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【コモンシナリオ】第八話(最終話) さよなら、小川町

第八話(最終話) さよなら、小川町


マスター:有沢楓花




 
 まんげつ造のある都市から離れたとある場所に、瀬織市という小さな市がある。
 中心部は都会的な賑わいを見せ、離れれば田畑や牧場も見られる、そこそこ都会、そこそこ田舎という何かにつけ便利な市だ。
 その「そこそこ田舎」な場所に、小川町はあった。

 そしてどんな町もそうであるように、小川町にも出会いとそして別れの時が近づいていた……。


                      *


 試食会から一ヶ月後の某日、ららモール瀬織。ここは土地開発の一環であちらこちらに建てられていたショッピングモールだ。
 パンデミック以前の休日には多くの買い物客で賑わっていたのだろう、ゆったりと歩ける見通しの良い広い通路と、その中央にある開放感のある吹き抜け。そこに飾られている観葉植物――だったもの――や造花が特徴的だ。
 三階にはレストラン街があり、通路の両端に和食から中華、エスニックまで並んでいる。そのうちの一軒「タベルナ」では早朝から町長会議の準備が進められていた。
 前日までにすっきりと掃除した店内。ブラシで磨いた木製のテーブルに石鹸がほのかに香るランチョンマットを敷き、食器を整える。
 厨房でも冷蔵庫と作業台とコンロの間を往復しながら、次々と料理を作っていく。
 午前11時。
 手作りのチェック表片手に見回っていた町長代理の長谷川 陽向(はせがわ ひなた)は、紙の下端まで指を滑らせると、周囲を見回し、ひとつも埃と染みとしわのない様子に、満足げに頷いた。
「よし、全て順調だ。時間に充分余裕があるから、各自最終チェックを頼む。その後は本番まで適宜休憩して欲しい」
 生徒たちは「はい」と答えて仕事を続けた。彼らの横顔に緊張感はあるものの、お墨付きをもらったせいかちらほら安堵の笑顔が見える。
 今日の招待客は六名。二つの町の町長及び同行者がそれぞれ二名。小川町はおもてなし側であり、人数で威圧感を与えすぎないよう殆どの生徒は裏方に回る。
 こちらで全面に立つのは生徒会の町長立花 凪(たちばな なぎ)と陽向だった。
 そして召喚者たちもだ。予行演習通り、食事を紹介しつつ談話して相手からの理解を得ようということになっていた。
「勝算はあるのかい?」
 町長・立花 凪(たちばな なぎ)が陽向ににやりと笑う。
「町長としては如何です?」
 陽向がやり返すと彼女は肩をすくめた。
「ま、最初はジャブだよジャブ。初めて会う人とお弁当のおかず交換はできないでしょ? 今日は最終合意に至るための顔合わせくらいに考えておこうよ」
「第一の目標は警戒を解くこと、第二の目標は次回会議の開催決定、第三の目標は町長会議の継続合意……でいいですか」
「うん。そんな感じでいこう。ちょっとずつ前進すれば最後にはゴールに辿り着くってね。あとは緊急に必要な物資の洗い出しと分配が出来たらいいな」
「議題に加えておきます」
 陽向はチェック表に書き込むと、レストランを出てぐるっと辺りを一週した。
 広い通路の両端には、加賀 陸(かが りく)と部下が警戒に立っている。今回は武器はシンプルに拳銃を服の下に隠している。
 異常なしという顔だ。
 陽向は戻ると時計を見て、凪に視線を移し頷いた。
「……うん、そろそろかな。陸、出迎えに行こう。陽向と雨音はここをよろしくね」
「ええ、陽向の見守りは任せておいて」
 生徒会書記の斎藤 雨音(さいとう あまね)が鍋をかき混ぜていた手を一時休めて、ひらひら振った。


