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【キャンペーンシナリオ】アルタン戦記 その1 ~出港~

アルタン戦記 その1 ~出港~


マスター:神明寺一総




 
 少年は、海を見ていた。
 ゆるやかな右下がりのカーブを描き続ける成績に対する、両親や担任の突き上げ。何につけ空気を読むことを強要される友人関係。それら全てに嫌気が差し、海に来るようになってもう何年経っただろうか。
 家庭。学校。友人関係――。
 そうした、逃げ出したかったモノ全てが消え去って久しいというのに、少年はまだ、毎日のように海に来ていた。
 丘から臨む漫月の海には、行き交う船の影一つとてない。パンデミック後の世界において、遠洋航海を成し得る国は未だ存在せず、漫月もまた例外ではない。代わり映えしない水面を日がな一日眺めるのが今の少年の日課であり、その日もそうして一日が終わる――はずだった。その時までは。

(ん……?)

 なんとも言えない違和感を感じて、少年は彼方に目を凝らした。海と空の境目。水平線が、空の青と混じり合って溶け合う辺りに、何かシミのようなモノを見つけたのだ。そのまま、身じろぎもせず見つめ続ける事数十秒。

「あ……」

 小さな声が、少年の喉から漏れた。目が大きく見開かれる。彼方のシミは、今や黒い点となっていた。

「あ……、ああ……!」

 驚きのあまり石になったようになっている少年を尻目に、黒い点はドンドンその大きさを増していく。今やその点は、ハッキリとした船の形を成していた。

「ふ、船だ――。船が、船が来たんだ!」

 少年は弾かれたように立ち上がると、転げるように丘を下っていく。

「ブォーーーー」

 何かに憑かれたように駆けていく少年の耳に、遠くから汽笛の音が届く。

「みんな、船だ!船が来たんだ、船が!!」

 少年はあらん限りの声で叫んだ。



「いやー、まさかア東から船が来るとはねー」

 朝比奈愛依は『感心した』という風に呟いた。その目は、伊丹満貞が半日足らずでまとめた報告書に向けられている。既に一度目を通しているため、流し見、という体だ。

 何十ヶ月か振りに漫月の港に入港した船の名は『スタルカ号』。アルタン大陸東部の港湾都市リガティアを母港とする貨客船である。

「しかも乗員はたったの5名。うち遠洋航海の経験があるのは、船長役の元二等航海士1名だけだっていうんですからね。まさに奇跡ですよ」

 愛依の話に伊丹が相槌を打つ。自分で取り調べにあたったのでなければ、にわかには信じられない話だ。

「やっぱり覚悟が違うのかしらね。国に残してきた人達の命が懸かってるんだものね」

 スタルカ号の船長、アレクセイ・アシモフの話によると、現在リガティアではほぼ全てのライフラインが停止。食料も底を突きかけ、このままでは次の冬は越えられないという。漫月国が召喚ガチャのお陰で復旧の途にあると聞いた彼等は、この絶望的な状況を打開すべく一か八かの賭けに出た。はるばる海を越えて、漫月国まで救援を要請しに来たのである。

「お願いします。俺達を、国の子供達を助けてください」

 そう言って頭を下げるアレクセイの悲壮な顔が、満貞の脳裏にまざまざと甦った。

「ね、伊丹さん。助けに行くんだよね?元々ア東に行くつもりだったわけだし」
「もちろんです。渡航のための船と乗組員が向こうからやって来てくれた訳ですからね。文字通り『渡りに船』ですよ」

 ア東進出計画が具体化してから、既に数ヶ月。ア東に行くための船と人員の確保が出来ず切歯扼腕していた伊丹にとって、今回の件はまさに天佑と言って良い。

「良かった~」

 伊丹の言葉に心底ホッとした顔をする愛依。

「既にスタルカ号の整備や物資の調達・積み込みを急ピッチで行っています。完了し次第、出港です」
「間に合うと良いけど……」
「間に合わせます。必ず」

 伊丹は決意に満ちた顔で言った。


 数日後――。

「いってらっしゃい。気をつけて」
「吉報をお待ち下さい」

 手早く出港準備を調えた伊丹は、スタルカ号と5人の乗員、それに先遣隊のメンバーと共に漫月を出港した。目指すはア東の港湾都市リガティア。まさに「冒険」と言って良い、期待と不安に満ちた旅立ちであった。

――――――――――――――――――――――――――――――――

<マスターコメント>

★注意!★

 このシナリオは『アルタン戦役』というキャンペーンの第1話にあたりますが、前日談として第ゼロ話がありますので、実質第2話となります。
 第ゼロ話に参加していない方でも問題なく参加出来ますが、第ゼロ話は一通り読んでおいて下さい。
 また時間軸としては、「漫月国内の情勢がある程度落ち着きを見せ、海外進出の余裕が生まれた近未来(数ヶ月~数年先)」を舞台としています。
 これはアルタン大陸を舞台とする本キャンペーンと、漫月国を舞台とする他のシナリオの両方に円滑に参加して頂くための措置となります。


