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【コモンシナリオ】第三話 浄水場探索

第三話 浄水場探索


マスター:有沢楓花




 
 まんげつ造のある都市から離れたとある場所に、瀬織市という小さな市がある。
 中心部は都会的な賑わいを見せ、離れれば田畑や牧場も見られる、そこそこ都会、そこそこ田舎という何かにつけ便利な市だ。
 その「そこそこ田舎」な場所に、小川町はあった。


                       *


「水道の汚染の場所と原因だが、更に上流で問題が発生して処理能力を超えているか、浄水場内部で問題が発生したかのどちらかだと思う」
 町長代理の長谷川 陽向(はせがわ ひなた)は、中学校の職員室で、パソコンのモニターに表示した「瀬織市浄水場」のホームページを睨んでいた。
 最終更新日はパンデミック前の日付のまま。簡単な見取り図や施設の紹介に目を通した後、アクセスマップをクリックする。
「瀬織川沿いの道路まで出て上流へ辿る……どこかの建物を借りるにしても、キャンプ道具一式が必要だな。電車が動いていれば……」
「車が運転できればいいんだけど、長谷川は品行方正だもんねー。免許なんて持ってないでしょ」
 向かいでぽりぽりとスマホを見ながらせんべいをかじっている斎藤 雨音(さいとう あまね)が目だけ上げた。
「それは校則で禁止されて……の前に、年齢的に無理だ。斉藤も同じじゃないか」
「そうよ」
「またあっけらかんと……。とりあえず加賀のバイクなら二時間少々で往復出来るだろう。先に道が通っているか偵察を頼みたい」
 加賀 陸(かが りく)が頷いた。
「分かった。機械化部隊も昔は自転車だったというからな」

 調査の結果、小川町から浄水場までの道は繋がっていたことが判明した。
 陽向の呼びかけや、駅前の掲示板に出した浄水場調査部隊募集の張り紙を見た者が集まってパーティが結成された。陸と武器をもった三人の少年たち――前回ホームセンターに行ったメンバーに加え、陽向、雨音、それに召喚者も含まれている。
 生徒会からは人数分の自転車が提供された。何度か獣や怪物の襲撃、迂回、自転車を降りて押していく場面があったものの、朝食後に出発した一行は三、四時間ほどかけて無事昼前に浄水場の正門前に到着した。
 ここまで来て分かったことだが、敷地から川に向けて突き出している搭状の建物――取水塔の周辺は少し生臭くはあるものの、着色がなかった。そして内部からは生臭い匂いがより漂ってきている。つまり浄水場の内部で何か問題が起こったのだろう。
「広いわね……中が良く見えないわ。鍵も見たとおり掛かってる」
 水の魔法が使えるからと同行させられた雨音が、正門の格子の隙間から中を覗く。
 浄水場の周りには外部からの侵入を防ぐためにセメントの塀がぐるりと巡らされていた。正門越しに見える範囲では、芝生の敷地の上に奥に向かって何本かアスファルトの道が延びていた。分かれ道の手前に小さなクリーム色の建物がある。
「正門には鍵が掛かってるわ」
「……通用門の方は……大丈夫だ、開いた」
 陽向がすぐ脇の通用門の閂を隙間から手を差し込んで開けると、あっさりと扉は開いた。
「じゃあさっさと見に行きましょ」
 雨音は通用門を真っ先に潜り、正門横にある事務所のような小さな建物に近づいた。カウンターがあるところを見ると、本来はここに警備員でもいたのだろう。
 カウンターには水滴型の重しがされたパンフレットが置いてあった。
「これ広報用みたいね。この地図によると正面が管理棟……って、あれ何?」
 雨音は眉をひそめた。
 正面の道からSF映画から抜け出してきたようなロボットが脚部のキャタピラを動かしてやってきた。
 細長い電球のような丸みを帯びたフォルムから手足が生えていて、警備服のような青いペイントがされている。
 頭部の目の部分から赤く光るモノアイがこちらを見ていた。
 目をカシャカシャ動かしながら雨音と背後の面々を捉え、合成音が告げた。
「職員ハ、パスコードヲ提示シテクダサイ。見学ノ方ハ、本日担当者不在ノタメ受ケ付ケテオリマセン。マタノオ越シヲオ待チシテオリマス」
「見学できないの?」
「見学ノ方ハ、本日担当者不在ノタメ受ケ付ケテオリマセン」
 同じ合成音を繰り返すロボットの語尾に重ねて、今度は左手からグワッグワッという音が響いてきた。まるで人体よりもずっと大きな体から発せられたような……。
「何あの声……今度は何!?」
 太陽の光りが遮られ、頭上に突然影が出来た――と思った途端、地面にびたんという音を響かせて、それは着地した。
 ヌメヌメとした灰色の肌にぎょろりとした目、大きく裂けた口、でっぷりとした腹……愛嬌があると言えなくもない。小型であれば。
 それは人間の背の二倍ほどもあり、小山のようなフォルムをしていた。
「カ、カエル……生臭っ!?」
 後ずさる雨音の前に陽向が庇うように出て拳銃の安全装置を外した。その後ろで陸や他の少年たちも自身の銃を構えた。
「下がれ、斉藤!」
 カエルは口を開けたかと思うと、ピンク色の舌をシュッと雨音に向かって伸ばした。
 同時に陽向の拳銃から魔力の弾が発射されて舌を打ち、カエルは急いで舌を引っ込める。
 そして先ほどのロボットが何故かカエルに向けてガシャガシャとモノアイを鳴らすと、
「コードヲ認識シマシタ」
 ――こちらを向いた。
「管理権限者ト敵対。三秒以内ニココカラ退避シナイ場合、排除シマス。3、2……」
「逃げろ!」
 陽向が叫ぶ。
「1……攻撃開始」
 モノアイが光り、前に伸ばしたクレーンのような手の中央から覗いた発射口から、魔力の銃弾が発射される。
 先ほどまでいた地面が穿たれ、一行は一目散に管理棟に向かって走り出した。
「止マリナサイ、警告、止マリナサイ……」
「走れ、止まったら撃たれるぞ」
 陸に促されて全員速度を緩めずに走る。背後から発射音とカエルの気配が追いかけてくる。
 途中鼻が曲がりそうな悪臭がした。草むらの上にカエルの物らしき大きな排泄物の塊が見えた。悪食なのか色々な鳥や何かの骨に混じって布の切れ端も見える。
 息を切らして管理棟のドアノブを回す。幸い入り口の鍵は掛かっていなかった。
 最後に入った陽向がドアを閉めると、声はそれ以上追ってこなかった。こちらの姿を見失ったようだ。
「全員無事か?」
 陽向が息を切らせながら点呼している間、加賀が静かに一つの机に歩み寄った。
 一つのパソコンの電源が入ったままになっている。暗い画面をクリックすると、モニターが明るくなって中年男性のバストアップが写った。首から下は制服らしき作業服だ。
 合成音声ではない、録音の音声が流れてくる。
『誰かいるのか? ユウタ、サヤカ、二人とも無事か? パンデミックからどれくらい経ったのか……一年か、三年か? それとも異常があったか?
 所長と数人、ここに残ることにしたがいつまで無事だろうか。
 何にせよ、中央管理室はこの建物の三階だ。何かがあった時のため資料を用意しておいた。紙の資料もこの机の三段目の引き出しに入れてある。慣れが必要だが、最低限の操作はできるはずだ。
 水質管理室は二階にある。
 警備ロボットを敷地内に何体か導入したから、ちょっとした動物の襲撃からも守られるだろう。三階の壁にIDカードがかけてある。所長命令でも出ない限り敵対しない』
「何それ、守られてないどころか襲ってきたんだけど」
 雨音の呟きを録音が気にするはずもない。
『良かったら水質管理室の金魚のベッツィーの無事を確かめてくれ。再度再生するときは俺の顔アイコンをクリックだ。……では、健闘を祈る』