 凪は猫のような伸びをすると、陸を伴って約束の場所、ショッピングモール一階の正面入り口へ向かった。
 光量をやや落としたモールの床にコツンコツンと踵の音が反響する。
 無人のモールは放棄されてから時間が経ってはいたが、まだどこか日常を残していた。掃除こそ必要なものの、人が入ればすぐに営業を始められそうに感じるのは、路上でアスファルトを割って生い茂る草や、魔物が湧く川を見てきたからだろうか。
 それに実際、今残された子供たちにとっては、ここは廃墟でなく宝の山。
「子どもの時さ、砂場で山作って棒立てなかった? 順番に砂取っていって、棒が倒れたら負けってやつ」
 正面入り口に到着すると、凪は振り返らずに問いかけた。答えを期待しているわけではない。比喩ってやつだ。
 その後しばらく沈黙していると、
「……相手が来たね」
 両開きの自動ドアの向こうに、各三人ずつ、二組の姿が現れた。
 町長が二人、同じ歩調で、互いに視線を交わして足を踏み出す。その後を各二名が続く。
 ドアが開く。
 現れた顔に向けて凪は大げさなほどフレンドリーな身振りで出迎えた。
「お忙しい中、わざわざのお運びありがとうございます。初めまして、小川町の町長・立花凪です。こちらは使者に同行したので覚えがあるかと思いますが、加賀陸です」
 手を差し出す。二人の町長が勢いに押されてごく控えめに差し出した手を、ぐっと強く握る。
 二人とも凪と年齢はさほど変わらない青年だ。
「お疲れでしょう、食事をご用意しています。それともモールを先に見学されますか?」
「案内はいいよ、下見はした。勝手に持ち出されたらかなわないんでね。ああ、俺は川野町の町長、原田だ。よろしく」
 ウェーブのかかったクセ毛の青年は、握手した手をすぐに引っ込めると疑り深い視線を向けてきた。
 それに対してもう一人の町長、髪をきっちりと撫で付けた青年がすぐさま反応する。
「わたしは白川町の町長、伊集院だ。……で、君は我々を信じていないと、こういうことか? 会って早々会談に臨む気が無い、と。ならば帰ってもらって結構」
「はん、本心じゃ仲間外れにしたいってか?」
 原田が探るような目を向けると、伊集院はしばしにらみつけ。
「下見はしたが、勝手に持ち出してなどいない」
「する余裕もなさそうだなあ? 連れてるのも嬢ちゃんとちびっ子か」
「不愉快だ。帰らせてもらう!」
 顔を合わせて一分もしないうちに険悪な雰囲気が漂う。
 両者に付いてきた二人の部下たちはハラハラしたように状況を見守っていた。確かに川野町の方は二人とも体格の良い、高校生くらいの少年だ。それに比べて白川町は年長の女性と中学生くらいの少年である。
 凪は内心で苦笑しつつ、
「――まぁ、まぁ。せっかくご足労いただいたんです。ここはお茶だけでも一杯」
「そう言われれば……わたしたちも受けないわけにはいかないな」
「やれやれ」
 二人の町長は顔をしかめたり肩をすくめる。
 凪が先が思いやられそうだと密かに思いながら、レストランへ先導した。陸は無表情のまま最後尾につく。
 凪はクールダウンさせるために少しだけ遠回りしながらモール内を案内する。
「衣料品店はまんべんなくありますが、一階は他にスーパーと食料品や雑貨、二階には家電など大型店舗とフラワーショップ、三階にレストラン街とカルチャーセンター等ですね」
 町長たちの機嫌と歩幅に注意しつつ長い通路を歩き、停止させたエスカレーターを二階まで登った時、
「……済みません。トイレに行ってきて良いですか?」
 白川町の少年がぱっと手を挙げた。一呼吸も置かずにすかさず原田が許可を出す。
「仕方ねぇな。行ってこい。集合場所は分かるな?」
 済みません、とぺこりと頭を下げて少年が走り去る。
「タベルナだよ。ああ、そっちは家電売り場でトイレは逆方向――もう行っちゃった」
 凪が伸ばした手の行き場を無くしていると、今度は中学生ほどの少年が伊集院をちらりと窺って、俺もトイレに行ってきますと言うなり駆け出した。
 今度は先の少年とも違う方向だ。
「だからそっちも、花屋しかない……」
 一行はしばらく待ったがなかなか帰ってこないので、先に向かうことにした。
 そしてゆっくりとホームセンターを回ってから先ほどのエスカレーターへ向けて歩き出したとき――突如としてフロアの灯りが消え辺りは暗闇に包まれた。
 驚きと小さな悲鳴が混じる中にコツコツコツと床を動き回る足音が混じり合う。
「止まれ! 人や物に衝突する危険がある、非常灯がつくまで動くな……」
 緊張をはらんだ陸の声に、それでも全員が落ち着こうと努めていると、今度はフロアに男の悲鳴が起こった。
「うわああああ!」
 何が起こったのか。目を凝らすが暗闇で何も見えない。
 誰もが武器を構え状況を把握しようと精一杯な中、唐突に非常灯がついた。
 通路の両脇から放たれる緑色の光の中にぼんやりとそれぞれの輪郭が浮かび上がり――目が慣れた頃に見えたのは、原田が呆然と目を見開いて壁際を指さす姿だった。
「何……だよあれ……? 怪物がいるなんて知らねぇぞ!?」
 陸がポケットの中の懐中電灯のスイッチを手探りで入れ、ぱっと照らせば、大きな影が壁面から天井にかけて伸び上がっていた。
 徐々に下にライトを向ければ、照らされたのは……。
「……大人……!」
 そこにいたのは大人、いや大人の体格をした、首から吊り上げられたような姿勢で歩く何かである。
 既に腐敗しており骨からこぼれ落ちそうな肉を揺らして歩くそれは、まるでホラーゲームに出てくるゾンビだった。少し変わっている点があるとすれば、口から緑色の触手のようなものがうねうねと獲物を求めてさまよい、目や耳からふさふさと葉を茂らせていることだろうか。
 それが一体、急にダッシュして突っ込んでくる。
 凪が手に風を巻き起こして破壊すると、背後の壁にぶつかったゾンビがトマトのように潰れた。触手はなおも動いていたが自力で移動は出来ないようだ。
「不手際はお詫びします! が! 今はこの状況を何とかするのが先ですっ!」
 彼女がそう叫んだのは、ライトの中に再びゾンビの姿が一体、二体と浮かび上がったからだった。
 どこから来たのか、見逃したのか。小川町の面々は一度は見回りはしたものの、必要な物資が得られる場所以外は(管理事務所を除き)ざっと外から見ただけだ。バックヤードや非常階段などは調べていなかった。
「十三、十四……数え切れねぇ。どこにこんなにいやがった? こんなことになるなら……」
 原田が舌打ちして魔法銃を暗闇へ向けると、トイレに行っていた二人の少年が別方向から愕然とした顔で戻ってきた。
 白川町の少年の方は既に襲われたのかべったりと肉をくっつけている。
「三階は灯りが付いてました」
 息を切らした二人の報告に凪が手を大きく振って促した。
「エスカレーターまで急いでください。私と陸が殿を務めます」