★あらすじ

 第ゼロ話で具体的な目的地が決定し、順調に進むかに見えたアルタン東部進出計画ですが、まだ実行段階にも入らぬ内から思いもよらぬ理由で頓挫することになりました。漫月には、先遣隊をアルタン大陸まで送るための船も、その船を動かせる人員もいなかったのです。パンデミック後の混乱の中、海原に乗り出すような余裕はついぞありませんでした。
 元商船学校の学生や工業系の学校の生徒を乗組員や整備士として養成し、放置され痛みの激しい船を修復して――と、『出港出来るようになるまで少なく見積もっても数年はかかる』という報告に、計画立案者である伊丹が頭を抱えてきた所にやってきたのが、ア東から来たスタルカ号でした。
「飢餓の危機にある子供達を救ってほしい」という乗員の懇請を伊丹は快諾。伊丹とPC達先遣隊は、一路アルタンへの航海に出発したのでした。



★アクションについて

 今回のシナリオの舞台は、リガティアへと向かうスタルカ号。
 期間は漫月出港直前からア東到着まで。

 プレイヤーの皆さんには「この航海の間をどう過ごすか」を考えていただきます。

 NPCやPCと交流を深めるもよし。
 船内作業を手伝うもよし。
 何か気になる事を調べるもよし。
 もちろんただだのんべんだらりと過ごすのもよし(笑)

 今回の航海はとにかく人手が足りませんので、炊事洗濯掃除などの雑事から船の点検整備、航海の警戒監視に至るまで、キャラクターのやる仕事は五万とあります(労働を強制される訳ではありませんが、働かないとそれはそれで周囲の風当たりがキツくなるのは間違いありません)。


 アクションとしては最低限、

①何をするのか(極力具体的に)
②何処でするのか
③何故それをするのか(行動の意図・狙い)

 最低でも、以上3点を記載して下さい。

 その他、もしいれば

④一緒に行動したいPC・NPCの名前

 も書いておくといいでしょう。

 場所の例としては、スタルカ号のブリッジ、機関室、貨物室、厨房、食堂、バー、遊戯室、図書室、各個人の船室、アクションが出港前であれば漫月国内の何処か……等が挙げられますが、キャンペーンの幅が広がるような(要するに面白いw)アクションであればドンドン採用して行きたいと思います。



★登場NPC

本シナリオには公式NPC以外に、以下のオリジナルNPCが登場します。

 伊丹 満貞
 レヴィス・マレスティウス

①アレクセイ・アシモフ
②オリガ・ユロフスキー
③タチアナ・ユロフスキー
④マリア・ユロフスキー
⑤アナトーリ・ハバロフ

 伊丹とレヴィスについては【NPC】の項目を参照して下さい。
 アレクセイ以下の①~⑤については、下記を参照して下さい。


①アレクセイ・アシモフ 人間 男 20歳
 リガティア沿岸警備隊の隊員。階級は軍曹。
 船員の中で正規の軍人としての訓練を受けた、ただ一人の人物。
 船を操ったり海図を読んだりと航海に関する知識を持っているのは彼だけであり、そのため船長を務めている。
 優秀で決断力もあるが生来の心配性であり、そのため船長の職を負担に感じている。


 以下2~4は姉妹。いずれ劣らぬ美形。

②オリガ・ユロフスキー 人間 女 18歳
 整備士。整備士として正規の訓練を受けている。
 船の整備の他、無線を扱ったり計器を読む事も出来るため、アレクセイのサポートを行う事も多い。
 長女という事もあり、責任感が強く面倒見が良い。几帳面な性格。


③タチアナ・ユロフスキー 人間 女 17歳
 副整備士。正規の訓練を受けておらず、オリガの指導を受け技術を習得した。しかし実際に行えるのは点検と簡単なメンテナンス程度で、修理は姉に任さざるを得ない。
 やや勝ち気な性格で、男勝りな言動もしばしば。姉やアレクセイを気遣うあまり、背伸びする傾向がある。


④マリア・ユロフスキー 人間 女 14歳
 食事の用意から洗濯まで、船内の雑用一切を一手に引き受けている。
 健気な頑張り屋。実は3姉妹の中で一番合理的。


⑤アナトーリ・ハバロフ 人間 男 13歳
 リガティアから車で数日の距離にある小さな漁村出身。
 出港していくスタルカ号を見て、父の遺品である小さな漁船で追いかけたもののエンジンの故障により漂流。アレクセイ達に助けられる。
 普段はマリアの仕事を手伝っているが、船長の仕事に興味があるらしく、たびたびアレクセイを質問攻めにしては3姉妹にたしなめられている。



★スタルカ号

 全長約130メートル。総トン数・総積貨数共に約7000トンの中型貨客船。艦齢約20年。古びてはいるが、充分航海に耐えうる状態である。
 貨客船であるため、一等・二等船室や各種娯楽設備なども備える。
 漫月出港時には、充分な量の物資を積んでいる。