 二階と三階にはロボットが一体ずついた。
 身構えたが戦闘用プログラムは用意されていないらしく、保守に忙しそうだ。
「只今野生生物ガ繁殖シテイル模様。水質ノ汚染ヲ浄化スル為、特別ナ薬品ヲ定期的ニ注入シ、消毒シテオリマス」
 三階のモニターは、専門的なデータを表示するものから、敷地の監視カメラの様子を映したものもあった。
 気になったのはカエルだ。水を消毒する過程で幾つものプールを通るのだが――黒い中心部を持つ丸い物体がゼリー状のものに包まれて浮いており、その周辺でカエルが飛び回っていた。最初に出会ったカエルより少し小さめのカエルが一匹、そして他のカエルたちも多分相撲取りくらいの大きさはある。
 時々警備ロボットが銃で遠巻きにして撃っている様子も見られる。死体が何匹も転がっていた。
「どうする、警備ロボットは全部破壊するか。怪我人は出したくない」
 陸が問い、雨音が口を挟む。
「それより所長を探した方がいいんじゃない? 生きてるか分からないけど」
 陽向は召喚者たちの方を向いて問いかけた。
「……君たちはどう思う? 手分けして探すか、それとも先に脅威を排除するか……カエルか、ロボットか」

――――――――――――――――――――――――――――――――

<マスターコメント>

 こんにちは、有沢です。
 小川町のシナリオ、第三回となります。今回からのご参加も歓迎しております。

 今回の舞台は浄水場です。
 瀬織川に建てられた取水塔から地下のパイプを通って取り入れた水を、浄水し、きれいな水を家庭や工場へ送る場所となっています。
 場所は大まかに分けて四つです。
 今現在いる管理棟は、敷地の様子を確認したり機械のモニタリングをする中央管理室(三階)と、細かい水質を管理するための水質管理室(二階)、その他事務所や休憩室がある一階になっています。
 水は、取り入れられてから異物を排除するため「天井がない池」を幾つか通り、この辺りにカエルが繁殖しています。
 このプール(池)を通った水は、「天井があり蓋がされている池」でオゾンや炭、塩素等で消毒・消臭され、一時保管された後、敷地外の配水池まで運ばれていきます。池とは言っていますがそれぞれの建物の中で消毒されたり、建物の中のパイプを通っていきます。
 三つ目は薬を注入する装置、機械が並んだ建物です。ここは基本的に作業用のロボットが一体いるだけです。
 警備用以外のこれらのロボットは事前にプログラムされた施設の保守を最優先します。簡単な命令はIDカードがあれば多少聞きますが、保守以外の作業はしません。
 なお停電や地震があったときのための貯水槽が更に地下にあるため、現状、小川町の人間だけなら数ヶ月は楽に保つ量があります。
 四つ目として排水処理施設もありますが、今回は問題ありません。