                      *


「……遅いわねぇ」
 雨音が息をついた。
「温めるタイミングがあるんだけどなぁ、何かあったのかしら……ん?」
 スマホにメールが届いた。
 ――停電、ゾンビ発生、数体突破。対処頼む。
 陽向と同時にメールに目を通し顔を見合わせると、二階と三階を繋ぐエスカレーターから、死者の群れが汚泥が徐々に溢れるように歩み寄ってきた。
 陽向は驚きと悪臭に息を詰まらせたが、咳払いをして必死に声を上げる。
「戦闘可能な者だけでエプロンを脱いでエスカレーター前へ。なるべく撃つな、叩くな! 掃除が増える! レストランは施錠、絶対に料理は死守してくれ!」
「私は管理事務所に行って、照明の状態を確認してくるわ」
 右手には非常用階段の表示があった。ここから管理事務所に行くことができる。
 事前の調査では、モールの電源やら監視カメラ、施錠などを一括で管理できることが分かっていた。ついでに仮眠室なども付いており、近くには屋上。ゾンビが来たら立てこもるには最適だ。
「ゾンビ映画じゃないんだから」
 雨音は武器を掴むと、二、三人と共に階段へ続く扉を開いた。

――――――――――――――――――――――――――――――――

<マスターコメント>

 こんにちは、有沢です。
 小川町のシナリオ、第八回です。今回が最終回となります。

 今回のシナリオの目的は、三者会談の成功です。
 全員揃ってレストランに着席し信用を互いに得ることが目的……ですが、それ以前にゾンビ発生及び町長たちが少し隠し事をしている状況のため、解決が望ましい状況です。
 するべきこととしては、
 ・ゾンビ退治(エスカレーター周辺)、料理を守る
 ・隠し事の推理や今回のゾンビ発生現場の制圧
 ・料理する、料理提供中/後のアピール、交渉、会議前の掃除の時間稼ぎなど
 などが考えられます。
 会談が成功すれば瀬織市の安定と発展が約束されるでしょう。
 ゾンビですが、数は二十体程度です。倒すのは剣や銃など武器があれば簡単です。一般人でも一対一なら数体は倒すことができます。
 ただかなり腐敗しているために、拳での殴り合いでも周囲1メートルほどはびしゃびしゃになってしまいます。
 レストランが汚れると掃除が大変でしょう。ちなみにフィットネスクラブがあるためシャワーを浴びることは出来ますし、着替えもモールには沢山あります。
 ……などと色々書いていますが、全体的な難易度は普通です。

 そして最終回ですので、ガイドにない状況へのアクションも可能といたします。
 モール内や小川町・海亀公園やその周辺に存在しそうな施設へのアクションは可能です(例としては、発電所は可能ですが核融合研究所はないでしょうし、内容によっては対応できない場合もあります。済みません)。
 またダブルアクションも可能といたしますが、個々の描写が薄くなる可能性があります。


 それでは、小川町最後のアクションをお待ちしております!

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  1. 2019/07/10(水) 03:40:24|
  2. リアクション