 では皆さんの腕によりをかけたアクションを、心よりお待ちしています。



※ここから下はキャンペーンの舞台設定となります。内容は第ゼロ話と同じです。

★アルタン大陸とアルタン社会主義共和国連邦★

『アルタン社会主義共和国連邦』(以下ア連)というのは、大洋を挟んで漫月国の西方に位置する『アルタン大陸』の全域と、その周辺の島々を領土としている大国です。オーストラリアと同程度の面積を有するアルタン大陸はいびつな「く」の字型をしており、中央部を南北に走る山脈によって、大きく東部・西部・南部の3つに分けられます。アルタン大陸には北から寒帯~亜熱帯までの気候帯が存在します。
 ア連は今から数十年前にアルタン大陸西部に成立した国で、わずかな期間で軍事大国化すると、10年余りでアルタン大陸内に複数存在した国を片っ端から征服・服属させ、一大強国となります。しかし、無理な拡張政策がたたり国内は常に不安定で、パンデミックを機に連邦内の共和国が次々と独立を宣言して内戦に突入。その結果パンデミック収束前には、既に国家としての体を成していませんでした。



★アルタン大陸東部地域

 アルタン大陸東部は最も遅れて連邦に編入された地域です。自然環境は厳しく、最北部にはツンドラ地帯が、内陸部には砂漠と荒野が広がり、人が住むのに適した地域は南部の沿岸域に限られます(気候帯としては寒帯~温帯に属す)。しかし天然資源に恵まれた土地であり、域内には多数の油田や鉱山を有します。



★アルタン東部進出計画

 愛依の提案は、このア連の東部地域に進出しようというものです。

「パンデミック後に残された国内の物資は既に底を突き始めており、元々資源の乏しい島国である漫月国がこの先も存続していくためには、海外において物資を確保する事が必要不可欠である」

というのがその理由ですが、では何故、アルタン大陸東部が初の海外進出先に選ばれたのか。その理由は2つあります。

 1つ目の理由は、アルタン大陸東部が豊富な資源を有している事。
 今現在愛依達に油田や鉱山の操業を再開させられるだけの能力はありませんが、パンデミック時の避難の慌ただしさを考えれば、現地には相当量の物資が手付かずのまま残されている可能性が充分にあります。実際、ア連から漫月国に避難して来た難民からその想定を裏付けるような証言が得られており、それらを確保するだけでも、当面の窮状を脱するには充分と言えます。

 2つ目は、この地域が現在ほぼ無住となっている事です。先のパンデミックの際真っ先に感染者の出たア連東部では、感染者の徹底した隔離と、非感染者の西部地域への強制避難が行われました。このためもし東部地域に進出したとしても、ア連当局や住民との衝突はまず無いと想定されるのです。また、ア連自体がパンデミック以前に崩壊していた事もあり、東部以外の地域から干渉もまず考えられません。

 なお進出と言っても、今のところ愛依達首脳部は「武力による実効支配」などは考えておらず、「放置された物資の確保」を最優先に、「生き残りの子供達の保護」「現地における脅威(モンスター等)の除去」程度を想定しています。
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  1. 2018/10/13(土) 15:14:00|
  2. リアクション

【レアシナリオ】七野瀬の蛟(みずち)

七野瀬の蛟(みずち)


マスター:桂木京介




 
 なかば水没していた。
 集落が、だ。
 水は既に脛のあたりまで達しており、ひどいところでは腰まで浸かる勢いだ。土色の水をじゃばじゃばとかき分け進む作業は、歩行というより水泳なのではないか、そんな錯覚すらおぼえる。
「雨が来るたびこうなるの。今度のは、とくに悲惨」
 だんだん水かさが増している、と厨子川 恵(ずしかわ・めぐみ)は言ってレインコートのフードをかぶり直した。半透明のフードは、自身の呼気でうすく曇っている。
 雨が降っている。恨みがましく、しとしとと。
 すり鉢を想像してみてほしい。正円ではなく、ややいびつな。
 鉢の底がこの集落だ。極端に水はけが悪く、数日雨が続こうものなら、すぐにこんなざまとなる。
 かつてはここまで悲惨ではなかったらしい。
 といっても、パンデミックまでの話だが。
 この集落、七野瀬(しちのせ)も、水花芽県のほうぼうにあるそれと大差はない。つまり、住民は子どもばかりだということだ。住民規模は三十を少し上回る程度。
「見える?」
 足を止めて恵は指を伸ばした。
 坂道というよりは切り立った崖、極端な傾斜の上部から、とめどもなく水が流れてくる。崖の最上部は木々に覆われており、よく見えない。
「水は、あそこからの流入が特に酷い。雨が豪雨に変われば、もうここはおしまいだと思う」
 ならあそこに流れをせき止める設備でも作れば、というわけにもいかない。
「実は堤防がある。堤防というより、自然にできたものだけど」
 蛇に四肢が生え直立したような生物が、斜面上部に巣を作っているという。大きさは一メートル半ほど、手が発達しており原始的な武器を使う。集団行動を好み、折を見ては七野瀬に襲撃をかけてくるという。不幸にして犠牲となった子どもも少なくない。
 生物は、雨龍(あまりゅう)、あるいは蛟(みずち)と呼ばれている。
「蛟の巣穴があり、卵や蛟が身を横たえているから、流入する水はこの程度で済んでる。蛟が一掃されようものなら、きっと七野瀬は沈んでしまうわ」
 かといって――と振り向いた恵は、十七歳の少女とは思えぬほどに険しい顔をしていた。
「やつらの行動が、このところ活発化している。もしかしたら近いうちに、七野瀬を一斉襲撃してくるかもしれない。仮に一斉襲撃がないとしても、こんな雨があと一週間もつづけば、きっとみんな水の底……」
 つまり、こういうわけか。
 このままでは蛟の大襲撃で滅ぶかもしれず、
 あるいは、雨と流水によって溺れるかもしれない。
 かといって蛟退治を行えば、どっと流れ込んだ水でやはり溺死だ。
 どうして、と疑問を感じたとしてもおかしくはない。
 どうして七野瀬の住民たちは、こんな危険な集落を捨て他所(よそ)に移住しないのか――?
 そのとき急に、雨脚が強まった。
「私も、幾度となくそれを主張してきた」
 蒸し暑い、と言って恵はフードを脱いだ。みるまに雨にさらされ、髪は湿り額を水が伝う。
「でもみんな、特に小さい子は拒絶した……ここには墓があるから。あのパンデミックで死んだ……みんなの親たちの。墓を離れるくらいなら沈んで死ぬって」
 バカみたい、と恵は言った。頬を雨粒が伝い落ちる。
「ここで墓を守っていくら待ったって、誰も……誰も帰ってきやしないのに……!」