 問題の水の汚染ですが、汚染の原因はカエルの繁殖および、特別な薬品注入の双方によるものです。
 薬品は通常人間が投入や量の調節を判断していますが、今回想定外の出来事(カエルの繁殖)が増えたため勝手に薬品を注入しています。



 その他、前回の繰り返しも含めますが、小川町周辺は現在このような状況になっています。
●海亀公園について
 拠点についてもアクションをかけることは出来ます。
 前回のガイドと基本的には変わりませんが、
 ・井戸を手入れすれば使えそうである
 ・飲料水はペットボトルの濾過装置でそこそこ安定供給がされるようになった
 ・畑は耕されています。何を植えるかは今後のアクション次第になります。
  特に今回アクションがなければ、前回ご希望がでているものから豆が植えられています。
  (畑にはスペースがまだありますが、米は種籾があるものの田んぼは別途作る必要がありそうです)
  ※種・苗リスト
   米、大豆、かぼちゃ、人参、じゃがいも、さつまいも、玉葱、ピーマン、カブ、ほうれん草、小松菜。
   聞けば他にもあるかと思いますが、パンデミック後に残せたものですので、専門店のような品揃えはありません。
 ・ホームセンターからキャンプに使えそうな物を運び入れた


●町の利用について
 町の施設の利用が出来ますが、物資は豊富とは言えません。
 あからさまな監視役はいませんが気にされてはいるので、不審な行動(武器を手に持ったり)は見咎められます。
 まだ住むことは出来ません(怪我などしていれば治療・一時保護はされます)。


それでは、アクションをお待ちしております。
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  1. 2018/07/28(土) 21:40:00|
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【コモンシナリオ】第二話 狩猟と採集、そして農業

第二話 狩猟と採集、そして農業


マスター:有沢楓花




 
 まんげつ造のある都市から離れたとある場所に、瀬織市という小さな市がある。
 中心部は都会的な賑わいを見せ、離れれば田畑や牧場も見られる、そこそこ都会、そこそこ田舎という何かにつけ便利な市だ。
 その「そこそこ田舎」な場所に、小川町はあった。


                       *


 小川町駅は、小さな駅だ。
 今は使われていない時刻表を見れば、パンデミック以前から三十分に一本くらいしか通っていなかったことが分かる。
 入り口からは改札が十分見渡せた。使い込まれた駅舎に、新しい自動改札と自動券売機が目を惹いた。100円入れるタイプの小さなコインロッカーは殆ど空き表示になっている。
 黒板の伝言板に置かれた欠けたチョーク。掲示板に壁新聞が張ってあり、チラシ用スタンドには色あせたチラシが差さったままだった。
「伝言板とコインロッカーは自由に使用して貰って構わない。壁新聞は速報性には欠けるが、今はこれが精一杯だ」
 町長代理の長谷川 陽向(はせがわ ひなた)はそう言った。
 壁新聞は小川町の自治体・「生徒会」が発行しているもので、内容は町内の大きな出来事、各種お知らせ、下手くそな四コマ漫画など。かつてニュースには付き物であった天気予報は、予報ではなく――勿論この町に気象予報士はいないのだろう――過去のこの季節の平均気温と天気のデータに取って代わられている。
「そこには地図がある」
 次に駅のすぐ側にある地図看板の前に移動してから、地図の上、そして駅前から見える店に指をスライドさせた。
「土地勘がないと分かりづらいだろうが、そこが雑貨屋だ。雑貨屋というが、在庫があるなら品目は選ばない。線路を通って時々行商人が来るが、そういったものも置いてある」
 それから指を今度は地図上の、駅から遠くにある大きな建物の場所に置き、
「次にここが瀬織市立第三中学校。今は『生徒会』の拠点として使っている。用事があるなら大抵はここにいるので訪ねて欲しい」
 その他に図書館兼学校、食料品店、診療所、食堂、交番、宿泊施設……と、陽向はテキパキと地図を示した。他にも倉庫や作業場、保育園などの施設があるそうだ。
 店については基本的には配給制なので町民は必要に応じてだが、町外からの旅人も利用する。今日からは召喚者にも対応するという。
「生活に必要なものは引き続き申請してくれれば準備はするが、この前の通り余裕がない。融通できるものには限りがある」
 基本的には自給自足になる。そのために必要なもの……バケツなどは元々町にあるので渡せたが、例えばテントや寝袋などはそもそも小川町自体に幾つも存在しないのだ、という。
 陽向は眼鏡の位置を指で直すと、多少言いにくそうな雰囲気で、
「町としても様々なものを確保しておきたい。そこでだ……町から数キロ行った先に、ホームセンターがある。あった、というべきか……パンデミック後は行ったことがないので現在どうなっているかは不明だ。近々、調査を行おうと考えている」
「早い話、今外に出てる調査隊が帰って来るまで、人手が足りないのよね。しかもあの辺りには川があって、変異した貝がいてね。中型犬くらいの大きさのが繁殖してるんだけど……」
 それまで黙っていた「生徒会書記」の斉藤 雨音(さいとう あまね)が、いじっていたスマートフォンから顔を上げる。しかめっ面をしていた。
「……あいつら肉食なのよ。共食いもするし」
「川の上流の様子と浄水施設の方も気になる。だから調査隊の帰還を待たず状況を見ておきたいと思っている」
「とは言うけど、私たちもただの高校生なんだからね。身の丈以上のことやろうったって上手くいかないわよ」
 陽向はあくび混じりの雨音に分かっているというように頷くと、召喚者たちの方を見た。
「今すぐにとは言わない。公園の方もあるから、近いうちに手伝ってもらいたい。無論、報酬は払う」
 召喚者の拠点となった海亀公園は暮らすに快適とはまだ言いがたい。
 トイレと手洗いの水は使用可能になったものの水質が安定していない。川の水を浄化したきれいな水は貴重品で、量産化するか、どのように使うかも課題だ。
 食料の方にしても、川魚の漁と採集ではいずれ限界が訪れる。
「狩猟と採集を続けるなら――狩りなら町の外に行けば野生生物が増えている。狸くらいは捕れるかもしれない。
 しかし農耕も必要になるだろう。元々はあの辺りは農地だったから、手を加えれば可能なはずだ。
 そこで先の報酬の話だが……生徒会から種や苗を幾らか提供できる。できればこのリストの中から選んでくれ」
 陽向は几帳面な字で書かれたメモ帳を寄越した。
――――――――――――――――――――――――――――――――