【レアシナリオ】水花芽復興報告書

水花芽復興報告書


マスター:沢樹一海




 
 パンデミックが起き、大人が死に絶えてからそろそろ1年が経とうとしている。子供達は1年分成長し、ささやかな誕生日パーティーが開かれることも多くなった。
 また、朝比奈愛依が召喚者ガチャを開発してからも随分と月日が経った。召喚者達の協力で漫月造から離れた町の子供達の状況も判ってきて、不透明な部分は少しずつだが減ってきている。
 愛依の執務室では、現在の状況をまとめ、記録するための会議が行われていた。
「県外にも行けるようになったし、食料の自給率が上がったから餓死する子供もいなくなったわ。お腹が満たされることで前向きに生きようとする子が増えて、学校も活性化してきてる。それに、10代後半の生き残りの多くが自分達で出来る仕事を考えて動き始めたわ。自警団の人数も増えたし、一番助かるのが医大に通っていた人達ね。これまで薬局にある市販薬だけで凌いできたところを、正しい病気の診断が出来るように残った教材で勉強しようとしてる。まあ……皆が皆、動き出したわけじゃなくて怠けている子もいるけど」
「怠けてる?」
 パソコンを打ちながら言う夜桜切菜に、冨樫 慶太が聞き返す。
「そう。怠けてるというより、危機感が無いっていうのかしら。食事に不自由しなくなってきたことで、自分達が何もしなくてもこのまま暮らせるって思っちゃって何もしない子達ね」
「あー……そういうことか」
 慶太は困ったように頭を掻いた。
「ああそうだ、大人達の火葬だけどな、何か月か前に一通り終わって、今は遺族にタグを返して回ってるとこなんだ。それも終わったら、自警団に入ろうかと思う」
「自警団……それは助かるな」
 彼の炎の力が加われば、魔物退治は格段に楽になるだろう。
「僕は今、電気やガス、水道の設備の確認を進めています。マニュアルが残っていましたから、思っていたより何とかなりそうです。その設備の近くに住んでいる子供達とも仲良くなって、彼等も協力してくれています」
 唯我の報告を、切菜はパソコンに入力していく。やがて手を止めると、彼女は愛依と目を合わせた。
「それで……召喚者ガチャの改造は進んでいるの?」
「うん。……もう少ししたら、召喚者を故郷に戻すことができるようになると思う」
 愛依はこの時だけ素の口調で、少し寂しそうな表情で言った。
 室内がしんみりとする。
 けれど、呼び出した者は戻さないといけない。それは、喚び出した側の義務でもある。
「…………」
 沈黙が落ちた中、唯我はそっと扉を開け、執務室から姿を消した。


――――――――――――――――――――――――――――――――

<マスターコメント>

かなりフリーシナリオに近いシナリオになります。

月日が経ち、漫月造周辺から始まった復興活動も少しずつ変化を見せてきています。
召喚されたPCが、今、それぞれ何をしているのか、
現状の水花芽に何を思い、これから何をしようとして、そして、「故郷へ帰る」ことに対してどう考えているかなど、
自由にアクションを書いていただければと思います。
勿論、ガイドの内容に言及したアクションもOKです。

また、これまでのメインシナリオの中で、何かすっとばしていることがありそうでしたらその辺もちょこちょこと書いていただけると幸いです。質問コーナーのようなものです。

尚、このシナリオでは

ダブルアクション、
トリプルアクション

を認めます。

残り何回シナリオを出せるか分かりませんが、やり残しのないようにアクションを書いてください。

よろしくお願いいたします。 続きを読む
  1. 2019/07/07(日) 16:32:11|
  2. リアクション

【コモンシナリオ】第七話 同じ釜でご飯をつくろう

第七話 同じ釜でご飯をつくろう


マスター:有沢楓花




 
 まんげつ造のある都市から離れたとある場所に、瀬織市という小さな市がある。
 中心部は都会的な賑わいを見せ、離れれば田畑や牧場も見られる、そこそこ都会、そこそこ田舎という何かにつけ便利な市だ。
 その「そこそこ田舎」な場所に、小川町はあった。


「食糧事情が改善したお祝いに、今日は君たちの故郷の美味しいものを、紹介してもらおうと思うんだ
 町長・立花 凪(たちばな なぎ)が召喚者たちに向かってした発言は、全く無計画に食料を消費したいという欲求からではなかった。
「いや腹ぺこは腹ぺこだけどね」
 町長代理の長谷川 陽向(はせがわ ひなた)が補足する。
「この前のキマイラがいなくなったことで、ショッピングモールに偵察に行くことができ、非常用発電機が問題なく稼働していることが判明した。
 物資は潤沢で小型発電機を一台を入手。食料も幾らか運んできた。
 だがあの子供たちを返すことでいくつかのコミュニティとの接点ができたし、それらの町もショッピングモールの解放を知った」
 パンデミック前後、小川町とその周辺では子どもが失踪する事件が起きていた。事件を解決し救出した召喚者たちは各コミュニティに子どもたちを無事に帰すことができたのだが……。
「今後起こりうる物資の奪い合いその他の衝突を未然に防ぐためには、同じ釜の飯を食べる、というのがいいと思う。正確には同じかまどで食事を作るのが小川町、食べるのが両方だが」
 全ての町が慣用句に近い状態になるには時間がかかるだろうが――そして別段町を合併するつもりもないが、物資も人の手も足りない世界では一蓮托生の面がある――それを目指すと言いたいらしい。
 上手く言えなかったせいか、彼はごほんと咳払いをし、
「それから……僕ももっとよく皆について知りたいと思っているし、他の町の人にも“召喚者”が夫々背景がある個人だって分かってもらうのにうってつけじゃないかと思う。
 だからモールでの町長会議の提案を手紙にして使者を送った。会議の際に提供する食事を考えて欲しい」