――――――――――――――――――――――――――――――――

<マスターコメント>

 はじめまして、新人マスターの桂木京介です。
 私にとってはじめてのシナリオをお送りします。不慣れな点もあるかと思いますが、よろしくお願い申し上げます。

概要:
 ジレンマを描いたシナリオです。
 敵である蛟(みずち)を滅ぼせば、一気に七野瀬(しちのせ)集落は水没するかもしれず、かといって座して待つならば、近いうちに水没、ないし蛟の害でやはり集落は滅亡です。
 こんな場所からはさっさと移住するのが一番なのは言うまでもありませんが、父母の遺骨が眠る土地を、子どもたちは離れたがりません。
 集落の子どもたちを説得し移住させる、蛟を倒し水害も免れる手段を講じるなどの解決方法が考えられます。頭の使いどころですね。

成功条件:
 唯一の正解があるシナリオではありません。子どもたちにこれ以上の犠牲を出さないという結果になればどのような展開でも(仮にそれが強制的に移住させるという結末であっても)成功とします。
 蛟の一掃は成功条件には無関係です。

情報:
>蛟(みずち)について
 蛇から進化したと思わしき亜人です。
 知性はあまりないものの、集団で狩りを行う習性があります。槍や棍棒など、簡単な武器も使います。変温動物なので、雨で気温が下がっている状態であれば与しやすい相手と言えましょう。
 一匹一匹はさして強くありません。一対一であればかけだしのキャラクターであっても楽に勝てるでしょう。徒党を組むといっても行うの包囲攻撃くらいで、戦略的な行動も苦手です。ただし、推定五十匹前後いるようなので、数にだけはお気を付け下さい。
 巣穴には多数の卵を置いており、卵を守る兵士は円月刀など強力な武装を持ち腕も他の蛟を上回ります。

>七野瀬(しちのせ)の子どもたち
 十歳未満の年少者が多く、リーダー格の厨子川 恵(ずしかわ・めぐみ)もわずか十七歳です。経験の浅い恵は、集落を統率しきれていないようです。


 ご参加お待ち申し上げております。
 それでは次は、リアクションでお目にかかりましょう。
 桂木京介でした。

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  1. 2018/09/26(水) 22:40:00|
  2. リアクション

【ショートシナリオ】第四話 小川町のプール開き

第四話 小川町のプール開き


マスター:有沢楓花




 
 まんげつ造のある都市から離れたとある場所に、瀬織市という小さな市がある。
 中心部は都会的な賑わいを見せ、離れれば田畑や牧場も見られる、そこそこ都会、そこそこ田舎という何かにつけ便利な市だ。
 その「そこそこ田舎」な場所に、小川町はあった。


                       *


 パンデミック後の小川町の自治会は「生徒会」を自称していたが、「夏休み」を取る・取らせるような余裕はなかった。
 ぎりぎりの人数で「回して」いる――破綻しないだけマシ、まだインフラが保たれているという幸運によるもの――からである。

「……というのではつまらないという声が小さな子どもたちから上がっている。
 浄水場も復活したので、熱中症予防の観点からも適切な水の使用法の講座を開き、その後はレクリエーションを兼ねて……」
 小川町中学校の職員室。
 町長代理の長谷川 陽向(はせがわ ひなた)はホワイトボードに貼った小川町の地図から中学校の敷地内の一点を指さした。
「ささやかながらプール開きのイベントを行いたいと思う」
 生徒会書記の斎藤 雨音(さいとう あまね)が手を上げた。
「はーい、長谷川先生。浮き輪は使っていいの?」
「ドーナツでもイルカでも許可する。ああ、ただし役員の斉藤には監視員をしてもらう」
「……分かったわ、ただし夜には泳がせてもらうわよ」
 しぶしぶ雨音が頷いたのを確認して、陽向はもう一人の少年を見た。
「警備からも人を出して、プールや、プール前に設置する屋台の見回りをしてもらおう。大して物資がないから、かき氷と綿あめの無料屋台くらいしか出せないが……」
 加賀 陸(かが りく)が首をかしげる。
「警備は了解した。後は俺は射的の屋台を出そうかと思っている。ところで綿あめなんか作れるのか? 自作は難しいようだが」
「丁度綿あめ作りの玩具があるんだ。色つきの飴を使えばカラフルになって見栄えが良いそうだ」
 陽向の口元が緩んでいるのを見て、雨音が指摘する。
「あ、長谷川も楽しみなの? 泳ぎたいなら誰かに本部に詰めててもらえば?」
「いや、子どもたちの笑い声が聞けそうだからで……もちろん水の事故には気を付けなければならない。昔、プールの時期になると学校からプリントを貰っただろう?」
 そう言いながら原案の紙を雨音に差し出す。
「はいはい、これを新聞にまとめればいいわけね――うん、今日中に片付けておくわ」

