーンシナリオ】アルタン戦記 その0(ゼロ) ~プロローグ~

アルタン戦記 その0(ゼロ) ~プロローグ~


マスター:神明寺一総




 
「ーー大変重要なブリーフィングがあるので、召喚者の方々は必ず参加する事ーー」

 唐突に召集を受け、レヴィス・マレスティウスが大会議場に行くと、既に大半の召喚者が集まっていた。まずは人間。自分のようなエルフを始めとする、人以外の種族。そして、そもそも『人』ですらない者達--。そんな異相の集団が、一度に数百人を収め、かつては国会も開かれていた大会議場のそこここに、まばらに腰を下ろしていた。召喚者ガチャで喚ばれた異界の存在は、未だ100人にも満たないのが実情だ。
 レヴィスはどの集団からも少し離れた席に陣取った。彼はグループには属していない。孤独を好む癖はないが、用も無いのにつるむ趣味もない。

(それにしてもあの装置、もう少しマシな名前はなかったのか……)

 聞けば、「ガチャ」は子供のオモチャだというではないか。そんなオモチャに人生を左右されるこちらの身にもなって欲しい。

(そのオモチャに命を救われた身としては、あまりとやかくは言えないが……)

 議場に入場してきた朝比奈愛依に何気なく目をやりながら、レヴィスは思わず苦い顔になった。あの時の事は、思い出したくもない。

(おやーー?)

 レヴィスは登壇した愛依の、いつもと違う様子に目を留めた。表情がいつになく固い。それに資料を握る手にも、心なしか力が入っているようだ。よく見れば愛依は先程からずっと、議場の一点を見つめているように見える。振り返って、愛依の視線の先を確かめた。

 見慣れない男がそこにいた。向こうもこちらに気がついたようで、軽く会釈をして来る。レヴィスはそれに返しながら、さり気なく相手を観察した。
 人間。30代くらい。中肉中背。軍服を着ているあたり軍人のようだが、醸し出す雰囲気は書生か学者といった所だ。軍服の意匠から士官、それも佐官クラス以上なのは間違いない。
 「そつがない」というのが、レヴィスが男に抱いた第一印象だった。

(幕僚……というか、参謀か……?)

 異界から来た見知らぬ軍人。それを見つめる愛依。そしてこのブリーフィングーー。

(重要、というのはあながち大げさでもないらしい)

 レヴィスは、改めて気を引き締めた。

「皆さん、お待たせした。お忙しい所お集まり頂き、感謝するーー」

 そんなありきたりな口上から始まった愛依の発表を、どこか気怠げに聴く召喚者達。しかし愛依の口から出た言葉に、場内の空気は一変した。

「ーー今こそ私たちは、海外に活路を見出す時ではないだろうか。私は皆さんに、アルタン社会主義共和国連邦東部地域への進出を提案する。この決断にあたり、我々はどう振る舞うべきか。どうか皆さんのお知恵をお貸し頂きたい」

 そう一気に言って、深々と頭を下げる愛依。一瞬の静寂の後、議場がどよめきに包まれる。
 レヴィスは、振り返って先程の男を探した。男は変わらずそこにいた。身じろぎもせずに、壇上の愛依を真っ直ぐに見つめている。その顔は、心なしか紅潮しているようにも見える。
 ふいに、また男と目があった。
 男は今度は、満足気に頷いてみせた。
――――――――――――――――――――――――――――――――

<マスターコメント>

★注意!★

 このシナリオは『アルタン戦役』というキャンペーンの第ゼロ話、プロローグにあたるものです。
 また時間軸としては、「漫月国内の情勢がある程度落ち着きを見せ、海外進出の余裕が生まれた近未来(数ヶ月~数年先)」を舞台としています。
 これはアルタン大陸を舞台とする本キャンペーンと、漫月国を舞台とする他のシナリオの両方に円滑に参加して頂くための措置となります。



★アルタン大陸とアルタン社会主義共和国連邦★

『アルタン社会主義共和国連邦』(以下ア連)というのは、大洋を挟んで漫月国の西方に位置する『アルタン大陸』の全域と、その周辺の島々を領土としている大国です。オーストラリアと同程度の面積を有するアルタン大陸はいびつな「く」の字型をしており、中央部を南北に走る山脈によって、大きく東部・西部・南部の3つに分けられます。アルタン大陸には北から寒帯~亜熱帯までの気候帯が存在します。
 ア連は今から数十年前にアルタン大陸西部に成立した国で、わずかな期間で軍事大国化すると、10年余りでアルタン大陸内に複数存在した国を片っ端から征服・服属させ、一大強国となります。しかし、無理な拡張政策がたたり国内は常に不安定で、パンデミックを機に連邦内の共和国が次々と独立を宣言して内戦に突入。その結果パンデミック収束前には、既に国家としての体を成していませんでした。



★アルタン大陸東部地域

 アルタン大陸東部は最も遅れて連邦に編入された地域です。自然環境は厳しく、最北部にはツンドラ地帯が、内陸部には砂漠と荒野が広がり、人が住むのに適した地域は南部の沿岸域に限られます(気候帯としては寒帯~温帯に属す)。しかし天然資源に恵まれた土地であり、域内には多数の油田や鉱山を有します。



★アルタン東部進出計画

 愛依の提案は、このア連の東部地域に進出しようというものです。

「パンデミック後に残された国内の物資は既に底を突き始めており、元々資源の乏しい島国である漫月国がこの先も存続していくためには、海外において物資を確保する事が必要不可欠である」