<マスターコメント>

 こんにちは、有沢です。
 小川町のシナリオ、第二回となります。今回からのご参加も歓迎しております。

 前回の繰り返しも含めますが、現在このような状況になっています。

●海亀公園について
 ひょうたんのような楕円形の形をした公園です。公園としてはそこそこ広く、元々は古い時代の文化保存を目的としていましたが、その後、敷地の一部に子供用遊具を幾つか設置しています。
 普段は子どもたちが遊び、春には住民が花見を楽しんだりしていました。
 一応水飲み場(上に飲用の噴水型、下に通常の蛇口のあるもの)とトイレがあります。
 ひょうたん型の楕円の一方には、中央に大きなコンクリ製の海亀の遊具があります。登ったり、滑り台にしたり、亀の甲羅の下に入って遊ぶことができます。ここで雨宿りできますが、足を伸ばして寝られるのは数人程度でしょう。
 また藁ぶきの古民家が一軒、水車小屋、使われていない古井戸も保存されています。小川や鯉が泳ぐ池もありますが、どれも水はそのままでは飲用に適しません。
 古民家は玄関兼煮炊き用の土間、土間と連結した板の間(中央に囲炉裏)、奥に畳の部屋があります。ひと家族程度が寝泊まりできます。かまど(釜はありません)はありますが、内部に照明や水道はありません。
 また、公園全体のあちこちに街灯が設置されていますが、町中のように十分な数がありません。

 止水栓が開けられたので、トイレ(男女別)と水飲み場(水を飲むのと手を洗ったりする蛇口があります)が利用できます。
 ただ水質は不安定です。たまに着色・異臭がするので、その時は使用を避けてくれと言われてはいます。
 この異常は町中の水道でも発生しています。

・飲料水の確保
 ペットボトルの濾過装置を使用中です。前回の後、大きなポリ容器も幾つか提供されました。
 小川の水は「異臭や着色」はしていませんので、飲用に適したものが作れました。
 同じ装置の量産化や単純に改良型にする場合などの場合は、すぐに作ることが出来ます。
・食糧の確保
 現在の公園で採取したことがあるのは、魚と野草です。これに加えて、配給の食料と水が残っています。
・水車の修理
 技術や知識があれば部品を取り付けて使用可能です。基本的には脱穀用です。
・寝床の確保
 女子が古民家、男子が海亀の下(と鉄棒に作ったハンモック)です。男子だけど古民家がいい、家を作りたい、等の場合は要交渉&アクションです。
・お風呂
 水の確保は必要ですが、ドラム缶風呂がひとつできました。
・燃料
 現在、燃料は公園の枝拾いで得ることが出来ています。大きなキャンプファイアーをするには足りないでしょうか。


●町の利用について
 町の施設の利用が出来ますが、物資は豊富とは言えません。雑貨屋で購入できる食料と水は現在はなく、前回までの提供分のみです。
 あからさまな監視役はいませんが気にされてはいるので、不審な行動(武器を手に持ったり)は見咎められます。
 まだ住むことは出来ません(怪我などしていれば治療・一時保護はされます)。

・駅について
 前回リアクションの「黒板の掲示板」は、黒板の伝言板のことで、掲示板は別にあるものでした。申し訳ありません。
 この伝言板は、メタ的には、アクションでPC同士、またはNPC、不特定多数と連絡を取りやすくするものです(時間軸で齟齬が出ない範囲になります)。携帯に比べ不便な面もありますが、必要に応じ活用して頂ければと思います。

●調査について
 現在加賀 陸(かが りく)他二、三人が行くことになりそうです。なお装備は銃器中心となっています。
 ホームセンターは道中何事もなく、舗装された道を歩いた場合には、徒歩1時間くらいで到着します。町の年長の子どもなら場所を知っています。
 半分ぐらい歩いた場所に川と橋があり(町より上流です)、肉食性の巻き貝が繁殖しています。それほど強くありませんが数が多かったため(数十匹程目撃されています)、パンデミック後の小川町の子どもたちは川を渡ったことがありません。
 昔は普通の巻き貝で、川遊びをしたことがある地元民は見かけたことがあります。内臓にフグのように毒があるものの肉は一応食べることが出来ると知られています。
 這い寄ってきて、人間でいう口の部分を大きく開けて捕食します。殻が非常に固いため、殻部分は通常の刃物(包丁など)では効果的なダメージを与えられませんが、戦闘の心得があればそれ程驚異ではありません。