                      *


「人助けで問題が発生するっていうのはねぇ……」
 生徒会書記の斎藤 雨音(さいとう あまね)が鍋を火から下ろす。今のところ、小川町中学校の給食室は問題なく稼働している。
「助けた恩を感じてくれてれば仲良くなれそうだけど、どこもそれより生存が先って感じだったし」
 実際、お礼もそこそこに門を閉ざされたような感じなのだ。とはいえ、それも最初に召喚者を迎えた小川町の面々の態度とそう大差は無いので面と向かって非難するつもりもない。
 立花は苦笑した。
「それで召喚者が複数人いるっていうのも知られた。召喚者はそれだけで“武器”だね。この辺は他に召喚者もいないようだし、脅威に感じられたのかもしれない。
 ただね、逆に頼られたってこっちも小川町へ大人数受け入れするのは厳しいし――」
 立花は、ボウルの中の砂糖とクリームをガシャガシャと泡立て器でかき混ぜていた。
 悩ましげに言葉を切ると、ボウルからバットに移す。なめらかなクリームの合間に冷凍ベリーを放り込むと、ラップをかけて冷凍庫の扉を閉じた。
「よし、できた。あとは待つだけで簡単アイスのできあがり」
 振り向けば、陽向と目が合った。彼は棒を三角錐のような樽の中で上下させて、バターを作っている最中だった。
 牛乳は少量だが牧場から運んでくることができたので、自分たちで乳製品を試作してみることになったのだ。
 召喚者だけに料理を任せるわけにはいかない。
「はっく……しょん……ん、こっちはかまどの準備ができたぞ。これからピザを焼く」
 加賀 陸(かが りく)がマスクの下で時折くしゃみをして鼻をすすっている。
 校庭に、ホームセンターや地元の店で調達してきたレンガとセメントで作ったかまどは、調理は勿論のこと簡単な陶芸にも使える。
「燃料は杉だ、よく燃えている」
「薪って言えばいいじゃない」
 雨音が分かっていてそう言うと、何故か勝ち誇ったような笑みをマスクの下に浮かべた。
「そんなことを言っていられるのも今のうちだけだぞ」
「家族はアレルギーと無縁だったの。とりあえずカッテージチーズなら出来上がったからすぐ持ってくわ。
 そういえばこの前の研究所の件で私と何人かで再訪問したでしょ? 最初に長谷川から聞いてた話とこの前確認した時で薬の在庫が違ってたんだけど」
「何の在庫だ?」
 陽向が、吐息に疲労を滲ませながら訊いた。
「臨床実験の前段階の薬。キマイラを作るんじゃなくて、動物の能力を人間に取り入れる薬……確かネコ科のがひと瓶」
「そうか……ざっと見ただけだから在庫数が僕の記憶違いかもしれないな。明日にでも再確認してこよう」
 あの後、小川町の面々は子供たちを送り届けること、キマイラを閉じ込めることに注力していた。キマイラの処分と薬類の廃棄は後回しにしたのだ。
 立花は陽向の肩をいたわるように叩く。
「で、さっきの話の続きをすると……物資の奪い合いに武力は論外。それ以外の競争になれば輸送手段の車の運転手がいない小川町は遅れをとる」
 その点は召喚者にも説明してあった。
 それから小川町の現状報告、ショッピングモールの偵察結果報告、キマイラ処分日の検討などなども。
「なら車の運転ができる召喚者に指導を依頼しよう」
 陽向が言って、額の汗を拭った。

――――――――――――――――――――――――――――――――

<マスターコメント>

 こんにちは、有沢です。
 小川町のシナリオ、第七回となります。
 『Lost Old』運営終了が発表されまして、残り少なくなりましたが、よろしくお願いいたします。

 今回のシナリオは、次回シナリオとのインターバル及び前回のシナリオの整理です。
 次回シナリオとの関係もありつつ、基本的には、故郷の料理を作ってみんなで試食しようというシナリオです。
 前回の整理については、キマイラの扱いになります。特に反対の理由が無ければ処分されることになります。
 また、自動車等の運転ができる方は教習をお願いしています(報酬は鶏肉の塩竃焼き)。
 舞台は小川町(海亀公園含む)の中のみとなります。

 食材は、今回特別に用意したということで、基本的なものなら揃っているとしてアクションをかけられます。
 ただ消費期限が短いものに関しては用意できない可能性があります。モールの冷蔵庫は稼働していますが、野菜は冷凍や缶詰など以外の野菜は腐ってしまっているので小川町内から採れるものだけ、などです。


●海亀公園について
 拠点についてもアクションをかけることは出来ます。
 今までのガイドと基本的には変わりませんが、
 ・井戸を手入れすれば使えそうである
 ・飲料水はペットボトルの濾過装置でそこそこ安定供給がされるようになった
 ・水道水が使用可能になっている
 ・畑は耕されています。現在は豆、小松菜、ジャガイモ、タマネギ、トマト。(その他、既に植えたことにしても構いません)
 ・田んぼには稲が植えられ、収穫途中。(全て収穫した、でもOKです)
 ・ホームセンターからキャンプに使えそうな物を運び入れた
 ・中学校では羊と鶏も利用できるようになりました
 ・モールへの道が開通したため、食糧事情が一時的に改善(NEW!)