 そうして、プール開きの臨時号が掲示板に貼られることになったのでした。

――――――――――――――――――――――――――――――――

<マスターコメント>

 こんにちは、有沢です。
 小川町のシナリオ、第四回となります。今回からのご参加も歓迎しております。

 今回は小川町のフリーシナリオとなっています。
 前回浄水場が無事使用可能になりましたので、水使い放題なシナリオになりました。
 舞台としては小川町の町内のみとなっていますが、ある夏の一日、買い物をしたりプール開きに参加したりできます。
 また、今回から小川町内の空き家が召喚者の希望者には提供されていますので、住居を移している・移すことができます。

 プール開きは中学校で行われます。諸注意・講座の後にプールが解放され、夏の一定期間の間利用できるようになります。
 プールにはビート板やドーナツ型(やドーナツの絵が描いてある)、イルカ・アヒル型などの大型から小型の浮き輪、ビーチボール、水鉄砲などが用意されています。

 また中学校の校庭にはかき氷と綿あめ、麦茶、射的の小さな屋台が置かれます。
 学校内ではうちわや扇子などの工作、浴衣の着付け、夜には花火(手持ち)などちょっとしたイベントも行われます。
 プールで泳ぐもよし、自分たちで屋台を出すのもよし、休日だけど仕事に精を出してもよし。です。


それでは、アクションをお待ちしております。


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  1. 2018/09/02(日) 00:14:00|
  2. リアクション

【コモンシナリオ】崩壊世界の揺り籠【戦闘あり】

崩壊世界の揺り籠


マスター:菊華 伴




 
 パンデミックで、大人たちが死滅した。
 けれども、子どもたちは生きていた。そして、赤ちゃんも、生きていた。

 ――あれから、9か月。

「そうか、もう、そんなになるんだよね。早いはずだね」
 黒髪を伸ばした乙女が、腕に赤ちゃんを抱いてそうつぶやいた。生後9か月だろう赤ちゃんは、うとうとしながら指をちゅぱちゅぱと吸っている。
「院長、問題はここからですよ」
 15、6歳ぐらいの少年が、1歳半ぐらいの女の子をおんぶした姿で問いかける。彼は青い目を細め、ため息をついた。
「最近なんかこう、野犬が多くて。物資を探しに行くのも命がけなんだ。先日もトシキが足をかまれて……」
 その言葉に、乙女は表情を曇らせた。
「今週に入って5人目ね。動物に詳しい人からきいたけどやっかいな病気とかは持ってないそうよ。それでもあの数は……」
 彼女たちの言う通りでこの辺りでは野犬が問題になっていた。今もあちこちから故にこの病院以外に暮らす子供たちに戸締りできる場所で寝泊まりするように、と告げていた。

 この保護施設は、乙女の両親が残した産婦人科の病院だった。彼女は、そこの新生児室に残された赤ちゃんだけではなく近所の乳幼児を保護し、仲間を集い、周辺の探索をして物資を得ていた。それだけではなく、畑を耕し、野菜の自給にもつとめていた。
 高校生、大学生も比較的精神的に強く、心根の優しいものが多かった。彼らは皆親を亡くした幼子たちのために、一生懸命がんばっていた。しかし、彼らにも限界はある。それを、乙女は感じていたのだ。

「助っ人を探しに行きましょう。幸い、私には魔法があるし、野犬ぐらいだったらどうにかなるわ。手助けしてくれそうな人、探してくるから少し待っていてね」
「姉貴! それじゃあ、この揺り籠はどうするんだ?」
 乙女の言葉に、少年が問いかける。彼女は「大丈夫」というとぽん、と目の前の少年の肩をたたいた。
「面倒見の良い貴方に任せるわ。頼むね、ヨアン」
 そういわれ、ヨアンは苦笑して頷いた。


* * * * *

 ――まんげつ造

「赤ちゃんの保護施設?」
 朝比奈 愛依はその報告に息をのんだ。だが、目の前にいる乙女は、「はい」としっかりとした声で答える。傷だらけになりながらここへ来た、という乙女は、愛依の目を見て答えた。
 長い黒髪を一本のみつあみにまとめた、緑色のワンピースの乙女で、名を桐生 辰已(きりゅう たつみ)といった。
「パンデミックで大人が死滅した後、私は父が経営していた病院を拠点に可能な限り赤ちゃんを保護しています。ですが、最近になって周辺で野犬が発生し、物資調達の際危険で……。大変申し訳ないのですが……」
 辰已は高校生以上の人に野犬退治の手伝いをしてほしい、と相談を持ち掛けたのだ。それを聞き、愛依は少し考える。
「報酬も、用意します。幸い、私たちの拠点は物資を得られる場所が多いので可能な限り対応できるかと思います」
「……そうだな。少し声をかけてみようと思う」
 愛依はそう言って召喚した者たちにこの話をしよう、と考えた。