●種・苗リスト
 米、大豆、かぼちゃ、人参、じゃがいも、さつまいも、玉葱、ピーマン、カブ、ほうれん草、小松菜。
 聞けば他にもあるかと思いますが、パンデミック後に残せたものですので、専門店のような品揃えはありません。

それでは、アクションをお待ちしております。

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  1. 2018/04/30(月) 16:28:00|
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【キャンペーンシナリオ】アルタン戦記 その0(ゼロ) ~プロローグ~

アルタン戦記 その0(ゼロ) ~プロローグ~


マスター:神明寺一総




 
「ーー大変重要なブリーフィングがあるので、召喚者の方々は必ず参加する事ーー」

 唐突に召集を受け、レヴィス・マレスティウスが大会議場に行くと、既に大半の召喚者が集まっていた。まずは人間。自分のようなエルフを始めとする、人以外の種族。そして、そもそも『人』ですらない者達--。そんな異相の集団が、一度に数百人を収め、かつては国会も開かれていた大会議場のそこここに、まばらに腰を下ろしていた。召喚者ガチャで喚ばれた異界の存在は、未だ100人にも満たないのが実情だ。
 レヴィスはどの集団からも少し離れた席に陣取った。彼はグループには属していない。孤独を好む癖はないが、用も無いのにつるむ趣味もない。

(それにしてもあの装置、もう少しマシな名前はなかったのか……)

 聞けば、「ガチャ」は子供のオモチャだというではないか。そんなオモチャに人生を左右されるこちらの身にもなって欲しい。

(そのオモチャに命を救われた身としては、あまりとやかくは言えないが……)

 議場に入場してきた朝比奈愛依に何気なく目をやりながら、レヴィスは思わず苦い顔になった。あの時の事は、思い出したくもない。

(おやーー?)

 レヴィスは登壇した愛依の、いつもと違う様子に目を留めた。表情がいつになく固い。それに資料を握る手にも、心なしか力が入っているようだ。よく見れば愛依は先程からずっと、議場の一点を見つめているように見える。振り返って、愛依の視線の先を確かめた。

 見慣れない男がそこにいた。向こうもこちらに気がついたようで、軽く会釈をして来る。レヴィスはそれに返しながら、さり気なく相手を観察した。
 人間。30代くらい。中肉中背。軍服を着ているあたり軍人のようだが、醸し出す雰囲気は書生か学者といった所だ。軍服の意匠から士官、それも佐官クラス以上なのは間違いない。
 「そつがない」というのが、レヴィスが男に抱いた第一印象だった。

(幕僚……というか、参謀か……?)

 異界から来た見知らぬ軍人。それを見つめる愛依。そしてこのブリーフィングーー。

(重要、というのはあながち大げさでもないらしい)

 レヴィスは、改めて気を引き締めた。

「皆さん、お待たせした。お忙しい所お集まり頂き、感謝するーー」

 そんなありきたりな口上から始まった愛依の発表を、どこか気怠げに聴く召喚者達。しかし愛依の口から出た言葉に、場内の空気は一変した。

「ーー今こそ私たちは、海外に活路を見出す時ではないだろうか。私は皆さんに、アルタン社会主義共和国連邦東部地域への進出を提案する。この決断にあたり、我々はどう振る舞うべきか。どうか皆さんのお知恵をお貸し頂きたい」

 そう一気に言って、深々と頭を下げる愛依。一瞬の静寂の後、議場がどよめきに包まれる。
 レヴィスは、振り返って先程の男を探した。男は変わらずそこにいた。身じろぎもせずに、壇上の愛依を真っ直ぐに見つめている。その顔は、心なしか紅潮しているようにも見える。
 ふいに、また男と目があった。
 男は今度は、満足気に頷いてみせた。
――――――――――――――――――――――――――――――――

<マスターコメント>

★注意!★

 このシナリオは『アルタン戦役』というキャンペーンの第ゼロ話、プロローグにあたるものです。
 また時間軸としては、「漫月国内の情勢がある程度落ち着きを見せ、海外進出の余裕が生まれた近未来(数ヶ月~数年先)」を舞台としています。
 これはアルタン大陸を舞台とする本キャンペーンと、漫月国を舞台とする他のシナリオの両方に円滑に参加して頂くための措置となります。



★アルタン大陸とアルタン社会主義共和国連邦★

『アルタン社会主義共和国連邦』(以下ア連)というのは、大洋を挟んで漫月国の西方に位置する『アルタン大陸』の全域と、その周辺の島々を領土としている大国です。オーストラリアと同程度の面積を有するアルタン大陸はいびつな「く」の字型をしており、中央部を南北に走る山脈によって、大きく東部・西部・南部の3つに分けられます。アルタン大陸には北から寒帯~亜熱帯までの気候帯が存在します。
 ア連は今から数十年前にアルタン大陸西部に成立した国で、わずかな期間で軍事大国化すると、10年余りでアルタン大陸内に複数存在した国を片っ端から征服・服属させ、一大強国となります。しかし、無理な拡張政策がたたり国内は常に不安定で、パンデミックを機に連邦内の共和国が次々と独立を宣言して内戦に突入。その結果パンデミック収束前には、既に国家としての体を成していませんでした。



★アルタン大陸東部地域

 アルタン大陸東部は最も遅れて連邦に編入された地域です。自然環境は厳しく、最北部にはツンドラ地帯が、内陸部には砂漠と荒野が広がり、人が住むのに適した地域は南部の沿岸域に限られます(気候帯としては寒帯~温帯に属す)。しかし天然資源に恵まれた土地であり、域内には多数の油田や鉱山を有します。