●町の利用について
 住民として認められています。
 町の施設の利用が出来ますが、物資は豊富とは言えません。
 あからさまな監視役はいませんが気にされてはいるので、不審な行動(武器を手に持ったり)は見咎められます。

それでは、アクションをお待ちしております。

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  1. 2019/04/22(月) 02:28:47|
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【コモンシナリオ】宇尾県探索

宇尾県探索


マスター:沢樹一海




 
 漫月国の首都県である水花芽県の周囲は全てが川だ。この川――巫女月川(みこづきがわ)の幅は最大100メートルあり、各所に橋が架かっていた。それを壊したのは、水花芽県の自警団だ。
 パンデミックが起こったのは水花芽県からではなかった。
 その為、他の県からまだ無事な――加えて、他と隔絶された『島』と言える水花芽県に人が殺到したのだ。彼等の上陸を防ぐ為、県の自警団は橋を全て壊した。
 結果として、水花芽県は完全な孤島となったのだ。
 子供達だけになった今、朝比奈 愛依達は他の県にも行ってその様子を見たいと考えた。
 その上で巫女月川に水底トンネルを作り始め、あと少しで完成というところまでこぎつけていた。
「これで宇尾県に行けるわね」
 夜桜 切菜は愛依の執務室で表情を引き締めた
「宇尾県だけじゃなく、他の県にも行くことはできるよ。だけど……」
「……それは、向こう側の人達にとっても同じことなのよね」
 2人は軽く溜息を吐いた。トンネルが開通したことに宇尾県の子供達が気が付いたら、彼等がこの水花芽県に来る可能性が高い。
「あっちが友好的であればいいんだけど、どうだろう……」
 パンデミック時、まだあまり被害が及んでいなかった水花芽県は、逃げてきた宇尾県の大人達を受け入れずに橋を壊してしまったのだ。それから水花芽県がどうなったか知らない宇尾県の子供達は、親達が助からなかったのは水花芽県の所為であると思っているかもしれない。
「こっちに来てても亡くなっていたでしょうけど、見捨てたのは事実よね。愛依だったら、水花芽県を許せる?」
「……許せないかもしれない……でも」
「でも?」
「水花芽県が被害に遭っていないと思っていれば、恨みや憎しみよりも、ここを『物資があるユートピア』だと考えて憧れているかもしれないな」
「それなら友好的……に接してくれるかしら。私だったら強奪に走るかもしれないけど」
「…………」
 2人の間に沈黙が落ちる。
「……トンネルが出来たら、宇尾県に気付かれる前に様子を見に行こうか」
「そうね。召喚者達にも声を掛けて……愛依も行くの?」
「……ほら、視察はする必要あるから」
 誤魔化し笑いをする愛依の顔には『行きたい』と書いてある。好奇心だけではなく、使命感のようなものもあるのだろう。
「分かった。皆で行きましょう。あ、ちなみに、水底トンネルって一部強化ガラスも使っていて、川の中が見えるみたいよ」
「川の中かあ。それはロマンチックだね」
「トビラニアの泳いでいる姿が見えるわよ」
「……モンスターだよね」
「モンスターよ」
 トビラニアとは、体長2メートル程の細長く、口と牙が大きい魚系モンスターだ。普段は魚を食べているが、近付く人間を捕食する危険な存在である。多くが水面を跳ね飛んでいる為、常に水の揺れが激しくて船も出せなかった。トンネル内から見る分には安全だろうけれど。
「虹色をしているし、意外と綺麗なんじゃないかしら」
「うーん……」

 ――ということで、愛依と切菜、召喚者達は水花芽県の隣、宇尾県に視察に行くことになった。


――――――――――――――――――――――――――――――――

<マスターコメント>

 大変お久しぶりです。
 こちらは、隣の県、宇尾県の探索シナリオです。それぞれ気になることを調べてみてください。

 ガイドでは愛依と切菜だけということになっていますが、慶太はトンネルまでバスの運転手として同行します。誘えばその後もついてくるかもしれませんし、緒方唯我と屍蔵聖もついてくるかもしれません。

 愛依と切菜が不在のまんげつ造では、警備の少年達が建物と子供達を守っています。

 スマホで宇尾県の最新情報を調べるのは不可能です。宇尾県は県独自のSNSシステムを持っていて、県民は全てそのSNSを使っています。アクセスするには、宇尾県住民のログインIDを持っていなければいけません。

 テレビは使えません。電源をつけてもノイズが入るのみです。

 以上になります。
 皆様のアクションをお待ちしています。

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  1. 2019/02/24(日) 15:46:47|
  2. リアクション

【キャンペーンシナリオ】アルタン戦記 その2 ~難航~

アルタン戦記 その2 ~難航~


マスター:神明寺一総




 
 タチアナ・ユロフスキーは、食堂に向かっていた。
 織主桐夏から貸して欲しいと頼まれた教本を探すのに予想以上にて間取り、小腹が空いてしまったのだ。いつも通りなら、夕飯のカレーがまだ残っているはずである。

(あれ?明かりが……?)