 数分後。訪れた異世界人たちの姿に、辰已は目を見開くことになる。

――――――――――――――――――――――――――――――――

<マスターコメント>

はじめまして。或いはお久しぶりでしょうか。
菊華 伴です。今回はまんげつ造から離れた場所にある拠点周辺での野犬退治及び探索、現地の子供たちとの交流がメインです。

難易度:★★
    以下の注意点さえ守れば大丈夫です
 ・子供たちを怖がらせない
 ・怪しまれる行動をしない

概要
例の壊された橋から内陸に5キロ地点に位置する『唯我町』が舞台です。
『桐生産婦人科医院』を中心に小学校やショッピングモールなどがあり、子供たちはなるだけ固まって暮らすようにしています。

>地理について
・桐生産婦人科医院周辺
今回行く唯我町の中ほどにある病院で、桐生 辰已を中心に集まった子供たちの拠点です。裏手には小学校、近所には幼稚園とショッピングモールなどがあります。少し離れた場所には銭湯や商店街もあり、そのあたりで物資を調達していました。
 しかし枯渇を恐れた辰已たちは少し離れた場所にある施設などからも物資を集めるようにしていますが、最近は拠点周辺に野良犬が出没し、物資調達に出た子供たちが襲われるという被害が出ています。

選択肢
どれか1つを選択してください。
2つ以上選択すると描写が減ってしまう可能性があります。

・野犬退治を行う
 拠点周辺にたむろする野犬を退治するなり追い払うなりしてください。最近、物資探索に出向いた子供や遊んでいた子供が襲われるという事件が多発しています。けが人も出ており、住人たちは困っています。最低限でも子供たちが襲われないようにするか、拠点周辺から追い払ってください。
 戦闘となりますので、負傷判定がでる可能性があります(ただし、工夫すると戦闘を回避することも可能です)。

・周囲の探索
 拠点周辺を探索し、状況確認や物資調達の手伝いを行います。場合によっては野犬と遭遇し戦闘が発生する可能性があります(ただし、工夫すると戦闘を回避することも可能です)。

・子供たちと交流する
 拠点の子供たちと交流します。ここには辰已達に保護された赤ちゃんたちがいてにぎやかです。最低年齢は生後9か月です。新生児室及び病室がそのまま子供たちの生活の場となっています。
 また近所には幼稚園があり、幼い子供たちが遊んでいます(こちらは5、6歳ぐらいまでの子供たちが大半で、警護及びお世話係として6歳以上の子供たちがいます)。

登場NPC
桐生 辰已
桐生産婦人科医院を拠点としている子供たちのリーダー格。今回は野犬問題を解決するべく噂を頼りにまんげつ造へ訪れた。選択肢で「子供たちと交流」を選ぶと色々話すことができる。


ヨアン・ウォン
実質ナンバー2となる炎魔法の使い手。火葬・葬儀担当。新興宗教施設を塒とし、施設に残された黒いスーツと袈裟を着ている。選択肢「野犬退治」を選ぶとともに行動する。


それでは、宜しくお願いします。


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  1. 2018/08/20(月) 12:00:00|
  2. リアクション

【コモンシナリオ】第三話 浄水場探索

第三話 浄水場探索


マスター:有沢楓花




 
 まんげつ造のある都市から離れたとある場所に、瀬織市という小さな市がある。
 中心部は都会的な賑わいを見せ、離れれば田畑や牧場も見られる、そこそこ都会、そこそこ田舎という何かにつけ便利な市だ。
 その「そこそこ田舎」な場所に、小川町はあった。


                       *


「水道の汚染の場所と原因だが、更に上流で問題が発生して処理能力を超えているか、浄水場内部で問題が発生したかのどちらかだと思う」
 町長代理の長谷川 陽向(はせがわ ひなた)は、中学校の職員室で、パソコンのモニターに表示した「瀬織市浄水場」のホームページを睨んでいた。
 最終更新日はパンデミック前の日付のまま。簡単な見取り図や施設の紹介に目を通した後、アクセスマップをクリックする。
「瀬織川沿いの道路まで出て上流へ辿る……どこかの建物を借りるにしても、キャンプ道具一式が必要だな。電車が動いていれば……」
「車が運転できればいいんだけど、長谷川は品行方正だもんねー。免許なんて持ってないでしょ」
 向かいでぽりぽりとスマホを見ながらせんべいをかじっている斎藤 雨音(さいとう あまね)が目だけ上げた。
「それは校則で禁止されて……の前に、年齢的に無理だ。斉藤も同じじゃないか」
「そうよ」
「またあっけらかんと……。とりあえず加賀のバイクなら二時間少々で往復出来るだろう。先に道が通っているか偵察を頼みたい」
 加賀 陸(かが りく)が頷いた。
「分かった。機械化部隊も昔は自転車だったというからな」