★アルタン東部進出計画

 愛依の提案は、このア連の東部地域に進出しようというものです。

「パンデミック後に残された国内の物資は既に底を突き始めており、元々資源の乏しい島国である漫月国がこの先も存続していくためには、海外において物資を確保する事が必要不可欠である」

というのがその理由ですが、では何故、アルタン大陸東部が初の海外進出先に選ばれたのか。その理由は2つあります。

 1つ目の理由は、アルタン大陸東部が豊富な資源を有している事。
 今現在愛依達に油田や鉱山の操業を再開させられるだけの能力はありませんが、パンデミック時の避難の慌ただしさを考えれば、現地には相当量の物資が手付かずのまま残されている可能性が充分にあります。実際、ア連から漫月国に避難して来た難民からその想定を裏付けるような証言が得られており、それらを確保するだけでも、当面の窮状を脱するには充分と言えます。

 2つ目は、この地域が現在ほぼ無住となっている事です。先のパンデミックの際真っ先に感染者の出たア連東部では、感染者の徹底した隔離と、非感染者の西部地域への強制避難が行われました。このためもし東部地域に進出したとしても、ア連当局や住民との衝突はまず無いと想定されるのです。また、ア連自体がパンデミック以前に崩壊していた事もあり、東部以外の地域から干渉もまず考えられません。

 なお進出と言っても、今のところ愛依達首脳部は「武力による実効支配」などは考えておらず、「放置された物資の確保」を最優先に、「生き残りの子供達の保護」「現地における脅威(モンスター等)の除去」程度を想定しています。



★アクションについて

 アルタン東部への進出にあたり、愛依達はまず、現地の状況を確認するため先遣隊を派遣する事にしました。PL達はこの先遣隊の一員としてアルタン東部に赴く事になりますがーー実は、それは次回以降の話。

 今回のシナリオは、

「アルタン大陸東部の何処をどんな理由で調査すべきかを提案してもらう」

 という体で、

「キャンペーンの舞台にどんな場所があるのかをプレイヤーに考えてもらおう!」

 というモノです(まだ行動計画の立案段階のため、『ゼロ』な訳ですねw)。

 アクションとしては最低限、

①調査すべき場所の名前
②そこがどんな場所か
③何故そこを調査すべきなのか(そこにどんな価値があるか)

 以上の3点を記載して下さい。

 場所の例としては、都市・町・村などの人口密集地、油田・鉱山・港・農場・畜産場等の生産施設、警察や行政、軍等の施設、遺跡・名勝・自然遺産等の観光資源、モンスターの住処……等が挙げられますが、キャンペーンの幅が広がるような(要するに面白いw)アクションであればドンドン採用して行きたいと思います。

 なお、基本的に一つのアクションで提案出来る場所は一箇所のみとします。ただし、同じ場所が複合的な要素を備えている(モンスターの生息地のど真ん中に遺跡がある、都市と港湾施設が併設されている等)のは問題ありません。

 また、その調査地点に対するPLの思い入れとか選定過程とか、もしPLがそこを調査するとしたらどういう風に調査するか、等を合わせて書いて頂けるとよりアクションが盛り上がるかと思います。


 なお、採用されたアクションについては、今後のキャンペーンおいて、「必ず」なんらかの形で登場させる事をお約束します(途中で打ち切りにならなければ、ですが……w)。


★登場NPC

本シナリオには公式NPC以外に、以下のオリジナルNPCが登場します。

 レヴィス・マレスティウス
 伊丹 満貞

 詳細については【NPC】の項目を参照して下さい。
 なお伊丹満貞は、ガイド内に登場した「軍服の男」です。


 では皆さんの腕によりをかけたアクションを、心よりお待ちしています。

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  1. 2018/04/28(土) 21:26:00|
  2. リアクション

【ショートシナリオ】切菜とみんなで武器探し♪

切菜とみんなで武器探し♪


マスター:革酎




 
 朝比奈 愛依は、机に地図を広げて考えごとをしていた。彼女が人差し指でとんとんと叩いているのは、地図上にある元自警団の基地だった。
 数日前、ここに皆で武器を取りに行こう、という話をした。まだ使える武器が残っている可能性は充分にある。
「何で、ここを見落としてたんだろう……」
「それはね、見落としてたんじゃなくて、愛依が武器を使いたくないと思っていたからよ」
 ソファに座った夜桜 切菜が指摘する。
「武器なしでとは言わないけど、ここにある分だけでいいとは思ってたでしょ」
「……そうかもしれない……」
「でも、ここから10km以上あるし、徒歩じゃきついわね。彼に頼む?」
「うん、頼む」
 愛依は素直に頷き、切菜はスマホを耳に当てた。

「バス持って来たよー」
 しばらくして、冨樫 慶太と緒方 唯我がやってきた。
「武器探しに行くんだって?」
「ああ。ここに行きたいんだが」
「ここなら行ったことあるよ。俺が回収したのは遺体だけだから、武器もあるんじゃないかな」
「どんな所だったんですか?」
 唯我が訊くと、あっけらかんと慶太は答えた。
「あの時はー、完全に廃墟って感じだったな。ほら、あの基地、住宅街の真ん中にあるだろ? だからモンスターも入り込んでないんじゃないかな」
「モンスターいないのか……それなら少し安心だな」
 愛依がほっとしたように笑い、びしっと背を伸ばした唯我が言う。
「僕も行きます! 何か武器が欲しいと思ってたんです」
「私も行くわ。どんなものが残っているか興味あるしね」
 切菜も言い、4人は召喚者達に連絡して廃墟となった元自警団基地に行くことになった。