 食堂のドアの隙間から、弱い明かりが漏れている。今この船は節電中だから、人がいない部屋は全て明かりを消す事になっている。つまり、誰かいるのだ。そしてその人物は恐らく、カレーを食べているに違いない。

(うわ!カレー残ってるといいけど……)

 自然とタチアナの歩く速度が早くなる。最後の数歩は小走りになって、食堂のドアを開けた。

 テーブルの上に、食べかけのカレーが一人分置かれている。まだ手を付けたばかりという様子だ。

(1人だけか、それならまだきっと――)

 食べかけのカレーを横目に見ながら、テーブルの角を曲がって厨房へと急ぐ。不意にその足が何かにあたり、彼女は大きく前につんのめった。とっさにテーブルを掴んで身体を支える。

(一体ナニよ、こんな所に――)

 と言いかけ、彼女は大きくを息を呑んだ。
 目の前の床に、人が倒れているのだ。

「……アレクセイ?ちょっと大丈夫、アレクセイ!?」

 倒れていたのはアレクセイ・アシモフだった。咄嗟に駆け寄り彼を抱き起こそうとするタチアナ。しかしその手に『ねっとり』とした感触が広がる。タチアナは、その感触に覚えがあった――血だ。手のひら全体に、血がべっとりとついている。見ればアレクセイの口から上半身にかけてが、ドス黒い血に染まっていた。

「アレクセイ!しっかりしてアレクセイ!?」

 タチアナの呼びかけにも、アレクセイは全く反応を示さない。返ってくるのは、弱々しい呼吸の音だけだ。タチアナはアレクセイの身体をそっと横たえると、壁のインターホンをひったくり、叫んだ。

「誰か!誰か来て!アレクセイが、アレクセイが血を吐いて――!早く、アレクセイが死んじゃう!!



「――容態はどうです?」
「思わしくない」

 伊丹満貞に訊ねられたレヴィス・マレスティウスは、厳しい顔で言った。彼の視線の先のベッドでは、青白い顔をしたアレクセイが横になっている。エルフであるレヴィスは、その長い人生の中で医師としての経験も積んでいた。専門家ではないが、薬草医として一通りの事は出来る。

「どうやら胃から出血したようだ。だいぶ大量に吐血したようだし、このまま出血が止まらないと危険かもしれない――脈も弱い」
「彼は確か胃を病んでいましたね……胃潰瘍ですか?」
「正確な事はわからない。神楽岡 航君の持ってきた薬の中に胃潰瘍の薬があったので、投与してみたが……。元々胃が弱っていた所にカレーのような刺激物を食べたのが原因かもしれないし、毒を盛られた可能性もある。」
「毒を盛られたんですか?」
「あくまで可能性の問題だ。まだ何も調べてはいないからな。ま、調べた所で、化学的に生成された薬品が原因だったら、詳しい事はわからんだろう。私はそっちの知識はさっぱりでな」
「近代的な科学や医学に精通した人物がいないのは痛いな……。しかし、仮に毒だったとして、一体誰が、なんのために?」
「さぁな。今回の作戦に反対する者の犯行か、あるいは怨恨か……」
「作戦に反対する者?人殺しをしてまで作戦を止めたいと思う者なんていますかね?そんなに計画に不満があるなら、出港前にもっと強行に反対するでしょう。でも、そんな人間はいなかった」
「仮定の話だよ。正直私には見当もつかん」

 レヴィスはそう言って肩を竦めた。

「しかし参ったなぁ……。船長ナシで船を動かせるかどうかを考えただけでも頭が痛いのに、その上さらに殺人未遂の捜査までしないといけないとは」

 うんざりだ、という顔で伊丹が言った。

「わかっているとは思うが、捜査をするなら慎重にな。船員同士の疑心暗鬼を招くような事態は避けたい」
「それでなくてもウチは寄り合い所帯ですからね」

 思い立ったように、伊丹は立ち上がった。

「さて、そろそろ行きます。やる事が山積みなので――アレクセイの容態は、マメに報告して下さい」
「心得た。キミも大変だな」
「ま、大変なのは覚悟の上ですがね――。今はこれ以上厄介事が増えないのを祈るのみです」

 そう言って、足早に医務室を出ていく伊丹。
 しかしそんな彼の願いは、早々に打ち砕かれる事になる。



「……え?嵐が来る?」

 スタルカ号の甲板上で、伊丹は素っ頓狂な声を上げた。
 彼の頭上には、満天の星空が広がっている。

「これ、見てください」

 伊丹はオリガ・ユロフスキーから渡された双眼鏡で、彼女の指差す方を見た。レンズの向こうの空には一面の黒雲が広がっている。

「そんな……過去20年分のデータには全部目を通したんだ!この時期に嵐なんて一度も来たことはないぞ!」

 伊丹は悲壮な声を上げた。

「この距離だと、あと半日もすれば暴風圏内に入ります」
「なんとしても回避するんだ。アレクセイがいない今、嵐に突っ込むのは避けたい」
「難しいとは思いますが……出来る限りの事はします」