というのがその理由ですが、では何故、アルタン大陸東部が初の海外進出先に選ばれたのか。その理由は2つあります。

 1つ目の理由は、アルタン大陸東部が豊富な資源を有している事。
 今現在愛依達に油田や鉱山の操業を再開させられるだけの能力はありませんが、パンデミック時の避難の慌ただしさを考えれば、現地には相当量の物資が手付かずのまま残されている可能性が充分にあります。実際、ア連から漫月国に避難して来た難民からその想定を裏付けるような証言が得られており、それらを確保するだけでも、当面の窮状を脱するには充分と言えます。

 2つ目は、この地域が現在ほぼ無住となっている事です。先のパンデミックの際真っ先に感染者の出たア連東部では、感染者の徹底した隔離と、非感染者の西部地域への強制避難が行われました。このためもし東部地域に進出したとしても、ア連当局や住民との衝突はまず無いと想定されるのです。また、ア連自体がパンデミック以前に崩壊していた事もあり、東部以外の地域から干渉もまず考えられません。

 なお進出と言っても、今のところ愛依達首脳部は「武力による実効支配」などは考えておらず、「放置された物資の確保」を最優先に、「生き残りの子供達の保護」「現地における脅威(モンスター等)の除去」程度を想定しています。



★アクションについて

 アルタン東部への進出にあたり、愛依達はまず、現地の状況を確認するため先遣隊を派遣する事にしました。PL達はこの先遣隊の一員としてアルタン東部に赴く事になりますがーー実は、それは次回以降の話。

 今回のシナリオは、

「アルタン大陸東部の何処をどんな理由で調査すべきかを提案してもらう」

 という体で、

「キャンペーンの舞台にどんな場所があるのかをプレイヤーに考えてもらおう!」

 というモノです(まだ行動計画の立案段階のため、『ゼロ』な訳ですねw)。

 アクションとしては最低限、

①調査すべき場所の名前
②そこがどんな場所か
③何故そこを調査すべきなのか(そこにどんな価値があるか)

 以上の3点を記載して下さい。

 場所の例としては、都市・町・村などの人口密集地、油田・鉱山・港・農場・畜産場等の生産施設、警察や行政、軍等の施設、遺跡・名勝・自然遺産等の観光資源、モンスターの住処……等が挙げられますが、キャンペーンの幅が広がるような(要するに面白いw)アクションであればドンドン採用して行きたいと思います。

 なお、基本的に一つのアクションで提案出来る場所は一箇所のみとします。ただし、同じ場所が複合的な要素を備えている(モンスターの生息地のど真ん中に遺跡がある、都市と港湾施設が併設されている等)のは問題ありません。

 また、その調査地点に対するPLの思い入れとか選定過程とか、もしPLがそこを調査するとしたらどういう風に調査するか、等を合わせて書いて頂けるとよりアクションが盛り上がるかと思います。


 なお、採用されたアクションについては、今後のキャンペーンおいて、「必ず」なんらかの形で登場させる事をお約束します(途中で打ち切りにならなければ、ですが……w)。


★登場NPC

本シナリオには公式NPC以外に、以下のオリジナルNPCが登場します。

 レヴィス・マレスティウス
 伊丹 満貞

 詳細については【NPC】の項目を参照して下さい。
 なお伊丹満貞は、ガイド内に登場した「軍服の男」です。


 では皆さんの腕によりをかけたアクションを、心よりお待ちしています。


<リアクション>

「愛依さん、プレゼンに出てみませんか?」
「え?プレゼン?私が……?何のプレゼンをするの?」
「ああ、プレゼンに出るって言っても、愛依さんがプレゼンするわけじゃありません。愛依さんは聴く方です」

 伊丹満貞は、キョトンとした顔をしている朝比奈愛依に向って一枚の紙をよこした。見れば、名前が箇条書きになっている。

「『ア東進出計画』なんですが、皆さんから候補地が10件ほど出まして。それぞれについて提案者から詳しく話を聴こうと思うんですが、それを愛依さんにやって頂こうかと」
「私?伊丹さんじゃなくて?」
「愛依さん、前に言ってたじゃないですか?『リーダーとして、みんなを引っ張っていけるようになりたい』って。その練習ですよ」
「練習……?」
「『報告を聴き、判断し、決断する』。リーダーには必須の能力です。練習しておいて、損はないと思いますけどね」
「う、うん……そうだね……」

 曖昧な返事を返す愛依。
 リーダーになりたいという願望はあるものの、まだその覚悟がついていないのだ。

「心配しなくても大丈夫ですよ、私もフォローしますから。練習ですよ、練習」
「う、うん……」

 愛依の返事はあくまで歯切れが悪い。

「イヤなら、無理しなくても良いですよ?」

 『怖いんですか?』と言わんばかりの伊丹の口調と、ニヤリと笑った口元。それが、愛依の自尊心に火を付けた。

「――ううん。やる。やるわ、私」

 愛依は、今度ははっきりと言った。伊丹に乗せられた気がしなくもないし、自信があるわけでもない。でも、やってみたいというのが気持ちに嘘はない。

「よし、決まりだ――それじゃ、この資料読んでおいて下さい。日時や場所の詳細は、後で連絡しますから」
「わかったわ」

 伊丹は愛依に資料を渡すと、席を立った。すれ違いざま、資料に目を通している愛依の頭をポンッと叩く。

「えっ……?」

 驚いて、頭を上げる愛依。振り返ると、ちょうど伊丹が部屋から出ていくところだった。

『頑張れ』

 愛依は、伊丹がそう言ってくれたような気がした。

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No.1 セラス・アキュア


「伊丹さんの、ウソつき……」
『ん?どうしたの愛依さん?よく聞こえない』
「なんでもないわよ!」

 半ばヤケクソ気味に大声を出す愛依。両の拳は、怒りで強く握られている。

 ここは、プレゼンの行われる会議室。
 といっても、簡素なテーブルに、椅子が向かいあわせに2脚あるだけの殺風景な部屋だ。いるのは、愛依一人きり。『フォローしてくれる』と言っていた伊丹の姿は、どこにもない。