 だが、事態は彼らの想像を既に大きく超えていた。

 切菜ら四人が向かおうとしていた自警団基地は、正確には第14中央方面師団自警駐屯地と呼ばれていた。
 ここに、切菜らに先んじてふたりの召喚者が足を運んでいた。
 ひとりは四本の腕を持つ怪人ジーガー。そしてもうひとりは地球から召喚された現役のアメリカ陸軍兵だ。彼は歩兵連隊所属の陸戦兵ヴァーノン・レドックス軍曹である。
 レドックス軍曹は、手にしたアサルトライフル──Ⅿ16A2を肩付けに構えつつ、駐屯地正門から内部に向けてじりじりと歩を進めていた。
「何だこれは……聞いていたのと、話が違うぞ」
 レドックス軍曹は頬を伝う嫌な汗に多少の苛立ちを覚えつつ、傍らのジーガーに対して低く唸った。
 ジーガーは、右第一腕にスライサーネット、左第一腕にショートレンジビームキャノンを携えているが、臨戦態勢には入っていない。彼の意識は全て聴覚に集中されていた。
 レドックス軍曹に歩調を合わせて前進を続けていたジーガーだが、不意に足を止め、僅かに身構えた。
「何か居るぞ」
「あぁ、見りゃ分かる」
 ジーガーの警鐘に、レドックス軍曹は短く応じた。
 この有様を見れば何も居ないなどとは、到底思えなかった。
 彼らは今、確かに廃墟と化した駐屯地に居る筈だった。だがそこに広がっていたのは、駐屯地を含む周辺数キロ四方が全て深い樹々に覆われ、完全に密林状態と化した街中のジャングルだった。
 一体、この短期間のうちに何があったのか。
 考えたところで分かる筈もなかったが、しかしジーガーとレドックス軍曹の両名は、ある明確な意思を感じ取っていた。
 即ち、絶対的な敵意。或いは、殺意と呼んでも良い。
 ここは一旦、戻った方が良いかも知れない──そんなことを漠然と考え始めたレドックス軍曹の視界の中で、何かが動いた。
 目の錯覚かと思ったが、違った。
 それは、確かに居た。
 木だ。
 それは紛れもなく木だ。
 しかし、巨大な猫科の猛獣のような形態だった。いや、正確に表現するならば二足歩行も可能な猛獣だ。体表は固い木の皮に覆われているが、その動きは極めて滑らかだった。
 手足の先から伸びる異様に長い鉤状の指先は、人間の皮膚程度ならば豆腐のように切り裂き、筋肉や内臓組織に至っては肉団子を簡単に引きちぎるような破壊力を発揮するだろう。
「……トレントか」
 ジーガーは低く唸った。
 この世界に来て諸々の文献やデータを読み漁っていた彼は、人類以外の生物や怪異、魔物についての知識も短期間で相当な量を吸収していたのである。
 そのジーガーが、強い警戒を見せているのだから、恐ろしく手強い相手だということが理解出来よう。
 レドックス軍曹は、ごくりと喉を鳴らした。
 周囲を覆うあらゆる木という木から、ジーガーのいうトレントなる怪物が、次々と湧き出るように出現し始めたのだ。
 敵意の正体は、彼らだった。
 ふたりの正面に立った一体のトレントが、頭部を水平に割った。上下に割れる巨大な顎が、襲撃開始の合図を告げた。


――――――――――――――――――――――――――――――――

<マスターコメント>

 こちらは、【コモンシナリオ】「一日の始まりは自宅から」の派生シナリオとなります。
 皆で武器を探しに行きましょうというシナリオです。
 但しガイド本文にあります通り、基地は緑一色の地獄と化しております。下手したらNPCのひとりやふたりは平気で死にます。
 しかし武器もやっぱり欲しいので、色々と探索してみて下さい。
 何かあるかも知れませんし、何も無いかも知れません。
 それでは、皆様のアクションをお待ちしております。

■敵
トレント:
 度重なる宅地開発やリゾート開発などで自分達の版図を次々と奪っていった人類に強烈な恨みを持つ植物達がパンデミックを機に、人類に対して反撃を仕掛けるべく魔物と化した姿。
 極めて強力な念式防御網を形成する為、魔法の類はほとんど通じない。

■非運営NPC
ジーガー:
 275歳、第76778恒星系出身のエイリアン。
 レーザーブレードやビームキャノン、スライサーネットなどの諸々の武装を所持。筋力や骨格も人間とは比較にならず、拳の一撃でコンクリート塊を粉砕することも出来る。

ヴァーノン・レドックス軍曹:
 37歳、黒人男性。
 現役のアメリカ陸軍兵。士官学校は出ておらず、兵卒から叩き上げで昇進してきた。独身だが、別れた妻との間にはふたりの娘が居る。
 シリアの内戦に米軍が正式介入する為に空挺旅団の輸送機で移動中、召喚された。その為、ある程度の装備一式は揃っている。

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  1. 2018/03/31(土) 20:21:00|
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【レアシナリオ】囚われの召喚者