 応えたオリガの顔にも悲壮感がありありと浮かんでいる。

「頼むよ」

 伊丹はオリガに双眼鏡を返すと、厳しい顔でその場を立ち去った。


 未だ目的地の影さえ見えぬ間に、『アルタン大陸東部進出作戦』は早くも危機を迎えていた。

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<マスターコメント>

★注意!★

 このシナリオは『アルタン戦役』というキャンペーンの第3回目になります。これまで一度もキャンペーンに参加していない方でも問題なく参加出来ますが、過去2回の話は読んでおくのを推奨します。


★前回までのあらすじ

 逼迫する物資事情を解決するため、アルタン大陸東部(ア東)に進出することになった召喚者達。伊丹率いる先遣隊は、ア東から救助要請のためにやってきた貨客船スタルカ号の乗組員をメンバーに加え、一路ア東の港湾都市リガティアを目指した。


★アクションについて

 シナリオの舞台は前回から引き続き、リガティアへと向かう航海の途上にあるスタルカ号。
 しかしスタルカ号の行く手には嵐が迫っており、しかも充分な操船技術を持つ唯一の人物だった船長のアレクセイ・アシモフは、吐血して倒れてしまいました。
 プレイヤーは嵐に対処しつつ、何故アレクセイは倒れたのか、その真相を探らねばなりません。


 アクションとしては最低限、

①何をするのか(極力具体的に)
②何処でするのか
③何故それをするのか(行動の意図・狙い)

 最低でも、以上3点を記載して下さい。

 その他、もしいれば

④一緒に行動したいPC・NPCの名前

 も書いておくといいでしょう。




★登場NPC

本シナリオには公式NPC以外に、以下のオリジナルNPCが登場します。

 伊丹 満貞
 レヴィス・マレスティウス

①アレクセイ・アシモフ
②オリガ・ユロフスキー
③タチアナ・ユロフスキー
④マリア・ユロフスキー
⑤アナトーリ・ハバロフ

 伊丹とレヴィスについては【NPC】の項目を参照して下さい。
 アレクセイ以下の①~⑤については、下記を参照して下さい。


①アレクセイ・アシモフ 人間 男 20歳
 リガティア沿岸警備隊の隊員。階級は軍曹。
 船員の中で正規の軍人としての訓練を受けた、ただ一人の人物。
 船を操ったり海図を読んだりといった航海に関する知識を有するただ一人の人物であり、そのため船長を務めている。
 優秀で決断力もあるが生来の心配性であり、そのため船長の職を負担に感じ、ストレスから胃を病んでいた。夜食にカレーを食べた直後に大量に吐血し、意識不明の重体に陥った。


 以下2~4は姉妹。いずれ劣らぬ美形。

②オリガ・ユロフスキー 人間 女 18歳
 整備士。整備士として正規の訓練を受けている。
 船の整備の他、無線を扱ったり計器を読む事も出来るため、アレクセイのサポートを行う事も多い。
 長女という事もあり、責任感が強く面倒見が良い。几帳面な性格。
 アレクセイがいない中、船の舵を取らざるを得なくなる。


③タチアナ・ユロフスキー 人間 女 17歳
 副整備士。正規の訓練を受けておらず、オリガの指導を受け技術を習得した。しかし実際に行えるのは点検と簡単なメンテナンス程度で、修理は姉に任さざるを得ない。
 やや勝ち気な性格で、男勝りな言動もしばしば。姉やアレクセイを気遣うあまり、背伸びする傾向がある。
 アレクセイが倒れてからすっかり寡黙になり、何事か酷く思いつめている様子である。


④マリア・ユロフスキー 人間 女 14歳
 食事の用意から洗濯まで、船内の雑用一切を一手に引き受けている。
 健気な頑張り屋。実は3姉妹の中で一番合理的。
 自分が作ったカレーを食べたせいでアレクセイが倒れたと思い、ふさぎ込んでいる。


⑤アナトーリ・ハバロフ 人間 男 13歳
 リガティアから車で数日の距離にある小さな漁村出身。
 出港していくスタルカ号を見て、父の遺品である小さな漁船で追いかけたもののエンジンの故障により漂流。アレクセイ達に助けられる。
 普段はマリアの仕事を手伝っているが、船長の仕事に興味があるらしく、たびたびアレクセイを質問攻めにしては3姉妹にたしなめられている。ちょうどアレクセイが倒れた直後に、船体下部へと向かう姿を目撃されたのを最後に、姿を見た者はいない。



★スタルカ号

 全長約130メートル。総トン数・総積貨数共に約7000トンの中型貨客船。艦齢約20年。古びてはいるが、充分航海に耐えうる状態である。
 貨客船であるため、一等・二等船室や各種娯楽設備なども備える。
 出港直後に機関が不調に陥って全速が出せなくなり、航海期間が延長。漫月出港時には充分な量の物資を積んでいたものの、不測の事態に備え、燃料節約のため節電を実施している。

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  1. 2019/02/06(水) 01:35:22|
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