 調査の結果、小川町から浄水場までの道は繋がっていたことが判明した。
 陽向の呼びかけや、駅前の掲示板に出した浄水場調査部隊募集の張り紙を見た者が集まってパーティが結成された。陸と武器をもった三人の少年たち――前回ホームセンターに行ったメンバーに加え、陽向、雨音、それに召喚者も含まれている。
 生徒会からは人数分の自転車が提供された。何度か獣や怪物の襲撃、迂回、自転車を降りて押していく場面があったものの、朝食後に出発した一行は三、四時間ほどかけて無事昼前に浄水場の正門前に到着した。
 ここまで来て分かったことだが、敷地から川に向けて突き出している搭状の建物――取水塔の周辺は少し生臭くはあるものの、着色がなかった。そして内部からは生臭い匂いがより漂ってきている。つまり浄水場の内部で何か問題が起こったのだろう。
「広いわね……中が良く見えないわ。鍵も見たとおり掛かってる」
 水の魔法が使えるからと同行させられた雨音が、正門の格子の隙間から中を覗く。
 浄水場の周りには外部からの侵入を防ぐためにセメントの塀がぐるりと巡らされていた。正門越しに見える範囲では、芝生の敷地の上に奥に向かって何本かアスファルトの道が延びていた。分かれ道の手前に小さなクリーム色の建物がある。
「正門には鍵が掛かってるわ」
「……通用門の方は……大丈夫だ、開いた」
 陽向がすぐ脇の通用門の閂を隙間から手を差し込んで開けると、あっさりと扉は開いた。
「じゃあさっさと見に行きましょ」
 雨音は通用門を真っ先に潜り、正門横にある事務所のような小さな建物に近づいた。カウンターがあるところを見ると、本来はここに警備員でもいたのだろう。
 カウンターには水滴型の重しがされたパンフレットが置いてあった。
「これ広報用みたいね。この地図によると正面が管理棟……って、あれ何?」
 雨音は眉をひそめた。
 正面の道からSF映画から抜け出してきたようなロボットが脚部のキャタピラを動かしてやってきた。
 細長い電球のような丸みを帯びたフォルムから手足が生えていて、警備服のような青いペイントがされている。
 頭部の目の部分から赤く光るモノアイがこちらを見ていた。
 目をカシャカシャ動かしながら雨音と背後の面々を捉え、合成音が告げた。
「職員ハ、パスコードヲ提示シテクダサイ。見学ノ方ハ、本日担当者不在ノタメ受ケ付ケテオリマセン。マタノオ越シヲオ待チシテオリマス」
「見学できないの?」
「見学ノ方ハ、本日担当者不在ノタメ受ケ付ケテオリマセン」
 同じ合成音を繰り返すロボットの語尾に重ねて、今度は左手からグワッグワッという音が響いてきた。まるで人体よりもずっと大きな体から発せられたような……。
「何あの声……今度は何!?」
 太陽の光りが遮られ、頭上に突然影が出来た――と思った途端、地面にびたんという音を響かせて、それは着地した。
 ヌメヌメとした灰色の肌にぎょろりとした目、大きく裂けた口、でっぷりとした腹……愛嬌があると言えなくもない。小型であれば。
 それは人間の背の二倍ほどもあり、小山のようなフォルムをしていた。
「カ、カエル……生臭っ!?」
 後ずさる雨音の前に陽向が庇うように出て拳銃の安全装置を外した。その後ろで陸や他の少年たちも自身の銃を構えた。
「下がれ、斉藤!」
 カエルは口を開けたかと思うと、ピンク色の舌をシュッと雨音に向かって伸ばした。
 同時に陽向の拳銃から魔力の弾が発射されて舌を打ち、カエルは急いで舌を引っ込める。
 そして先ほどのロボットが何故かカエルに向けてガシャガシャとモノアイを鳴らすと、
「コードヲ認識シマシタ」
 ――こちらを向いた。
「管理権限者ト敵対。三秒以内ニココカラ退避シナイ場合、排除シマス。3、2……」
「逃げろ!」
 陽向が叫ぶ。
「1……攻撃開始」
 モノアイが光り、前に伸ばしたクレーンのような手の中央から覗いた発射口から、魔力の銃弾が発射される。
 先ほどまでいた地面が穿たれ、一行は一目散に管理棟に向かって走り出した。
「止マリナサイ、警告、止マリナサイ……」
「走れ、止まったら撃たれるぞ」
 陸に促されて全員速度を緩めずに走る。背後から発射音とカエルの気配が追いかけてくる。
 途中鼻が曲がりそうな悪臭がした。草むらの上にカエルの物らしき大きな排泄物の塊が見えた。悪食なのか色々な鳥や何かの骨に混じって布の切れ端も見える。
 息を切らして管理棟のドアノブを回す。幸い入り口の鍵は掛かっていなかった。
 最後に入った陽向がドアを閉めると、声はそれ以上追ってこなかった。こちらの姿を見失ったようだ。
「全員無事か?」
 陽向が息を切らせながら点呼している間、加賀が静かに一つの机に歩み寄った。
 一つのパソコンの電源が入ったままになっている。暗い画面をクリックすると、モニターが明るくなって中年男性のバストアップが写った。首から下は制服らしき作業服だ。
 合成音声ではない、録音の音声が流れてくる。
『誰かいるのか? ユウタ、サヤカ、二人とも無事か? パンデミックからどれくらい経ったのか……一年か、三年か? それとも異常があったか?
 所長と数人、ここに残ることにしたがいつまで無事だろうか。
 何にせよ、中央管理室はこの建物の三階だ。何かがあった時のため資料を用意しておいた。紙の資料もこの机の三段目の引き出しに入れてある。慣れが必要だが、最低限の操作はできるはずだ。
 水質管理室は二階にある。
 警備ロボットを敷地内に何体か導入したから、ちょっとした動物の襲撃からも守られるだろう。三階の壁にIDカードがかけてある。所長命令でも出ない限り敵対しない』
「何それ、守られてないどころか襲ってきたんだけど」
 雨音の呟きを録音が気にするはずもない。
『良かったら水質管理室の金魚のベッツィーの無事を確かめてくれ。再度再生するときは俺の顔アイコンをクリックだ。……では、健闘を祈る』