『僕が一緒にいると練習にならないですからね――。大丈夫、室内にはカメラとマイクが設置してあるからプレゼンの様子はリアルタイムで把握出来るし、こちらから指示を出す事も出来る。プレゼン中は常に隣室に控えてるから、万が一の時にはすぐに駆けつけますし』
「う、うん……」

 こうまで用意周到に準備された上で、屈託のない笑顔でこう言われては、文句の一つも言い出せるものではない。結局愛依は一人でプレゼンをせねばならなくなったのであった。

『大丈夫ですよ。事前にあれだけ練習したじゃないですか。もっと自分に自信をもって』
「でも……」

 マイク越しに聞こえてくる伊丹の声は、憎らしいほど屈託がない。

『どれ、いつまでもこうしててもドンドン不安が増してくるだけですからね。早速始めちゃいましょう。最初の人、呼びますよ?』
「え?ええっ!」

 伊丹の教育方針は、どこまでもスパルタであった。



「私はまず、港町の調査を最優先すべきだと思います」

 最初のプレゼンテーター、セラス・アキュアは開口一番そう言った。

「物資を確保して漫月国へ送るには相応の船が必要になります。漫月国にある船を使ったとしても整備が必要になるでしょうし、港の確保は絶対必要です。港町ならその辺りの問題は解決出来そうですし、私の精霊達を休ませるにも、水が近くにある方がいいんです」

 セラスは水と光の精霊の使い手である。

「港町に行くんですから、移動方法はやはり船が良いと思うんです。ですから、船と一緒に海図も用意して海での移動の効率化を図りたいです。
それと海にいるモンスターがどのような物かを知るための資料も必要ですし、対処するための武器や道具があれば欲しいです。量産が可能であれば稼働できる船の数を増やせます」
「船、海図、武器資料ーー」

 セラスの要求事項を、手早くメモする愛依。

「港に着いたらまず、寝泊まりするための宿や食料などの確保をしておきます。海だったら漁業も可能でしょうし。もし、町に人が住んでいたらこちらから積極的にコミュニケーションを図って良い関係を築きたいと思います。きっと不安な日々を送っているでしようし、私たちが来ることで気持ち的に楽になる部分があると思うんですよね。可能ならある程度の食糧などを分ける事で対話がスムーズになるかもしれません。もちろんア連の状況も教えてもらいたいですし。あ!余裕が出来たら、みんなで海水浴なんかもしたいです!」

 キラキラと目を輝かせるセラス。
 それに対し愛依は、苦虫を噛み潰したような顔で言った。

「確かに、港の確保が重要なのは充分に理解できたわ。それでね、どこの港を調査するのか教えて欲しいんだけど……?」
「……え?」
「どこの港町を調査すべきか、具体的に候補地を挙げて欲しいの」
「え?えっと、それは……」
「……もしかして、調べて無いの?」
「ごめんなさい……」
「ありがとう。もう、良いわよ」

 愛依は大きなため息を一つ吐いた。


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No.2 刀神大和


「なんにしても生きていくためには食い物だ」

 刀神大和の主張は、すこぶるシンプルだった。

「それを生産している場所が現状どうなっているのかを確かめるのは、最優先事項だろう。可能であれば生き延びるためにそこを利用して食糧を生産していきたい――そこで、ココだ」

 大和が地図を指さした。

「広いわね……農場?となるとこっちの工場みたいのは……厩舎?」
「さすが朝比奈。察しが良いな。お前の言う通り、こっちが農場で、こっちは牧場だ。ツイギ兄弟ってのが経営してたらしく『ツイギファーム』っていう名前になってる。海から近いから輸送にも便利だろ?」
「そうね」

 地図を見ながら、海沿いにある町をチェックしていく。この辺りに、セラスの言っていたような港があれば良いのだが……。

「生き残った家畜がいれば増やしたい、家畜がいなければ農作物の生産に力を入れたい。そうして出来た食料を地域に提供したり、漫月国へ輸出出来るようにしたい。そうすれば、この地域で生きていく為の産業になるだろう?」
「そこまで出来るようになれば、言うこと無いわね」
「先の話だけどな――。それはそれとして、現地に着いたらまずはモンスターなどの障害の排除、その後に現状の調査。農場なり牧場なりが使えるとわかったら侵入防止用の柵を作って、鳴子なんかも仕掛けておく。そこまでやれば、長期間滞在も可能になる。だろ?」

 大和は『任せたろ』とばかりに胸を張った。



「今回は、良い場所が出て来たわね。ツイギファーム」
『立地は良いと思いますね。後は現地の状況次第ですが』
「……食べ物が残ってると良いわね」
『今の我々に収穫を待つ余裕はないですからね』
「次、行くわ……」