囚われの召喚者


マスター:沢樹一海




 
 ――緒方 唯我が来ない。
 夜桜 切菜がそう報告したのは昼頃のことだった。
「昨日帰る時に『また明日』って言ってたし、遅くなるということも聞いてないんだけど……」
「スマホに連絡は?」
 冨樫 慶太が言うと、切菜は無言のまま首を振った。朝比奈 愛依が真面目な面持ちで彼女に訊く。
「家には行っていないんだよな?」
「行ってないわ。でも、行ってみる必要がありそうね……」
 三人が深刻に話していると、切菜のスマートフォンにメールの着信があった。送信者は唯我であり、良かったという顔を見合わせてメールを開ける。だが、その内容は以下のようなものだった。

『緒方 唯我は捕獲した。        悪喰連盟』

 悪喰連盟というのは、屍蔵 聖がリーダーの集団の名前だ。
「捕獲……って、どういうこと?」
 愛依はこの文面の奥に隠されている意図を読み取ろうとしているようだ。
「捕まえたってことでしょ。捕まえても食べられないと思うけど。……でも、じゃあなんで……」
「いや、召喚者はこの世界の人間じゃないし、屍蔵のやることだ。食べるかもしれない」
 慶太も難しい顔で考えている。
「情報を聞き出してから食べるとか……」
 愛依が言うと、執務室はしんと静まり返った。
「とにかく、助け出さないといけないわね。こんなことが起きた以上、悪喰連盟についてももう隠しているのは限界でしょう。召喚者達にも話さないと……」
 再び執務室に沈黙が落ちる。
「……俺が話すよ」
 その中で、慶太は自ら立候補した。

☆★☆★☆★☆彡


 屍蔵 聖は、父である元首相の家――つまり、小さい頃から育ってきた家で暮らしていた。非常に広く、豪華な屋敷だったが彼の部屋は違う。カーテンの閉め切られた室内には様々な骨が飾られていて、聖はその一つを背もたれにしてスマートフォンを眺めていた。ゲームで倒し切ったモンスターのリポッブを待っている。
「モンスターってどこから出てくるんだろうな。殺しても殺しても減らないから便利なんだけど」
 彼はゲームのモンスターについて言っているのではない。漫月のモンスターについての感想だ。
「リポッブとかしてんのかな。まあどーでもいいけど」
 そこで、部屋の扉がノックされた。「どーぞ」と応えて入ってきたのは一六歳くらいの少年だった。
「聖さん……召喚者って知ってますか?」
「何それ」
「こいつのことです」
 少年が合図をすると、とても未成年には見えない、屈強で老け顔の少年二人に脇をホールドされた金髪天然パーマの少年が連れられてきた。緒方 唯我だ。成人していても半泣きである。
「召喚者?」
 聖が訊くと、唯我はこくこくと頷いた。
「あの、ここは何なんですか。召喚者を捕まえてどうするつもりなんですか。この人達は、僕を食べるって……」
「食べる?」
 聖は目を細めて最初に来た少年を見る。少年は突然慌て出し、しどろもどろになりながら説明を始めた。
「あ、あの、聖さんが生きた人間を食べないことは承知してます。でも、こいつら異世界人で、人間じゃないじゃないですか」
「人間だよ!」
 唯我が抗議する。
「人間なの?」
 聖が訊く。
「人間です……」
「でも異世界人なんだよね?」
「はい」
「ちょっと召喚者について教えてくれる?」
「いいですけど……」

 唯我は、この子は何者なんだと思いつつ、召喚者について話をした。そして帰ってきたのは「ふーん……」という言葉だった。
「わざわざ食い扶持を増やすとか……莫迦じゃないの」
「じゃあ、この食い扶持は食べ……」

 最初の少年が目を輝かせる。聖は気がついていた。モンスターの肉を食べるようになった彼らが、人の肉の味に興味を持つようになっていることに。
「んー……保留。それに食べるとしても、君達にはあげないよ。人にとって、人は『喰えるもの』じゃないから」
「そ、そうですか……」
 落胆した様子の少年に、聖は言う。
「とりあえず、おれが監視しとくからここに置いてって」
「はい!」
 屈強な男二人から開放された唯我は、背中を強く押されて聖の部屋に入った。
「逃げようとしたら殺すよ」
 骨を見て悲鳴を上げる彼を見もせずにそれだけ告げると、怯えた目がこちらを向くのが空気と気配で察せられる。
「どーしよーかなー」
 左右の跳ねた髪をピクピクと動かしつつ、大振りの刃物をくるくると回しながら聖は唯我に近付いた。
「……!」
 恐怖で目を見開く彼の口に、聖は――ガムテープを貼った。


――――――――――――――――――――――――――――――――

<マスターコメント>

愛依達と相反する考えを持つ集団「悪喰連盟」が唯我を誘拐してしまいました。
この事件によって、召喚者達はこの集団のことを知ることになります。
このシナリオの目的は唯我を助けることでもありますが、
「悪喰連盟」を知った時にどう感じ、どう対処しようかという個人個人の考えを表明するシナリオでもあります。

「悪喰連盟」の拠点については愛依達が知っていますので真っすぐに向かうことができます。
ただし、【コモンシナリオ】一日の始まりは自宅から の結果によって既に「悪喰連盟」について知っている2PCは他の召喚者達よりも先行して動く、もしくは案を出すことができます。
他の召喚者達の行動は時系列としてその後となります。

以上となります。

よろしくお願いいたします。 続きを読む
  1. 2018/03/26(月) 12:00:00|
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