 二階と三階にはロボットが一体ずついた。
 身構えたが戦闘用プログラムは用意されていないらしく、保守に忙しそうだ。
「只今野生生物ガ繁殖シテイル模様。水質ノ汚染ヲ浄化スル為、特別ナ薬品ヲ定期的ニ注入シ、消毒シテオリマス」
 三階のモニターは、専門的なデータを表示するものから、敷地の監視カメラの様子を映したものもあった。
 気になったのはカエルだ。水を消毒する過程で幾つものプールを通るのだが――黒い中心部を持つ丸い物体がゼリー状のものに包まれて浮いており、その周辺でカエルが飛び回っていた。最初に出会ったカエルより少し小さめのカエルが一匹、そして他のカエルたちも多分相撲取りくらいの大きさはある。
 時々警備ロボットが銃で遠巻きにして撃っている様子も見られる。死体が何匹も転がっていた。
「どうする、警備ロボットは全部破壊するか。怪我人は出したくない」
 陸が問い、雨音が口を挟む。
「それより所長を探した方がいいんじゃない? 生きてるか分からないけど」
 陽向は召喚者たちの方を向いて問いかけた。
「……君たちはどう思う? 手分けして探すか、それとも先に脅威を排除するか……カエルか、ロボットか」

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<マスターコメント>

 こんにちは、有沢です。
 小川町のシナリオ、第三回となります。今回からのご参加も歓迎しております。

 今回の舞台は浄水場です。
 瀬織川に建てられた取水塔から地下のパイプを通って取り入れた水を、浄水し、きれいな水を家庭や工場へ送る場所となっています。
 場所は大まかに分けて四つです。
 今現在いる管理棟は、敷地の様子を確認したり機械のモニタリングをする中央管理室(三階)と、細かい水質を管理するための水質管理室(二階)、その他事務所や休憩室がある一階になっています。
 水は、取り入れられてから異物を排除するため「天井がない池」を幾つか通り、この辺りにカエルが繁殖しています。
 このプール(池)を通った水は、「天井があり蓋がされている池」でオゾンや炭、塩素等で消毒・消臭され、一時保管された後、敷地外の配水池まで運ばれていきます。池とは言っていますがそれぞれの建物の中で消毒されたり、建物の中のパイプを通っていきます。
 三つ目は薬を注入する装置、機械が並んだ建物です。ここは基本的に作業用のロボットが一体いるだけです。
 警備用以外のこれらのロボットは事前にプログラムされた施設の保守を最優先します。簡単な命令はIDカードがあれば多少聞きますが、保守以外の作業はしません。
 なお停電や地震があったときのための貯水槽が更に地下にあるため、現状、小川町の人間だけなら数ヶ月は楽に保つ量があります。
 四つ目として排水処理施設もありますが、今回は問題ありません。

 問題の水の汚染ですが、汚染の原因はカエルの繁殖および、特別な薬品注入の双方によるものです。
 薬品は通常人間が投入や量の調節を判断していますが、今回想定外の出来事(カエルの繁殖)が増えたため勝手に薬品を注入しています。



 その他、前回の繰り返しも含めますが、小川町周辺は現在このような状況になっています。
●海亀公園について
 拠点についてもアクションをかけることは出来ます。
 前回のガイドと基本的には変わりませんが、
 ・井戸を手入れすれば使えそうである
 ・飲料水はペットボトルの濾過装置でそこそこ安定供給がされるようになった
 ・畑は耕されています。何を植えるかは今後のアクション次第になります。
  特に今回アクションがなければ、前回ご希望がでているものから豆が植えられています。
  (畑にはスペースがまだありますが、米は種籾があるものの田んぼは別途作る必要がありそうです)
  ※種・苗リスト
   米、大豆、かぼちゃ、人参、じゃがいも、さつまいも、玉葱、ピーマン、カブ、ほうれん草、小松菜。
   聞けば他にもあるかと思いますが、パンデミック後に残せたものですので、専門店のような品揃えはありません。
 ・ホームセンターからキャンプに使えそうな物を運び入れた


●町の利用について
 町の施設の利用が出来ますが、物資は豊富とは言えません。
 あからさまな監視役はいませんが気にされてはいるので、不審な行動(武器を手に持ったり)は見咎められます。
 まだ住むことは出来ません(怪我などしていれば治療・一時保護はされます)。


それでは、アクションをお待ちしております。
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  1. 2018/07/28(土) 21:40:00|
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