 暗くなりそうな気分を振り払うように、愛依は言った。


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No.3 織主桐夏


「調べるなら都市だろうな」

 織主桐夏の主張は明快だった。

「理由は二つだ。まず一つ。アルタンでの活動拠点にしたい。滞在期間はわからんが、その間住む場所は必須。なら使えそうな家とかを再利用したい。調査する街の規模がデカければ使える家も多いだろうし、残ってる物資だって多い。そうだろ?」
「それはそうね」
「二つ。現地民がいなくても国内の情報を得やすい。前情報通り現地民がいないなら自分達で情報を得なきゃならねえ。それじゃどこから情報を得るのがてっとり早いかといえば、役場とか国が関わる場所だ。そして調査する都市の規模が大きければそういう施設がある可能性は高くなるし、残ってる情報の精度も高いはず。そして、ここからはオレ個人の要望なんだが――」

 桐夏は、ここで思わせぶりに言葉を切る。

「本屋とかの書籍が多い場所も押さえておきたい。漫月はまだスマホとかが生きてるけど、ほぼ無人のエリアならそういった設備は動かないと想定すべき。ならば、情報を得る手段は基本紙媒体になる。だから先に見つけておきたい。新聞とか見つけられたら当時の情報とかも得られるだろうしな。それにアルタンの技術について書かれてる本があればそれを漫月で応用してさらなる復興に役立てる事も出来るはず――。俺の提案は以上だ」

 桐夏はここまで一息に言うと、伺うように愛依の顔を見た。しかし桐夏の期待に反して、愛依すこぶる機嫌が悪そうな顔をしている。

「……あのさ」
「お、おぅ」
「なんか、足りなくない?」
「え?……何が?」
「どこ調べるのよ――」
「え?」
「だから、どの都市を調べんのよ!都市調べるのが良いとか、アタシだってわかるわよ!ドコ調べるのかが重要なんじゃない!」

 バンッ!と机を叩く愛依。その顔は怒りで朱く染まっている。

「アンタはクソ作品確保出来ればドコでも良いんでしょうけど、こっちはそういうわけにはいかないのよ!」
「ゲッ!な、なぜそれを!?」
「わかるわよ、それくらい!」
「ば、バカな!なぜこの完璧な計画が――いや。この展開、この前見たクソアニメにあったような……」
「ふざけんなっ!出直してこい、バカッ!!」



『……落ち着きましたか?』
「もう大丈夫です……。スミマセン」
『ま、中にはああいう人もいますよ』
「アイツがプレゼンテーターだっていう段階で、覚悟しておくべきだったわ……」
『水、持っていきましょうか?』
「お願いします……はぁ……」

(この調子で最後まで保つかしら……)

 早くも不安が頭をもたげる愛依であった。


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No.4 公 玲蘭


「わたしが推薦する場所はこちら、『アルタン東部総合病院』です」

(良かった……ちゃんと場所がある……)

 それだけで思わずホッとする愛依。

「ここは国営の、アルタン東部地域の指定中核病院で、パンデミックの対応でも中心的な役割を果たしました。それだけに大量の医療物資が集積されていましたので――」
「手に入る可能性も高いという訳ね」
「はい。ただ、一つだけ問題がありまして」
「問題?」
「避難民から聞いた話なんですけど……この病院、ゾンビの巣窟になっているらしいんです」
「ゾンビ!?」
「この病院がパンデミックの時、中心的な働きをしたというお話はしたと思うんですけど、その結果、病院内には大量の感染者が隔離される事になって……。患者たちは死後ゾンビ化して病院内をさまよってるとか……」
「なんで死体がゾンビになったの?隔離された恨みとか?」

 怪訝な顔をする愛依。隔離されただけで死体がゾンビ化するなら、今ごろこの星はゾンビで溢れかえっているはずだ。

「これも噂のレベルに過ぎないんですが、病院は裏で軍とつながっていて、ゾンビの軍事利用に関する研究を行ってたとか……」
「ああ~……そういう……」

 アルタン連邦は軍事国家であり、国家の統制力の非常に強い社会主義国でもある。それだけにこうした噂は枚挙に暇がない。

「病院内をゾンビが闊歩してるので、医療物資も手付かずのまま残されているとか……」
「真偽の程はともかく、調べてみる必要はありそうね。本当にゾンビがいるのなら、駆除しておくに越したことはないだろうし」

 愛依は難しい顔で言った。



「ねぇ、伊丹さん。さっきの話、ホントだと思う?」
『ゾンビですか?どうでしょうね……あり得る話だとは思いますが……』
「伊丹さんの世界にはいなかったんでしょ?ゾンビ?」
「そうですね。ゾンビに限らず、化物の類は全て物語の中にしかいませんでしたね」
「良いなぁ……パンデミックも無いし……。私も、伊丹さんの世界に生まれたかったなぁ……」
『次、行きましょうか……』
「うん……」


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No.5 ミーティア・アルビレオ


「そうだねぇ。目指すとするならこことかどうかなぁ?」

 ミーティア・アルビレオは、地図の一点をペンで指し示した。

「アルタン国営放送、東アルタン支局?」
「物資はあまりないかもしれないけどぉ、情報は結構ありそうじゃない?私たちが知ってるのはぁ、だいたいがアルタン政府の公式発表でしょ?現地の生の情報を得るのも大切だと思うのぉ」
「確かに過去の資料を見ても、ア東の生の情報っていうのは、殆ど無いわね」
「でしょぉ。それにほらぁ、こっちとあっちで連絡とる必要もあるじゃない?こういった施設を確保できればぁ、それもやりやすくなるかなぁって。山の中ではあるけどぉ……多分一番近い大型通信設備ってここでしょぉ?それにぃ、向こうの生存者に呼びかけできるかもしれないしぃ。生存者の救援も目的に入っるんだからぁ、こういうのって大事だと思うのぉ。テレビやラジオが生きてるかはわかんないけどぉ……なにもしないよりはいいでしょぉ」
「それはもちろんそうです」
「あと、こういった放送局って有事に備えて攻めづらくなってるって聞いたことがあるからぁ、そういった点でもいいかなぁって」
「そうなの?まぁ山の上ではあるし、重要拠点の一つでもあるから、そういう事もあるかもしれないわね……。そういう観点からも、調査してみよう」
「……愛ちゃんも、大変だねぇ」
「え?」

 メモの手を止めて顔を上げる愛依。
 心配そうなミーティアの顔と目が合った。

「一人でみんなのプレゼン聴くんでしょぉ?」
「一人っていっても、伊丹さんもフォローしてくれるし……。それに、やるって決めたの私だから」
「そうなのぉ?」
「うん。私、リーダーとしてみんなを引っ張っていけるようになりたいから。これも、その練習」
「練習かぁ~。エラいなぁ、愛依ちゃん」
「そんなコトないよ。みんなをこの世界に連れてきたの、私だから。これくらい当たり前」
「愛依ちゃん。頑張るのは良いけどぉ、一人で無理するのだけはぁ、絶対だめだからねぇ?大変な時はいつでもお姉さんに甘えていいんだからぁ。愚痴でも相談でも聴いてあげるし、何でもしてあげるからねぇ」
「うん……。ミーティアさん、ありがとう」

 愛依は少し照れたように頬を朱くして、嬉しそうに頷いた。



『良かったですね、愛依さん。ミーティアさん良い人で』
「それは良いんだけど……放送局は優先順位は低いかなぁ」

 照れくさいのか、愛依はミーティアについて一切触れようとしない。

『良いじゃないですか。将来的な調査候補地として、押さえておく価値はあります』
「それは、そうなんだけどね」
『……次、行きますか?』
「うん」

 愛依の返事は、心なしか弾んでいた。


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No.6 ヴォルク

「わん!」
「次はあなただったのね、ヴォルク……」
「わん!」

 椅子の上にちょこんと座ったちょっと大型犬が、尻尾をパタパタさせながら元気よく返事している。

「わんわん!」
「わかったから、翻訳機使いなさいよ。何言ってんのかサッパリよ」
「おっとすまねぇ、うっかり忘れてた。よいしょ――っと。では改めて」

 ヴォルクは一つ咳払いをすると、地図上の一点をビシッと指(?)差した。

「トロイツキー大聖堂……?」
「ア東の犬族に伝わる伝説がある」

 遠くを見つめながら、ヴォルクは語り始めた。

「雪奥のある教会に、怪物に守られた杖があるという。その杖は神々に匹敵する力を持ち、守護する怪物に打ち勝った獣は、フェンリルの力を授かるという。しかし単独で怪物に打ち勝った者には神々の呪いが振りかかり、新たな怪物となってしまう。だから必ず人と獣が協力して立ち向かわねばならず、必ず人と獣の両方が生き残らねばならない」

 愛依は、じっとヴォルクの言葉に耳を傾けている。

「ア連が急速に強大になった裏のは、プーチンという人間と、ある秋田犬がこの力を手に入れた為と噂されている。その犬の名はソーンとも、あるいはミチターとも伝えられているが、詳しい事はわからない」

 ヴォルクは話を静かに話を終えた。

「えっと……、ヴォルク?あなたはその大聖堂に行って、何をしたいの?」
「ナニって……そんなの決まってる。オレは、杖の力を手に入れたい!このトロイツキー大聖堂は、伝説に出てくる教会と条件がピッタリだ!きっとここに杖があるに違いない!」
「つまり、強くなりたいのね」
「そうだ!」
「却下」
「な、なんだとぅ!」
「当たり前でしょ!半年先の生活も覚束ないのに、そんな所調査する余裕があるわけないじゃない!」
「だ、だが、オレがこの力を手に入れれば、きっとみんなの役に――」
「ダメ。どうしても行きたければ、独りで勝手に行って」
「い、イヤ、独りで行っても――」
「独りでも二人でも良いけど、調査対象には出来ないわ。止めやしないけど、協力も出来ない」
「そ、そんな……」

 ヴォルクはガックリと項垂れると、トボトボと部屋を出て行った。



「全く!なんなのよ、今の!」
『いやぁ~、個人の趣味丸出しでしたね』

 マイク越しに、ハッハッハと乾いた声が響く。

「笑い事じゃないわよ、もう!」
『まあまあ。そういう伝説があるという事がわかっただけでもいいじゃないですか。その神々だかフェンリルだかの力が必要になる事態にならないとも限りませんし。そのトロイツキ―大聖堂でしたっけ?チェックしておきましょう』
『……なんだか楽しそうね、伊丹さん』
「好きですよ、こういう話。私のいた世界ではみんな作り話でしたが、この世界なら現実かもしれないんですからねぇ。いや~、興味深い~』
「……次行くわ」


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No.7 ホーリー・ホワイト


「宗教施設、例えば教会なんかを調査したらどうだろうな?」
「宗教施設……」

 漠然としたホーリー・ホワイトの提案に、愛依の顔色がサッと曇った。今回も成果のないプレゼンになるだろうか。

「地域の宗教施設ってのは住民の心の拠り所だ。それだけに生き残りの住民や、場合によっては知的なモンスターなんかもいるかもしれん。そんな奴らとコンタクトを取るためには、宗教施設の調査を優先すべきだと思う」

「そういう目的ね」

 完全に想定外の目的に、へぇという顔をする愛依。

「それに宗教というのは、その地の思想や文化を知る上では大きな材料になるし、こちらが理解を示せば好感を持ってくれるかもしれん。感染者を徹底的に隔離したっていうなら医療施設だけじゃベッドも足りねぇだろうし、宗教施設も臨時の医療施設になってても可笑しくないしな」
「現地民との接触のために宗教施設を調査しようという話はわかったわ。優先順位は高くないけど、調査候補には入れておくわね」
「おう、よろしくな」
「えっと……他にナニか?」

 自分を見つめるホワイトの視線に気づいて、愛依が訊ねる。

「ああ、いや。大変そうだなと思ってな」
「それ、さっきもミーティアに言われた。……私、そんなに大変そうに見える?」
「ん~……。大変じゃないなら、頑張ってる、か?」
「うん。ガンバってはいるよ。でも、みんなを呼んだの私だし。責任を取るってわけじゃないけど、リーダーとして、みんなを引っ張っていけるようになりたいから」
「そうか。無理すんな」
「それもミーティアに言われた。大丈夫だよ、伊丹さんもフォローしてくれてるし、まだ練習だから。コレ」

 愛依が笑って言った。



(どうやら、オレの見込み違いだったみたいだな。てっきり伊丹に弱みでも握られてるのかと思ってたが――疑り深いのも考えものか。しかし、「リーダーになりたい」ねぇ……)

 ホワイトは愛依のいる部屋のドアを一瞥すると、カウボーイハットを目深にかぶり、一人その場を後にした。


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No.8 ドクター・D


「『要所攻略の起点を押さえたい』というのが私の考えだ」

 ドクター・Dは、静かにそう言った。

「海岸線からの距離、周辺にある施設の数。地勢。それらを総合的に勘案すると、ここが最有力だと思う」

 ドクター・Dは地図上のある地点を指し示した。そこは等高線の幅が狭く、ひと目で高地だと分かる。

「この丘と、その上にあるア連併合以前の軍事施設。ここを私は【碇の塔】と名付けたいと思う。『我々が碇を下ろすべき場所』という訳だな」
「碇の塔――」

 Dの語り口に、愛依は知らず知らずのうちに引き込まれていく。

「塔と名付けた通り、そこには複数の監視塔が存在する。視界を広く取れるのは、今後の調査にも防衛の観点からも有用だ。また簡素ながらも四方八方に道路が伸びており、交通の便もいい。ア連が成立してからは常駐する兵はごく少数だったようだが、食料や武器の備蓄もそれなりにあるだろう。塔だけでなく防壁や塹壕も充実しているから、守りに回ったときの防衛力も期待出来る――ま、敵などいない事を祈るがね」

 Dはあくまで静かに話を終えた。



「碇の塔か~。ちょっとカッコイイね~」
『厨ニ病ってヤツですか?そういう年齢ですものね、愛依さん』
「違うわよ!……って、良く知ってるわね伊丹さん、厨ニ病なんて」
『最近覚えました』
「名前はともかく、私なんかじゃ絶対気付かないような視点の話で、すっごい感心しちゃった。何ていうの?戦略的視点?」
『ほう。よく知ってますね』
「最近覚えました」

 二人はマイク越しに笑いあった。


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No.9 アヅキ・バル


 話は数日前に遡る――。


「う~ん、アルタン社会主義共和国連邦か~。国名から見ると、私のいた世界に昔あったソ連みたいな感じですかね~」

 アヅキ・バルは、漫月の図書館で、アルタン東部地方に関する資料を読み漁っていた。アヅキには、はっきりとした目的がある。

「やっぱりありましたよ~、温泉♪」

 嬉しそうにページをめくるアヅキ。彼女の目的は温泉なのだ。

「ナニナニ……『アルキンスキエ』。変な名前!野生動物と間近で触れ合える?これ熊が一緒に写ってますけど…イメージ画像ですよね?」

 先程から独り言連発だが、図書館は今アヅキの貸し切り状態だから、気を使う必要もない。パンデミックで人口の激減した世界では、珍しい事ではなかった。

「元々はピクニックに行った地熱発電所の職員が偶然見つけたのか……。余暇を利用してDIYでログハウス建てたのが口コミで広がって、旅行者もやってくるようになって……。知る人ぞ知る秘湯的な感じ?」

 次のページには、アルキンスキエ周辺の地図が載っている。

「近くに同じ名前の集落があって、そこから道がつながってて……。もっとも、まだ世界が平和だった時の話ですから、今はどうなってるかは分からないですよね~。モンスターがいるかもしれませんし」

(これ深夜アニメとかだと、触手モンスター潜んでたりとかするんだよなぁ……やだなぁ、それは)

 などと取り留めの無い事を考えながら、ページをめくるアヅキ。
 もうすっかりアルキンスキエに行く気マンマンである。

「でもいきなり『温泉行きましょうよ』って言っても上手くいかないでしょうし~。ココはやっぱり、これですかね~……」

 本格的に、プレゼンの内容を練り始めるアヅキ。
 そして、プレゼン当日――。


「地熱発電所か……ちょっと優先度低いですね~。重要だとは思うんだけど……」
「で、でも、電気ないと困りますよね!?」
「まずは、電気使う施設の確保から始めないと……」
「ホラ、近くに温泉もありますし!お風呂は大事ですよ、お湯でくつろげたら疲れも取れますし!だいたい、お風呂入れないとか許せないです。不衛生ですし、病気になっちゃいますよ!」
「お風呂はお風呂でちゃんと確保するから大丈夫だよ?」
「そ、そうなんですか……」
「……そんなに好きなの?地熱発電?」
「そうじゃなくて……もう良いです」
「……?」

 ポカンとしている愛依を残し、トボトボと部屋を後にするアヅキ。

「せっかく、水着も用意したのに……」

 アヅキの小さな声が、廊下の向こうに吸い込まれて消えた。


----------------------------------------

No.10 霜北凪


 再び話は、数日前に遡る――。


「随分熱心だな?ナニ調べてるんだ?」

 図書館で調べ物をしていたレヴィス・マレスティウスは、突然の声に顔を上げた。テーブルを挟んだ向こう側に、身長180センチくらいの大柄な男が立っている。黒髪、黒目、日焼けした肌。ぼさぼさの前髪に、無造作に束ねた後ろ髪。レヴィスは男に見覚えがあった。召喚者だ。名前は確か――。

「ここ、いいか?」

 レヴィスが返事をするよりも早く、男は椅子に腰を下ろす。

「あんた、レヴィス・マレスティウスだろ?オレの名前は――」
「霜北凪」

 ギリギリの所で思い出す。

「おっ?知ってるのか?さすがオレ様、有名人♪」

 霜北は満足気にニッコリ笑うと、椅子にもたれかかり、足を組み直した。レヴィスが自分の名前を知っていたのが、余程嬉しかったらしい。

(なんとも胡散臭い男だが、悪人という訳でも無さそうだ――)

 というのが、霜北に対するレヴィスの第一印象だった。

「ナニについて調べてるのか、当ててみようか?」
「前置きは良い。私に話があるんだろう」
「へへっ、コイツは話が早くていーねー。アンタがこの世界のエルフについて研究してるって聞いてね。耳寄りな話があるんだ」

 テーブルに身を乗り出し、声をひそめる霜北。いちいち仕草が芝居がかっている。

「声をひそめても、どうせ誰もいないぞ」

 レヴィスは読書の手を休めようともしない。

「オマエも知ってるだろ?ア東進出計画。あの日の会議、出てたもんな。そのア東に、ある特別なエルフがいるらしいんだ」

 『特別なエルフ』という言葉に、レヴィスの手が止まる。

「やっぱり興味あるよな?ヨシヨシ。コレは、オレが漫月に流れてきたものの夜の色街にしか仕事見つけられないで、更にはパンデミックでおっちんじまったダンサーいやいや飲み屋のおねーさんの子息筋からの情報ってヤツで、ア東が美人の産地っちゅー話を掘り下げていったら出てきた話なんだがな――」
「……もう少し手身近に話せ」
「まぁまぁ、すぐ終わるから――えっと、なんだっけ?そうそう。そのア東にな、『スノーエルフ』っていう珍しいエルフがいるらしいんだ」
「スノーエルフ……」
「聞いた事ないか?」
「いや。初耳だ」
「そうか。なら説明してやろうかねー」

 霜北はエラそうにふんぞり返ると、話を続けた。

「スノーエルフってのは、高身長で細身、白金色の髪を持つそれはそれは美形のエルフでな――まぁなんか歳取ると横幅方面に貫禄が増す説も耳にしたが、まあ、それはそれ――。やたら警戒心が強い上に対魔、寒冷抵抗が高くて、主に弓を使うことが多いけど、遠目と夜目が効いてるわ、スノーウルフを始めとする極地系のモンスター従えてることが多いから近距離戦に持ち込もうにもアレだわで、近年ではア連の東部進出と称する併合に対する抵抗活動の主軸を担ったらしーんだが、物量には勝てずに辺境から辺境に押しやられて、どうやらしまいにゃあ、あんまいい話になってないらしーんだ、コレが」

 レヴィスは霜北の話を一言も聞き漏らすまいと、じっと聞き耳を立てている。

「そもそもア連発足よりも昔から人身売買を主目的とする襲撃があったりしてたんだが、ア連併合下では弾圧バリバリに受けてたんで警戒心は激高だわで、最後の最後に里を隠したときには大魔導とゆー、一説によると戦略規模なじくーてんいまほー?を使ったとゆー説もあるわー、とにかく見た目以外もイロイロすげーのなんのらしー」
「大魔道?」
「この世界の魔導技術の最古の系譜を受け継ぐなんとやらとゆー話もあるって話だ」
「そうか……。スノーエルフ……」
「どうだ?面白そうだろ?」
「確かに大変興味を惹かれる話だが――その前に聴いておきたい。何故霜北は、この話を私に聞かせたのだ?」
「そりゃあモチロン、スノーエルフを探し出すのに協力してもらおうと思ってな」
「協力?」
「今度、ア東進出計画のプレゼンだろ?オレ様あーゆー堅苦しいの苦手でよー、しかも相手はあのメガネやろーだし」
「伊丹が嫌いなのか?」
「キライっつーか苦手っつーかめんどくさそーっつーか」
「つまりスノーエルフ調査のため、私にプレゼンをして欲しいと?」
「そーそーそー、さすが色男は話がはえー」
「ふむ……」

 レヴィスは顎に手を当てて思案を始めた。見た目が整っているだけに、ふとした仕草も様になる。

「どうよー?オマエも見てみたいだろ、すのーえるふ?」
「どうするか決める前にもう一つ、聴いておきたい事がある」
「今度はなんよー?」
「君は何故、スノーエルフを探したいんだ?スノーエルフを探し出してどうする?」
「そりゃあそんなんオレ様の夜のせいか――じゃなくて」
「成果?」
「ああそう成果せーか!オレ様の長年にわたるまどーぎじゅつのけんきゅーのせーかをよりレベルアップさせよーと思ってなー?」
「君が、魔導技術を……?」
「そーそーそー、能あるタカだからオレ様ってば」
「……」

 薄ら笑いを浮かべる霜北の顔をジッと見つめるレヴィス。どう見ても彼を疑っているようにしか見えないが、霜北は霜北でその視線を真正面から受け止めて顔色一つ変えようとしない。

「――ま、良いだろう。調査には協力しよう」
「さっすがれーびすちゃーん!そうこなくっちゃーねー!ぷれぜんはもらったようなもんだなーもー!」

 やおらレヴィスの両肩を掴み、バンバンと叩きまくる霜北。
 レヴィスは一つ大きなため息を吐くと、霜北の両手をゆっくり自分の身体から離した。

「勘違いするな――調査に協力はするが、プレゼンはしない」
「あん?」

 鳩が豆鉄砲食らったような顔をしている霜北を、レヴィスは促すように椅子に座らせる。

「良く考えて見ろ。スノーエルフはとても長年迫害を見つめる受け、警戒心がとても強いのだろう。そこに集団が押し掛けたらどうなるか」

 ハッとした顔の霜北に、レヴィスは更に続ける。

「そんな事をしたら、スノーエルフは向こう百年時空の彼方に引きこもったまま出てこないかもしれない。そんな危険を犯すくらいなら、手間はかかっても君と私だけで捜索すべきと思うが――違うか?」
「いやいや、もーおっしゃるとーりゆーとーりで」

 先程の勢いはどこへやら、霜北はすっかり毒気を抜かれたようになっている。

「では、プレゼンの件は君からキャンセルしておいてくれ。それから、スノーエルフについての情報収集は引き続き頼む。どんな小さな情報でも欲しいからな。私も知り得た情報は逐一君に提供しよう。具体的な調査計画については、充分な情報が得られてからだ」

 そう言ってレヴィスはやおら席を立つと、霜北に向って右手を差し出した。

「改めて、これからよろしく頼む」
「あ、ああ。こちらこそ、よろしく」

 すっかりレヴィスの勢いに飲まれ、促されるまま手を握る霜北。いつの間にか口調まで別人のようだ。

「では、これで」

 霜北を後に残し、スタスタと立ち去っていくレヴィス。

「うーん……。声かける相手、間違ったかねー」

 霜北の『夜の生活』が充実するのは、当分先の話のようだった。


----------------------------------------

「伊丹さん、10番目は?」
『ああ、それですか。実はキャンセルになりまして』
「キャンセル?」
『はい。ですから、今日はこれで終了です』
「終わり!?あー!疲れたー!」

 やっと解放されたとばかりに、思い切り伸びをする愛依。
 ほどなくガチャリとドアの開く音がして、伊丹が姿を現した。

「お疲れ様でした。これ、どうぞ」

 愛依の正面に腰を下ろすと、清涼飲料を差し出す。

「ありがとう」

 愛依はペットボトルの蓋をひねると、美味しそうに飲んだ。
 はぁ~っと、大きく息を吐く。

「どうでした、今日のプレゼンは」
「まず、港の確保が最優先ね。当然町もセットで確保するわ」

 手元のメモを見ながら、愛依は言った。

「次に【碇の塔】。その後は現地の状況次第だけど、出来たらツイギファームは押さえておきたいわ。食糧問題は早く解決したいもの」

 既に彼女の中では、ア東進出計画の概要が出来上がっているようだった。

「良いですね。あのプレゼンを聴いて、そこまで判断出来れば合格です」
「合格?ウソ!?やったー!」

 文字通り飛び上がって喜ぶ愛依。普段おとなしい彼女には珍しい事だ。

「さて、それでは最後にもう一つプレゼンを聴いてもらいましょうか」
「え?さっき今日はもう終わりって――」
「私のプレゼンを聴いて下さい」
「伊丹さんのプレゼン!?」
「はい。今日のプレゼンを聴いて、私も提案したい事が出来まして」

 愛依の前に広げたままになっている地図の、海岸線の一点を指差す伊丹。

「港湾都市リガティア。我々が最初に確保すべき地は、ここ意外考えられません」

 伊丹は強い力を込めて言った。


                               No.11 伊丹満貞

――――――――――――――――――――――――――――――――

<あとがきマスターコメント>

皆様お待たせ致しました。リアクションのお届けでございます。

Twitterでも呟きましたが、とにかく今回はネタかぶりしやしないかとハラハラしてたわけなんですが、幸い無事にバラけていましてホッと致しました。……みんな、打ち合わせとかした?(笑)

なにぶんにも久し振りのPBW、上手く書けるかどうか心配だったんですが……ナニも変わってませんでしたね。下手にもなってないけれど、上手くもなっていないとゆー(笑)

次回はいよいよエピソード1!先遣隊を乗せた船がいよいよア東へ向け出発致します。しかしそこはそれ、そうすんなりと目的地に着くハズもなく……!

続きは近日公開(予定w)のエピソード1のシナリオガイドで!

今回はご参加いただき、ありがとうございました!
次回もまたよろしくお願いします!


追伸

Twitterでお知り合いの方には、個別にマスターコメントを差し上げようと思います。

Twitterユーザーで、まだお知り合いでない方は、コレを機会にフォロー頂けると喜びます(露骨なダイマw)。

アカウントは【@jinmyoji】です。こちらもよろしくお願いします♪

――――――――――――――――――――――――――――――――

<定員> なし
<参加締め切り> 4月15日23時
<アクション締め切り> 4月19日23時
<リアクション公開予定日> 4月29日

<参加者>
ヴォルク
刀神 大和
アヅキ・バル
ホーリー・ホワイト
ミーティア・アルビレオ
セラス・アキュア
ドクター・D
織主桐夏
霜北 凪
公 玲蘭


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